部屋の隅にいる先輩
長島芳明
部屋の隅にいる先輩
高校のときに片思いをしていた部活の先輩が、今は一人暮らしの私の部屋にいる。
彼は何も文句を言わずに、私の愚痴を聞いてくれる。狭い一人暮らしの部屋なのに、部屋の隅でも文句を言わない。
まるでゴミ箱のように、ちょこん、とそこにいる。
深夜に目が覚めてトイレに行こうと起きると、明かりをいつも照らしてくれる。時々「うー」って音がしてびっくりするけど、仕様だからしょうがない。
朝食を済ませて今日も蓋を開けて先輩を確認すると、凛とした素敵な瞳で私を見つめてくれる。彼の眉毛についた霜をタオルで拭き取り私は仕事に出ていった。
会社の転勤で引っ越しした先の近くが、かつて片思い寄せていた部活先輩の職場の近くだった。私は運命を感じたな。先輩を独占したくて、部屋に誘ったらこういった関係になっちゃった。
人生て分からいことばかり。
そろそろ先輩のために新しいのを買ってあげようかな。先輩は青色が好きだと言っていたけど、緑の冷凍庫も似合うと思うんだよな。ハイアール社製にしようかしら。
部屋の隅にいる先輩 長島芳明 @gunmaNovelist
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