第5話これからの不安

静寂が部屋を支配していた中で最初に言葉を切り出したのは鈴音だった。

「ねぇ。今のって。」

困惑した表情でどこか怒りを感じるような声音で聞いてきた。

俺は

「恐らく犯人だろう。」

と返した。

すると鈴音は

「今すぐ見つけ出して殺してやる。」

と怒りに満ちた表情と声色で言った。

俺はそれに対して答えることなく、今出たものの中で何かヒントになるようなものがないかひたすら頭を回転させる。

そしてふと思い出したのは謎の唸り声だった。

頭の中では今持っている情報と先程の動画の接点が他にも無いかひたすら考え続ける。

「さん…ぃさん…兄さん!」

と鈴音の声により正気に戻る。

「あ…あぁ。どうした?」

と返事をすると鈴音は

「それは兄さんの方だよ。返事がないからもう一度声を掛けたら目が虚ろになっていってるんだもん。兄さんこそどうかしたの?」

と状態を教えてくれた。

「と、取り敢えず現状を把握しよう。」

と俺は話を少し無理やりに変える。

鈴音は何処か納得していないような様子で

「まぁ、分かった。」

と不服そうな感じで返事をされた。

そのまま鈴音は確認をしていくように淡々と言っていく。

「あの動画から考察できるのは、さっきの人が恐らく犯人だろうということ。黙っているだけかも知れないが他の人がおらず単独犯の可能性があるということ。兄さんは他になにか気づいたことあった?」

と案外動画を見てしっかり考えていたことを知り少しだけびっくりした。

そして僕は、僕で考えていたことを少しだけ話してみる。

「鈴音が気付いたか分からないけど、あの動画の中でなにか獣の唸り声みたいなのが聞こえたんだ。あと、鈴音の考察の中で単独犯の可能性と言っていたけど相手は国際的に死人を出しているから他の仲間は移動していて、あいつは司令塔みたいな役割かもしれない。だから、単独犯と考えるよりあれがリーダーと考えたほうがいいということ。後は世界を混ぜるということについてだ。鈴音どう思う。」

と、一番謎な部分について鈴音がどう思っているのか聞いてみた。

すると鈴音は

「正直、そこがわからない。実際にそんなことが起きたとして食料と住居、自衛手段の3つさえあれは頑張れると思う。」

と率直な感想を述べてきた。

僕は

「住居に関してはここを拠点にすればいいとして食料と自衛手段か。」

とどう対応していいかわからない2つに関して考える。

そこで鈴音が

「食料に関しては今後のことも考えると主に缶詰とかインスタント類とかの非常用の食べ物は沢山あっても困らないと思う。ついでに言えば水とかも沢山確保しておけばこれからなにかあっても困らないと思う。後は、自家発電機と防寒具とか?それ以外には……」

と、途中から独り言のようにぶつぶつと呟き一人で何かを考えているようだ。

そんなすず音を見ながら僕は、これからどうするべきか少し悩むのであった。

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失った少年 大切を守るために テラル @pamutto

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