幽霊って科学的に証明できるものなのかな
あの莫大な魔力反応はすぐに消失した。
痕跡を辿ろうにも、そんな物はなかったと言わんばかりに、それらしき反応がなかった。
やっぱり気のせい? でも、私の記憶には確かに莫大な魔力があった。
でも、あれから2ヶ月くらい経ってもあの時みたいな魔力は感じないからなぁ。
もう一度同じような状況になれば、逆探知できるのに。
なってくれないかなぁ……くれないかぁ。
2ヶ月は経ったし、もう気にしないようにするべきかな……その方が良いかもしれない。
またあの時みたいになったらなったで。その時に気にすれば良いしね。
ちなみにつくねは、あのクソデカ魔力に当てられて気絶した。
私でもあんな大きな魔力出したこと無かったからね。気絶するのも無理はないよ。
世界で魔力を少しでも感じれる人は気絶とか。気絶までとは行かなくとも、悪寒がしたんじゃないかな。まぁ、それは全部過去の話だから気にしないでおこう。
私は村を訪れてから今日まで、ここに留まっている。何故かと言うと、つくねがやはりと言うべきかこの村の冶金技術が気になったらしく。村の人達と当たり前のように仲良くなって、鍛冶をし始めたからだね。
つくね自身は身振り手振りで、村の人達が知らない技術を伝えて。村の人達はつくねの知らない技術を伝えて。という風にそれぞれの知識を出しあって、より優れた技術にしようとしてるみたいだね。
私は鍛冶は手伝ってただけで、ちゃんとしてたわけじゃないからさ。つくねのことは何も手伝えないんだよね。
みんな自分のしたいことをやってるから、私も私のできる何かをしようと思って久々に龍脈を確認してるんだよね。
で、気づいたんだけどさ。
なんか、魂がたっっっっくさん通ってる場所がな~ぜか龍脈のすぐ近くにあるんだよね。
そんなもの前は無かったのに。
おかしい。
絶対におかしい。
魂…………死者……輪廻……………ふぅん。
ネ ロ か!
ちょ~っとネロのところに殴り込みに行こうじゃないか。実際には殴らないけど
いざネロのところにレッツゴー!!
目を開けると遥か昔に転生し、それから何度も訪れて見慣れたあの真っ白な空間が広がっていた。
相も変わらずの景色で。今は昔のように魂じゃなくて、肉体のままここに来てるけど。それでも水中にいるかのような不思議な感覚は変わってない。
やっぱり、何度来てもこの感覚だけは少し慣れないね。
少し考えていると目の前の空間に見たことのある黒い穴が出現した。すると、その中から一見少年のように見える中性的な女神が現れた。
そう、私の友人のネロだ。
そして、今回の謎の魂の通り道の犯人であろう容疑者でもある。
「やぁ! ベルちゃん久しぶり! ボク的にはそこまで経ってないけど、多分ベルちゃん的には凄く時間経ってるでしょ?」
『久しぶりだねネロ。それとべつに200年くらいしか経ってないから全然だよ?』
「そうなの? じゃあ久しぶりでもないのかな?」
『まぁ、そんなことは置いといて。少し聞きたいことがあってここに来たんだけど。ちょっと良い?』
「なになに? ベルちゃんになら何でも答えてあげるよ! さぁ! 聞きたいことを何でも聞いてごらん!」
ネロはそう言うと、無い胸を張りえっへんと誇るように私に言ってきた。
『ネロさ……魂の通り道ってあったよね?』
「うん? そりゃぁもちろんあるよ! 魂の通り道がないと魂を回収しづらいからね!」
『ふぅ~ん……私が作った龍脈っていう魔素を管理するための道があるんだけどさ。その近くに大量の魂が流れてる道が出来てたんだよね』
「あ」
『ネロだよね? 魂の通り道を龍脈のすぐ近くに持ってきたのって』
「ッスー…………うん、そ、そうだよ。で、でも! なにも問題はないでしょ!? ただ近くに持ってきただけだし!」
私のちょっとした怒りを少し感じたのか。ネロが少しだけ焦ったように喋った。
問題がない……ねぇ? 確かに問題がなかったら、私も特に気にもしてなかったよ。だって魂が通ってるだけだしね。
でも、私がここに来たのにはちゃんとした理由がある。
『問題ありまくりだね! 確かにネロは特に問題ないだろうと思って、魂の通り道を龍脈の近くに置いたんだろうけどね? でも! 龍脈っていうのは魔力の通り道なわけで結構繊細な物なの!』
「そ、そうなんだ」
『そう! 私が龍脈を作ったんだから誰よりも龍脈のことを知ってるんだよ! 龍脈は元は魔素を管理するものだけど。魔力は魔素から生成するものだからか、龍脈は魔力に影響を受けやすいんだよ。ここでネロに質問! 魂は主に何で出来てる?』
「えっと、基本的には神力と高純度の魔力っていう神と世界の2つの要素で出来上がってるね。……あ! 高純度の魔力!」
『そう! 龍脈は繊細で魔力に影響を受けやすいって言ったでしょ? 龍脈の近くに高純度の魔力の塊の魂が通る道なんて置かれたら。龍脈が不安定になるんだよ! 現に龍脈が少しだけ不安定になったせいで魔物が発生しやすくなってるんだよ!?』
そう、なんか最近魔物がやけに多いなぁって思ってたら。なんと龍脈が不安定になって空気中に含まれる魔素の量が増えていたのだ。
それに気がついた時には思わずキレそうになったよ。私がどれだけ苦労して空気中の魔素を減らしたと思ってるんだか。
変だなぁと思ってたところに原因と思わしき物を発見したんだから。これのせいか! って思わず思念として出ちゃったからね。
「ありゃぁ、ベルちゃんごめんね! そうなると、急いで元に戻した方が良いよね?」
『いや、あと少し離して貰えれば問題はないよ。本当にギリギリ干渉してるっぽいし』
「なるほどなるほど! 了解! じゃあちょっと待ってね…………よし! これで問題は無くなったはずだよ!」
ネロが確認するように促してきたから。空間を歪ませて龍脈に接続して確認してみる。
すると、先程の龍脈の乱れが嘘のようになくなっていた。
『うん、龍脈がきちんと安定してるよ。問題は無いはず……いや、もしかしたら地球上で何か起こってるかも? まぁ、それは私が確認して対処するよ』
「いや~本当にごめんね! まさかボクもこんなことになるとは思わなかったんだよ!」
『いや、ちゃんと対処してくれたから大丈夫だよ! それに、普段からお世話になってるから、正直一回のミスくらい全然問題ないよ』
「そう言ってくれると助かるよ! 今回ここに来たのはこのためだったんだよね? てことは、それも解決したし。もう帰っちゃう?」
『あ~用事はそれだけだったし。地上に異変がないか調べたりしたいし。来て早々になんだけども帰って良い?』
「全然良いよ! 別にそんなこと気にしなくても、いつでも会えるんだから! また今度会うときにゆっくり話そうよ!」
『うん! またね!』
ネロに別れの挨拶をすると、私は地球に戻った。
さて、まずはエレスが作った国に変化がないか確認しに行こうかな。今はギルガメッシュとかいう王が治めてるけども。
そうだ!
国に行くついでにエレスにも会ってこよう! エレスは今、国のすっごい地下に空洞を作ってそこで暮らしてるんだよね。結構前に光る苔あげてから会ってないけど、あの空洞どのくらい変わったんだろう。
色々改造するって言ってたし。凄い秘密基地みたいになってるのかな?
まずは国に行くまでの道中に異変がないか確認しよう。丁度、龍脈の本流から派生した細い龍脈が流れてるし。
じゃあレッツゴー!
あ、つくね連れていこうかな。
いや、でも……つくねは今、村の人達と鍛冶をしてるからなぁ。なら、また今度で良いか。
さて、周りに人はいないかな? おっと、村の人がこっちを見てる。少し物陰に隠れてっと……龍脈が派生したところまで転移!
一瞬のうちにして、さっきまで少し家が建っていた場所とは明らかに違う。自然溢れる森の中に風景が変化した。
目的の国まで駆け抜けて行くけど。異変がないかの確認はしっかりとする。
魔力探知に異常はなし。気の探知にも異変はないね。
結局、目的の国が見えたけど異変は1つもなかった。そして、国に異変がないか探知をしたとき国の丁度真下。そのさらに奥深くに異変を探知した。
丁度その位置はエレスが新しく拠点にした空洞の位置だった。
これは……エレスが何かしてるから探知に引っ掛かったのか。それとも龍脈に魂の通り道が近づいたことによって、起きた異変に探知が引っ掛かったのか……どっちだろう?
いつまでも考えていてもわからないし、見に行こう。
異変を探すついでにエレスの位置もわかったしその近く座標を合わせてっと……転移!
転移すると、そこには光る苔が繁茂する巨大な空洞だった。
そして、すぐ側に目をやると。急に現れた私に驚いて固まった、若い頃の姿をしたエレスがいた。
そして、しばらく固まっていたかと思ったら急に動き出した。
「ベ、ベル様……!? いきなり現れないでください! 心臓が止まるかと思いましたよ!」
『心臓は別に止まっても生きていけるのに?』
「そう言うことでないです!」
ちょっと、からかっただけなのに怒られてしまった。涙が出てくるね。
エレスからのお小言を横に流しながら、改めて巨大な空洞を観察してみる。
光る苔が繁茂していると言ったけど。実際には所々苔が生えていなくて、暗くなってるところもある。他にも霧? みたいなモヤモヤした物が地面の近く……人の膝丈ほどの高さを覆っていることわかる。
いや、このモヤモヤ……確かに霧だけど霧じゃないね。霧の中に微弱な魔力を感じることができる。この魔力の練り方の癖からしてエレスだね。
霧の正体について考察してると、顔のすぐ横にエレスが近づいてきた。
「はぁ、今まで言っていたこと。ちゃんと、聞いていましたか?」
『え? あ~……うん!』
「……その様子だと聞いていなかったようですね。ベル様……私が感情を読めるということを忘れているでしょう。適当に答えたということくらいわかりますよ」
『あ、えっと……ごめんなさい』
「いえ、いつもの事なので気にしませんよ。それより、ちょうどベル様なら知っているんじゃないかと思って。ベル様を訪ねようか考えていたところなんですよ」
『知ってる?』
エレスは少し困ったような表情した。
「……集合!」
『え? 集合?』
「はい、少々お待ちください」
エレスに言われたよう少しだけ待っていると。ふと、エレスの周囲に光る謎の炎のような玉があることに気がついた。
いつからあった? 私が気づかなかった?
そもそもこの炎の玉は……?
疑問に思っていると、霧の中から現れるように、周囲から続々と炎のような玉が集まってきた。
「100……から200年? ほど前に現れたんですけど。どうやら意志があるようで私に懐いてるみたいなんですよ」
『へ~100年から200年前ね。それに、意志があるのかぁ。じゃあ魂があるってことだね』
ん? 魂がある?
魂は自然には発生することは殆どない。発生するにしても、それは近くに高次元の存在がいないとあり得ない。
魂といえば……魂の通り道。
…………ッスー。
異変の正体って……これだよね。
もう一度エレスの周囲に集まっている炎のような玉を見てみる。今度はしっかりと観察をする。
じっと見つめ魂に記されているその魂の情報を見ると、炎のような玉の魂はほとんどが生前が動物のものだった。ほんの一部に生まれてすぐに死んだ人間の赤ちゃんの魂もある。
そして、その全てが魂の通り道を通っていた最中だということがわかった。
これは、確定だね。
それにしても炎に見えて実際は可視化できるほどに濃密な魔力の塊……私の身体と似たような物でできている。でも、私と違って触ろうとしても通り抜けるようだけど。
妖精やドワーフ、エルフときて……今度は幽霊かぁ……次は宇宙人とかかな?
――――――――――――――――――――
オオキャミーでございます!
2週間ぶりくらいですかね?
どうやらカクヨムコンの中間選考突破したみたいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます