第9話To the battle fish
ゴゴゴゴゴッ!!!
巨大な岩石の塊に押しつぶされたかと思った瞬間
ステラさんの星の1つが巨大な岩石の塊を受け止めていた
「楽郎 かっこつけるのはいいけど
助かる算段はあったの」
「体が勝手に動いて」
「無茶しないの」
岩石の塊の大きさは2階建ての家ぐらいはある
めちゃくちゃでかい
「楽郎 移動よ!」
ステラさんが俺の手を掴んで入り口へと走る
「どうしてですか!
俺は無傷だし 姿さえ見えれば戦いようは」
「相手が大きすぎて暴れたら坑道自体が崩れる」
「そんな」
それじゃあ俺達はただここで引き下がるのか
「せめてあいつを外におびき出して」
「だからそうしてるの
撤退じゃなくて移動
外であいつを迎え撃つわ」
「でもどうやって 外に出てくるとは」
「出てくるわ これだけ巨大な餌は久しぶりでしょうし」
「それって」
「私達2人のことよ」
ゴガガガッ!
巨大な岩の塊が地面を滑るようにして後を追ってくる
「な 何なんですか あれ」
「恐らく ロック・フェルズの変異種ね
本来は岩をまとった小型の魔獣よ」
「背中が角張った魚みたいなやつです?」
「えぇ 地面の中を泳ぐ魚 鱗に岩を付けて土で削って研磨していくのよ」
「どんだけデカくなるんですか変異種~!」
ダッ!
何とか坑道の入り口から外に出る
「っはぁ 来た」
「おびき出せたみたいね」
ドゴッ!
坑道の入り口の一部を破壊しながら出てきた
改めて太陽の下で見るとかなりでかい
2階建ての家と同じサイズの体に角張った岩が付いているせいでさらに大きく感じる
「こいつ 高く売れますかね」
「流石にこの大きさだと銀貨100枚は下らないはずよ」
「っし!」
俄然やる気が出てきたが
ズンッ!ズンッ!
ロック・フェルズがこちらにのっしりと近づいてくる
「弱点とかないんすかね」
「特にないのよね
全身が甲殻と岩で覆われてるから」
さすがの大きさにステラさんも倒し方が決まらないようだ
「私の惑星魔術だと」
「あのサイズは厳しいですかね」
最初に俺がみた巨大隕石みたいな魔術を使えば倒せるだろうが
完全に潰れて素材取れないだろうし
「そうね 素材を取れるように倒すのは難しいわ
問答無用で討伐するのとはわけが違う」
「まずは俺があの岩と甲殻を剥がします」
「剥がせたら後はこれで仕留めるわ」
洞窟で使ってた灯りの星は銃みたいに撃てるのか
それなら行けそうだ
「まずは星で足場を」
グルンッ!!!
ロッグ・フェルズが体を一回転させて俺たちのいた箇所を薙ぎ払う
「っと」
間一髪でステラさんの星の足場に飛び乗って上に躱した
かなり動きが速い
「ステラさん お願いします!」
「えぇ!」
グイッンッ!!
ステラさんが俺の乗ってる星の足場をロック・フェルズに向かって撃ち放つ
ヴィスターブに全力で力を注ぎこむ
「このっ!」
ロック・フェルズの背びれの左横に打撃を叩き込む
「グォンッ!」
ロック・フェルズの背びれの周りにまとっていた岩の一部が剥がれる
ヒレの周りは少し岩が浅いらしいな
ドッ!
「くっ!」
ロック・フェルズが飛び上がりそれと同時に俺は星の足場から外れ空中に投げ出される
ロック・フェルズは胸びれを器用に動かして空中で体の向きを変え着地する
「やべっ」
星の足場から外れた俺は着地が出来ない
目測50m
落ちたら即死だ
だが
「うぉぉぉぉぉ」
ヴィスターブに力を込める
ドゴォッ!!!
俺は地面の砂まみれになりながら着地していた
やっと掴んだ
本来の使い方とは違うだろうが
暴風を地面にぶつけてその反動で体を浮かせる
風の斬撃を出せないがこっちも使い道がありそうだ
「来いよ 今度こそその硬い岩全部剥がしてやるよ」
「グモォォォッ」
ロック・フェルズがうなりながら距離を図り始める
俺が狙うべきはもう一度背びれの左側だ
この暴風を打ち込めば恐らく
ロック・フェルズが今度は飛びかかってくる
でかいな だが
「こうだっ!」
ヴィスターブの暴風を右側に放ちロック・フェルズの巨体の左側に回り込む
ロック・フェルズがもう一度体を一回転させようと体をひねる
「見えてる」
こいつは今まで自分より小さい生物を狩り続けて捕食し続けたのだろう
だから戦い方が雑だ
ボフッ
俺は地面にヴィスターブの暴風を放って飛び上がる
ギュルンッとロック・フェルズの体が一回転して地面の石や砂を巻き上げる
「ここだ!」
俺はヴィスターブでロック・フェルズの背びれの左側を殴りつける
それと同時に
「弾けろ!!」
ヴィスターブに思いっきり力を込めて暴風を発動する
ドッと激しい風が巻き上がり
ロック・フェルズの岩を胸ビレの辺りまで剥がす
「ぐっ」
当然俺も暴風で吹っ飛ぶわけだが
ヴィスターブの暴風でもう一度着地を
「あれ 出ない?」
力を込めてもヴィスターブから風が出ない
何とか着地して地面を転がる
足いってぇ
「楽郎 よくやったわ」
ロック・フェルズの真上にいたステラさんが赤い灯りの星を撃つ
ドドドドッ!
4発同時にロック・フェルズの体に突き刺さる
「心臓と肺の血管は焼き切ったわ」
「グムモメッ~~~~!!」
ロック・フェルズが辺りの地面を胸ビレで叩き暴れまわる
「あぶねっ」
ギリギリでステラさんの星に捕まり 暴れまわるロック・フェルズから距離を取る
「倒せた」
「そうね お疲れ様」
「それじゃあ 早速解体ですかね?」
「そうね 魚だし3枚おろしってところかしら」
「これを3枚に」
「大丈夫よ 人間やればできるものよ
多分 恐らく」
「うぅ」
この巨体をそのまま売りに行くわけにはいかないよなぁ
岩とかめっちゃついてるし
「解体終わりね」
結局徹夜で作業してようやく終わった
15時間ぐらいずっと魚の肉さばいてたせいで手が臭いし眠い
「お疲れ様した
めっちゃ眠いっす」
「もう少しよ
宿で休む前にこの解体したやつ全部売っちゃいたいわ
流石に惑星空間の容量食いすぎるし」
「はい」
容量とかあったのね
無制限に謎空間に収納できたらもう無敵すぎるもんな
「まぁ 頑張れば10倍ぐらいはいけるけど」
「10倍っ!!」
「古代魔術の空<くう>の使い手なら
ほぼ無限の空間を持ってるものよ
私のは器用貧乏ってところね 色々できて便利だけど」
「かっこいいので好きですよ ステラさんの惑星魔術」
「そう ありがとう」
街中の食材屋や魔具の材料を取り扱う店を全部回って
ロック・フェルズの素材を買い取ってもらい
前峠したブラック・シープの素材も全部買い取ってもらった
「130銀貨 これで揃ったわね」
「はい ステラさんのおかげです」
「ともかく寝ましょ
結局丸1日仕事だったし」
俺とステラさんは宿に戻り
ベッドにダイブした直後に眠りに落ちた
「起きて 楽郎」
「んっ ってもう朝かぁ」
「力を使い切った後は結構眠っちゃうものよ」
「ヴィスターブが欠陥品って意味が分かりましたよ
最後は力が出せなかったですし
めっちゃ魔素っての使うんですね」
「そうね」
ドンドンドンッ!!!
誰かが俺達の宿のドアを叩く
「失礼するよ!」
ガチャガチャっという音がした後にガッとドアが開かれる
鍵かけてたはうじゃ
「アリスラさん!?」
「頼む ステラさん
ヘスを助けて!!!」
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