第14話  横浜ベイ*ブルース


歓楽街から渦巻いた、欲望のカスが融けこんだ海。


横浜の海。


日本じゃ叶わぬ夢を、捨てきれず船に乗り込むやつがいた。


日本を食らって肥えたいやつが、船の中から覗いていた。




来るものは拒まない。去るものは追わない。


俺と同じ横浜の港。


今じゃ枯れて過去しか見ない。




「季節はいつ?」


「今は…冬だよ。」


「なんで暗いの?」


「俺は夜しか生きられないから…。」


「誰と生きるの?」


「誰もいない…もう俺ひとり。」


「夜は明けるよ…春が来る…。」


「それじゃ長い眠りにつこうか。また誰かに起こされるまで…。」




暗く蒼い海に唾吐いて、それでも潮に身を委ねる。


横浜の海は、誰も拒まず、誰も追わない。


俺が逝っても変わらない。


波でブルース奏でるだけ…。





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