第15話 5月のある公園で。
それは、春のある日のこと…。
赤色に揺らぐ、つつじに誘われて、公園のベンチにひとり腰掛け、幼子の遊ぶ姿を目を細め、眺める。
ふと見ると、3人の若きママ達…。
幼子がいなきゃ、女子高生か女子大生くらいにしか見えない。
薄化粧。
動きやすい、薄手のシャツにパンツ姿。
3人とも溌剌とし、白い歯を見せ、笑顔が輝いている。
子育て…。
女の幸せ…。
そよぐ風は、つつじの匂いと彼女達の香りが入り交じり、甘く爽やかに俺の身体をすり抜ける。
ん?
どうやら3人は、だだのママ友では無いのかしらん?
風に乗ってか、少しづつ、彼女達の会話が耳に入る。
「はぁ〜だりぃ…旦那に子供みさせて、今晩、飲みにいかねぇ?」
「ほぅ…いいねぇ。この前の合コンのやつら、よんじゃうか?」
「おごらせるかぁ〜。ちょびっと、ほっぺキスしてやって、足に触ってやればカラオケまで大丈夫だからね…」
「それよか、また、ピザ屋のにぃちゃん…そうそうあの子…また、注文して、配達させて…食っちゃう?」
「若いから、続けて3回できるし、早いから店にもばれないしね〜」
「でも、2度目はスリルなくて、つまらないよ。あいつ、帰りに、また、お願いしますって喜んでたし…」
「誰でもいいから、また、3人で遊んぢゃう?」
げっ!
爽やかな若いママ達ぢゃないの?
ママ達の幼子らは、砂場で遊んでいる。
天使のように可愛い…。
あら、転んで泣き出す。
ママ達のひとりが、駆け寄り抱き上げる。
優しい眼差しは、マリアのよう…。
聖母のように…。
悪女のように…。
人の心は判らない。
判らないから魅力的。
俺は、ママ達が蠢く3匹の白蛇になって、男と絡み合う姿を想像する。
絡み合い、縺れ合いスパークする!
砕けた肉片から小さな天使達が甦生し、天使が寄り添い白蛇に変わる…。
俺は未だ、虚ろな瞳で幼子を眺めてる。
幼子のひとりが駆け出し、俺にぶつかった。
抱き上げた若いママの、我が子を見る瞳は優しく澄んでる。
しかし、顔を上げ、俺を見つめた目は、獲物を狙う蛇のように赤く光っていた。
きゃ〜〜〜〜!!!
若いママ達に………。
食われてぇ…。
でも、おやぢじゃ…無理だよな…。
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