第2話 残り香
「起きろ~!!」
いつもより、少し早めにお前を起こす。
「髪を洗って、仕事へ行くんだろ?」
まだ、寝ぼけ眼のお前に、おはようのキス。
「ひゃ~!寝坊した!なんでもっと早く起こさやんの!?」
だって、少しでも長く、お前を抱いていたかったから…。
夕べのお前は、愛しくて、何もさせずに、抱き締めた。
「お風呂入って、髪の毛洗わんと…」
「そんなのかまわん」
「だって、汗臭いやろ?」
「臭くない…」
俺は、無理矢理、ベッドへ引きずり込んだ。
「もう…。アホやなぁ…」
そう言う声が、甘く切な気な声へと変わる。
お前の声が、強く短く発したら、俺とお前は、そのまま、深い眠りに入っていく。
目が覚めて、遅刻のできないお前は、焦りながら、髪のセットにメイクをしている。
「暇が無いから、そのままで行くで…今夜はモツ鍋食べようね」
お前は部屋から仕事へ出ていった。
独り部屋に残った俺は、もいちど、ベッドへ潜り込む。
ベッドの中には、お前の匂い。
コロン?
シャンプー?
化粧の香り?
いやいや、それは、お前の匂い。
俺の好きな、お前の匂い。
布団に移ったお前の香り。
俺は、次の目覚めまで、お前の残り香を抱いて寝る…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます