第10話 To the inference and go

「落ち着きましたか」

「えぇ 大丈夫よ」

宿にアリスラさんが訪れた

俺とステラさんは一旦落ち着いて状況を聞くために

アリスラさんに茶を飲ませる

でもヘスを助けてってどういう意味なんだ

「ヘスに何があったの?」

「誘拐されたのよ

店にはこれが残ってて」

アリスラさんの見せた紙 羊皮紙には

”店の女は預かった

返してほしくば明日17時までに街の中央の噴水にあるベンチの下に

金貨100枚の入ったケースを置け”

「金貨100枚って」

「金貨1枚で銀貨100枚よ

ほとんど生活で金貨なんて使わないのよ 重たいし」

ステラさんが俺に小声で耳打ちする

「金貨100枚は準備できそうなんですか?」

「無理 借り入れもせいぜい10枚が限界」

「ってことは恐らく犯人は店の事情に詳しくない人物か

もしくは単なる見せしめを狙った殺人が目的ですね」

「あら詳しいのね 楽郎」

「いえ 何となく」

「街の治安維持は軍を用いてるんですか?」

「基本的にはね 

ただこの街はこういう気難しい職人が多いとこだから支部を置かずに

隣街にあるのよ」

「治安維持軍に連絡すれば恐らく解決は」

「駄目よ 治安維持軍は軍に準ずるがゆえに

犯罪者の殺害が第一

ヘスが人質になってようと躊躇なく犯罪者を殺すわ

最悪の場合だけしか頼れない」

「俺達でやるしかない ですね」

「そうね 流石に今回は楽郎はアリスラさんの護衛を」

「何いってんだい あたしも行くよ」

「そんな!

危険すぎます」

「1流とは言えないまでもうちの大事な職人さ

一通り教え込んで来たんだ

今更勝手に死なれちゃ困るよ」

「戦闘は?」

「楽郎 あんたよりはちょっと強いよ」

アリスラさんが小型のハンマーを取り出すと同時に

熱気が部屋を支配する

「なるほど」

「よし まずは誘拐犯のアジトを特定だな」

「何から特定するかだけど」

「まずはこの紙だな

アリスラさん 顕微鏡か何か 細かい粒子を見えるものありますか?」

「工房になら粒子鏡があるけど」

「なら工房に行きましょう」

「楽郎ってもしかしてこういうのの方が向いてる?

探偵っぽいなんか調べたりとか」

「戦闘よりは向いてるかもしれないですね」

「そうなんだ ちょっと意外」

「見直しました?」

「元から頭は悪くないと思ってた 見込み通りよ」


「楽郎くん 見えたよ

細かい砂粒の粒子ね

黒いけど ススじゃない

ここの辺りだと街の外にしかないわね」

「街の外で人通りが少なくて閉じ込めておけそうな場所」

「「廃鉱山!!」」

ステラさんと俺の声がハモる

「すごいのね 楽郎くん」

「廃鉱山か」

「作戦は私が立てるわ」

楽郎は1人で表の入り口から入って

私とアリスラさんが裏の入り口から天井スレスレを飛びながら合流する

単純だがステラさんの能力を知らない相手になら通用するだろう

「私飛べないけど」

「私の星に乗れば大丈夫」

ステラさんが火星に似た星を出現させる

大きさも調整できるらしく座椅子のサイズになっている

「乗り心地は悪いだろうけど」

アリスラさんが火星に似た星に乗る

「戦闘用にしてはクッション性高い

これは何の素材で再現してるのか解体してみても」

「だめ 絶対だめ」

「ちょっとだけ」

「2人ともどうどう」

ちょっと心配だがまぁこの2人なら大丈夫だろう

取り戻すんだヘスさんを

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