第5話 妖しい灯。
夜の9時54分。
この時間になると、俺の家の裏手にある、アパートの201号室は、暖かなオレンジの電球色から、濃いめのピンク色に変わり、レースのカーテンから、厚手のカーテンに変わる。
カーテン越しに、ピンクの灯と、黒く写る人影は、悩ましく妖しく、俺を妄想の世界に引きずり込む。
昔の女郎屋とか、海外の店で、入り口に、素肌にガウンやコートだけを羽織って、男に声をかける、おねぇちゃんらが立っている店の照明のような、どギツいピンクの灯である。
今日は、どんなプレーなのか?
いやがおうでも、想像してしまう。
その部屋の旦那は、真面目で神経質そうな、会社か役所で、事務仕事をこつこつやってそうなタイプ。
若妻はと言うと、清楚でおとなしそう。
しかし、決して愛想は悪くなく、近所の人々には、明るく挨拶をし、通勤に励む…。
そう、会社やイベント会場の受け付けといった感じで、笑顔が素敵な女性である。
二人の昼と夜の顔…どう変わるのか?
今日は、わがままなマザコン息子が、母親を困らせたあげく、ついに、母親は許してしまうってプレーを妄想してみる。
見え隠れする影と、影が見えないところ…そんな部分で、想いは広がる。
「ねぇママ…なんで僕だけやっちゃいけないの?」
「まさおちゃんは、まだ子供でしょ。そういうことは、大きくなってからで良いのよ」
「ママ、良く僕をみてよ!もう、こんなに大きくなってるよ。友達だって、みんな、やっているんだよ。どうして、僕はやっちゃいけないの?」
「それは…友達はみんな彼女がいるからでしょ?まさおちゃんには彼女、いないじゃないの」
「彼女なんていらないよ!僕にはママがいるもん!ママとやりたいんだよ!」
「だめよ…ママは駄目なのよ。痛い!まさおちゃん、この手を離して…」
「嫌だ嫌だ!ママとやるんだ!」
「わっ…判ったわ…1度だけよ…パパには…誰にも内緒よ」
「うん。2人だけの秘密だよ。はやくやろうよ…。」
母親は、息子の前に座り、肩の力を抜いた。
「はぁはぁはぁ…じゃ…ママ…いくよ…」
じゃ〜ん、け〜ん、ぽん!
あっち向いて、ほい!!
「ママ、負けちゃった」
「あはは、もっかいやろ〜」
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