Final chapter lord of mature mage harem
第23話 To the priority
「行くわ」
「ここであなたを倒す」
魔術の街・ルクルス 南の平原
「魔具<ガイスト>・スサノオ」
俺は刀を抜きステラさんに正対する
「星霊術・星征陣<ロクス・アステラ>」
俺とステラさんはそれぞれ魔術を発動する
「行くわ 死なないでね 楽郎」
「負けても文句言わないでくださいね」
俺が刀に光を纏わせ構える
ステラさんは惑星魔術の星すべてを4方に展開し
ゴゴゴゴゴッと地面を揺るがすほどの魔素が辺りを包む
3日前
ライゼンさんの家に戻ると
「どうしたの?」
俺の顔が暗いのを察してステラさんが首をかしげる
「少し疲れて」
「....ふーん」
この反応はバレたな
だが言う訳にはいかない
ステラさんを首都に行かせるわけにはいかない
「明後日から首都に行こうと思うんだけど」
「ダメです!」
「? 何があったか教えてくれないかしら」
「それは...
言えません
でも首都には行っちゃだめだ」
「ちょうどいいわ
手合わせしましょ?
楽郎が勝ったら首都には行かない
私が勝ったら首都に行く いい?」
「...えぇ」
いつかはこうなると思っていた
俺はいつかはステラさんを超えなければいけない
ステラさんをハーレムに入れたいなら
当然俺はステラさんより強くあるべきだろう
「いい目になった
全力で叩き潰したくなるぐらいに」
ステラさんがニヤリと笑う
「っ!!」
俺の全身に針のような鋭い魔素が刺さる
これが惑星魔術のステラ
天才的な才能と30年以上の研鑽の果てに至る魔術師
「勝ちますよ」
そういくらステラさんでも今回は負けられないんだ
首都に行けばステラさんは夜明けの明星と軍の戦いに巻き込まれるだろう
それにステラさんなら例え自分の使命じゃなくても人が困っていれば助けに行ってしまうだろう
俺が転生してきた時と一緒だ
「街の中じゃだめね 外でいい?」
「今から...ですか?」
まずい
3日後なら勝算はある
だが今すぐはどうしようもない
「準備がいるなら合わせるわ
いつがいいの?」
「3日後で」
「いいわ
いつでも」
ステラさんの体から魔素が溢れ出す
ゾワッと俺の背筋に悪寒が走る
圧倒的な魔素の奔流
古代魔術を身に着けたからこそ分かる圧倒的な力の差
だが覆す ステラさんを倒すんだ
「楽郎~!」
アリスラさんが呼んでいるらしい
「あら?
アリスラに頼んでるの」
「えぇ とっておきのを」
「通用するといいわね」
アリスラさんの工房(に改造した部屋)
「どう? 素材としてはこんな感じで サイズは合ってるね」
アリスラさんに作ってもらっていたのは俺の防具だ
ベスト型にして胴体を守れるようにしてもらった
ズボンの方はそもそもの素材を変えることで対応する
「最高ですね 動きやすいのに」
「あぁ その刀だろうと通しやしないさ」
「それともう1つの方は?」
「あっちはあと2日は欲しいね
しっかしあんたはヤカラから武器を盗るのがうまいねぇ
ヴィスターブも元はあんたを殺そうとした半グレから奪ったんだろ」
「えぇ これも戦略の内ですよ
3日後にステラさんに勝つために」
「!? はぁっ~~~~!!!」
「えっと っていうのがさっき決まって」
「あんたバカじゃないのかい?
ステラがどんだけ強いか身近で見てきたんだろ?
惑星魔術なんていうデタラメ魔術に勝ち目なんてあるのかい」
「ほとんどないでしょうね
でもどうしても
―――今回だけは譲れないんです」
「...分かったよ
あたしはちゃんとこいつを仕上げる
勝てるかどうかはあんた次第だね」
「はい
この刀と誓って」
「あー そうだ
その刀 名前付けてなかったねぇ
何がいい?」
「アマノムラクモとか
トツカノツルギとか」
「言いづらいから却下だよ」
「そんな...
スサノオの使う剣の名前でかっこいいのに」
「スサノオ?
あんた異世界人なのにスサノオ知ってるのかい?」
「? 知ってるも何も俺の国の神話で有名な神の名前ですけど」
「ふぅん どんな世界だか知らないが
スサノオは極東の義賊の名前だよ
こっちじゃね」
「!? そんな」
「一昔前にいた黒い水を操って悪人と共にあらゆるものを破壊し尽くす義賊
それがスサノオさ
一節には怨黒き鬼人と共に現れるとかなんとか言われちゃいるが
あたしはそっちにはうとくてね
ステラにでも聞いてみればいいんじゃないかい
あんがいロマンチストだしね」
「...」
スサノオが全く違う形で伝わっている?
いやそもそも全く別の存在なのだろう
あくまで元いた世界ではスサノオはあくまで”神話”の存在だ
実在する人物じゃない
これは偶然なのか
世界は一体...
「それでこっちの銃の方は銃身を切り詰めて
あんたの光魔術を乗っけれるようにすればいいんだね」
「はい それでお願いします」
「ちょっと反動大きくなるから
せいぜい鍛えとくことだね」
「えぇ」
アリスラさんが銃を全分解していく
相変わらず作業が早くて全く分からない
昨日の襲撃事件の時に俺が襲撃者達の1人から拝借したものだ
炎の魔術しか打てなかったが
そこは改造できるらしく俺の光魔術を打ち出すことも出来るらしい
使えるものは全部使わないとな
そうでなくても相手はステラさんなわけだし
現在
魔術の街・ルクルス 南の平原
「魔具<ガイスト>・スサノオ」
俺は刀を抜きステラさんに正対する
「星霊術・星征陣<ロクス・アステラ>」
俺とステラさんはそれぞれ魔術を発動する
「行くわ 死なないでね 楽郎」
「負けても文句言わないでくださいね」
俺が刀に光を纏わせ構える
ステラさんは惑星魔術の星すべてを4方に展開し
ゴゴゴゴゴッと地面を揺るがすほどの魔素が辺りを包む
ダッと俺が地面を蹴ってステラさんに斬り込む
「せっかくあげた符は使わないのね」
「ステラさんが怪我したら困るので」
「舐められたものね」
ザッと俺が刀を薙ぎ払うよりも速く
ステラさんが火星の星を掴んで空中に飛び上がる
「本気で斬り掛かってくれたお礼に
こっちも本気で」
ステラさんが木星の星を巨大化させ
ゴゴゴゴゴッ!!!!
ドォォォォォオオオオオオオオンッ!
俺がヴィスターブで暴風を発生させ飛び退いた辺りを
ステラさんの木星の星が押しつぶす
10mほどの大きさのクレーターが作られている
「怒ってません?」
「全然よ」
ステラさんが火星の星から文字通りの火の雨を降らす
「なっ!!!」
地面を転がりながら躱す
「冷たっ!!」
燃える氷か
デタラメだな
躱した辺りの地面が凍っていくのに草に関しては燃焼し焦げていく
「楽郎 そろそろ降参してもいいのよ
ここから先はちょっと加減が苦手だし」
「なら良かった
ちょうど俺も本気を出せそうですし」
俺は光の魔術を刀に纏うと同時に
ステラさんに対する殺気を掴む
いくら好きな人でも殺されかけると殺意は湧くものだ
「来た」
この前の襲撃事件の時に出来たあの感覚を再現する
体中に魔素が満ち溢れていく感じだ
「ようやく ね
死ぬ前に降参するのよ
黄金の泉に溺れて<ヴィーナス・フォール>」
とんでもない大質量の物体が上空に次々と現れる
金色の槍 刀 剣 盾
古今東西あらゆる武具を模した形として現れる
ポタリ
武具から滴り落ちた液体が地面に落ちた瞬間に
地面が金に変わる
「メッキだから安心して
体に触れたら動けなくはなるけど」
「!!っ」
人間に対しては一撃必殺
いや攻撃が当たる必要すらないんだ
武具についている液体だけでも当たれば金にコーティングされて動けなくなる
だがその強大すぎる力を過信してか
ステラさんが飛んでいる高度が少し下がる
もう少しだ
「当たらないですよ」
俺はヴィスターブの出力を下げて
ステラさんの方向へ飛び出す
「無駄よ」
金の武具が次々と足元に突き刺さる
「それはどうでしょうか ねっ!」
ドッ!!!!
俺はヴィスターブの出力を最大化して飛び上がる
ヒュッ!!
金の武具が次々と飛んでくる
光をまとった刀で弾くが
一瞬触れただけでも刀の光を侵食していくように金のコーティングが広がる
「っ!!
どんだけ常識ハズレなんですか!!」
「魔術で作られた光の魔素自体を上書きしていくだけ
単純でしょ」
デタラメ過ぎてもはや慣れてきたぜ
スパッ!!
俺の右肩の上着を金の武具が掠る
それと同時に上着を金のコーティングが侵食する
「俺の勝ちですよ」
動かなくなった右手から左に刀を持ち替えて
ステラさんの胴に斬りかかる
入った!
「甘すぎるわ」
ステラさんが小さな惑星を胸元から出現させる
「がっ!!」
それと同時に刀が小さな惑星へと吸い込まれていく
「淡き光は黒き渦へ<ルーメ・ディレクス>
第一惑星はすべてを黒き闇の中へ」
水星の力か
刀が完全に小さな星へ固定されて動かない
「終わりね」
ステラさんが俺の頭上から火の雨を降らせる
火星の力と同時に使えるらしい
強い上に器用とか最高だな
だが勝たせてもらう
「俺の勝ちで」
刀から手を放し 左手で隠しておいた銃を抜き放つ
「断罪の光<ジャッジメント・ルミナ>」
「!!!」
初めてステラさんが驚く
だがこれで終わりだ
銃から放たれた光の束が一斉にステラさんに向かい
「まさか
こんな隠し玉があるなんてね」
ステラさんが笑うと
スッと光の束が一瞬で消え去る
「え」
ありえない
魔術を消し去る魔術を使ったのか
いやそんなものは見たことがない
だがこれは
「魔術を消す魔術はないわ
でも」
「!?
これは」
いつの間にか頭上に黒い影が浮かんでいた
「黒い 星?」
次の瞬間 俺の体が上に持ち上がる
圧倒的な引力!!
これはブラックホールなのか
「くそっ!」
銃のトリガーを何度も引くが銃から放たれた瞬間にすべて
頭上の黒い星に吸われ続ける
「私の勝ちね」
ステラさんが俺の刀を掴んでそっと首元に突きつける
「くっ」
「でも良い勝負だった
13番目を使わせるなんてやるじゃない」
「あの黒い星は」
「太陽に該当する星ね
魔素を込めれば圧倒的な魔素の供給源になるけど
逆に込めなければあらゆるものを吸い取り魔素に変換する」
「まさか
他の星も」
「それは見てのお楽しみね」
底が見えない
どこまで遠いんだ
ドッと俺は地面に降りる
「...」
負けてしまった
「さぁ 聞かせて
どうして私を首都に行かせたくないのか」
「それは..」
あいつに会ったこと
そして首都に行けばステラさんが囮として使われるであろうことを話した
「そう なら行かないわ」
「え?」
「そこまで急ぎの用でもないし
別の場所で調べたいこと出来たから」
「それじゃあ」
「次はラクロエに行きましょ」
「?」
「賭場と色の街よ
ほんとは楽郎を連れて行きたくはなかったけど」
「色って」
「性風俗ね
街に出てる露出の多い女性は全員娼婦だから
気をつけて いい?」
ステラさんが顔を近づけながら見つめてくる
「は はい」
興味はあるが流石にステラさんいるしな
うん
諦めるか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます