完全無欠の愛

家族を穢されるのが怖いのは

自分が穢されるのが怖いから


ルーツ


自分と自分の周りはオリジナルなのだという幻想


個性なんて、すぐに壊れるでしょう?

痛めつければ僕らは単純で

魔法の操り人形だったってことがわかるはずだよ

そして僕はその方法を知っているので(ぺこり

簡単に壊せてしまうので(ぺこり


そんなふうに真実を悟るのは嫌だから

僕は旅に出た


人と会わない旅


ヒトとは会うよ

ヒト、ヒト、テンプレートのヒト

しこーかいろを想像して

そのとおりになるかやってみるの

違ったらチューニングチューニング

何百回と繰り返して僕は無敵になった

あらゆる状況に対応する

なんでもヒトに変えてしまうんだ


そして久しぶりに帰って、

壊れていたあなたを見て、

やっぱりな、って。


偉そうに言ってたけど、やっぱりふつーのヒトなんじゃん


だけど僕はまだあなたを好きみたいだから

思い出だけで好きになることにした


いろんなところに行って

いろんなヒトと会って

あの日そばにいたあなたが特別だったことが、よくわかったから


かつて憧れていたという思い出だけでいいや


もう何も望まない










僕はひとりだった


学ぶ前と変わらず

僕はひとりだったけど


もやもやがなくなって

少し気持ちいいかもしれない


いつ消えても構わないけれど

無償の愛を僕が教えてあげるから


---

2014年3月作

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