人の数だけ生き方も違うよね

少年は気絶して数十秒で復活した。

起きて早々騒いだと思ったら、ふと何かに気づいたように急に黙り込んで周りを見渡し始めた。



「この、モヤモヤしてるのが……気?」



おや。おやおやおやおや。どうやら気をハッキリと認識できるようになったようだね。

気を動かしたから、体が急いで気と適応して見えるようになったのかな?

気はもともと体を流れてたわけだし、すぐに適応できてもおかしくないね。


『ちょっと質問するけど。私の中心あたりに濃い色がついてる気の塊がない?』


「え? あ、あぁ……たぶん、見えてる」


『それはねその生き物の精神状態を表してるんだよ。言うなれば心の目……心眼だね』


「心の目……?」


『そうそう。生き物ってさ、感情があるでしょ? 悲しくなったり、怒ったり、幸せな気持ちになったり。そういう相手の精神状態、感情がわかるんだよ』


「へぇ……じゃあ、これで相手に悪意があったら。それもわかるのか?」


『もちろん! その色の塊って一色だけじゃないんだよね。だって人って同時に色々な事を考えて、感じるでしょ? そのなかで、悪意は黒なんだよ。その反対の白、というよりかは光みたいなのが善意だね』



私は疑心暗鬼になりそうであまり使わないけど、この心眼結構使えるんじゃないかな。


たとえば、相手を思って怒っていたら怒り赤に白が見えるし。自分の中のイライラをぶつける、要するに悪意をもって怒っていたら赤に黒が混じる。

そんな風にして心眼は相手の気持ちを読むことができるから。信頼できる人を探すのに役立ちそうな力がある。

何度でもいうけど疑心暗鬼になりそうだから私は使わないけど。


『幸福は黄、悲しみは青、怒りは赤、恐れは紫、嫌気は緑っていう風に無数にあるから。気になるんだったら自分で見つけていけば良いよ』


「????」


『あーごめん。色の細かい概念が無いよね』



エンリちゃんは元々本を読んでいて、色について知ってたから色の細かい違いもわかったけど。今の時代じゃ正確にこれが赤とか、これが紫とか共通してるわけじゃないからどの色かわからないのか。

こういうときは光魔法で色を作ってしまえば良い。


オリジナル光魔法:神のパレット光あれ


いやぁ、ハイテンションの時にノリと勢いだけで作った、ただ色々な色に光らせる魔法が今回役に立つとは。

少年の目の前に様々な色の光の玉を出現させた。



『こっちから、赤、青、黄、緑、紫、橙だよ。基本的な色はこんなものかな。この色を基本として感情を読むんだよ』


「なんほどわかった。今の自分の色は色々な色が混じっているから、困惑ってところか。」


「色で感情を読む。そうか、じゃあ聞くんだが。……何も色がなかったら。それはどういう感情なんだ? 


『…………』


「いや、何もないってわけじゃないのか。本当に薄くだけど色がある。これは……黄? でも、今にも消えそうだ」


『それは、目が疲れてるんだよ。心眼は使いすぎると目が疲れちゃうから。生物の色を見ないって意識してみて? それで心眼を切ることができるから』



いやぁ、初めて眼の力を使うと目に微量だけどもダメージが蓄積されるからね。慣れたら目も眼の力に適応して何の問題もなくなるんだけどさ。


「できた、自分の色も見えなくなったし。でも、流れてる気は見えてるままなんだな」


『まぁ、心眼の力の出力を押さえただけだからね。心眼は出力を変えることで見えるものが変わるんだよ。最低まで抑えたらうっすらと気の流れが見える程度になって。最大まで出力を上げれば目を瞑ってても周りの状況を把握できるようになるよ。慣れは必要だけどね?』


「へぇー……確かに抑えてるような感覚があるな。目は楽になったけども少しだけ窮屈? ところで、あんたの頭の上に生き物の気の流れが見えるんだけど……」



? ……あ! つくねのことか!

つくねはさっき無視されていたせいで、現在は私のフカフカな毛の中でふて寝中なんだよね。

起こすのもあれだし、説明だけで良いか。


『今は眠ってるけど私の家族みたいなものだよ。だからそこまで警戒しなくても大丈夫だよ』


「ふ~ん……」



少し懐疑的な目で見られてるけど。まぁ、いいや。


「俺はそろそろ、ここから動くんだけど。お前はどうするんだよ」


『およ? てっきりもう少し私のお世話になるのかと思ってたけど』


「いや、さすがに頼りっぱなしなのはダメだろ。それに、俺は1人で生きていくって決めたんだ」



強い子だな~。よし、気に入った。もう、加護あげちゃう。

えいえいっえいっ。


『じゃあ、ここでお別れだね。少年は偉いね~』


「そっか、色々と教えてくれてありがとう。もし、またいつか会うことがあったら、その時にお礼をさせてほしい」


『いやぁ、本当に良い子だねぇ~。じゃあ、次会うときを楽しみにしておくね。ひとつ、アドバイスをするとするなら。気は意識して体の隅々まで流して、寝てても無意識のうちに体内を循環させれるようになると良いよ』


「わかった。とにかくお前から教えてもらったこの気で生き抜いていくよ。じゃあな!」



少年はそういうと森の奥へと歩きだした。

少年の姿が完全に森の奥に消えたのを確認して私も動き出した。



『つくね~起きな~? ……ありゃぁ、完全に寝ちゃってる。魔物は睡眠必要ないはずなのに……珍しいなぁ』



よし、他の文明を確認しに行こう。

どこに行こうかな。

エジプト辺りとか? あそこって多分文明あるよね。

とりあえず、まずは行動だね。


私は行き場所を決めずに空へと駆け出した。
















で、あの少年と出会ってから1年が経ちましたと。


やっぱり1年って一瞬だなぁ。

1年がもっと長くなれば良いのに……暑い冬も寒い冬も越えて、また暑い夏になりかけてるよ。

あれからエジプト辺りに行ったんだけど……なんか、砂漠じゃなかった。

砂漠というよりもサバンナ? 水も全然あったし。文明になりそうな集落とかも見つけたりはしたよ。なんか、比較的川の近くに集まってる気がする。


とある集落に神々しい気配とかを全力で消して数ヶ月一緒に過ごしたりとかもした。

最初は警戒されたし、なんなら多分、新しい獲物として見られてたかもしれない。

ちなみにつくねにも普通の鳥のふりをしてもらってた。

なんでわざわざそんな面倒くさいことをしてたのかというと。


私って神々しいから人が私の姿を見ると基本的に、おそおののくか崇めるかの2択で普通に接してくれないんだよね。


それでさ、人の通常の普通で平凡な普段の姿見てみたいじゃん?

てなわけで私、考えた。


考えて。


考えまくって。


ふと思い付いた。



私が普通になってしまえば良いじゃん! ってね。


フッ私の天才が溢れ出てきちゃったよ。

天才が溢れ出るってなんだろう。

まぁ、いいや。


そんなこんなで、私とつくねは人間の生活に紛れ込んだんだよ。

獲物とかをたまに取ってきてあげてたら仲間として認識されたのか、しょっちゅう撫でられたりとかもしてた。私のモフモフの毛には誰も抗えないんだよフフフ!


急にいなくなっちゃったのはあれだけども。多分気にしてないでしょ。

それに、たかだか数年生きただけの人間ごときに私の行き先を制限させられたくないし。

わざわざお別れの挨拶なんてしないよ。

だから、何の前触れもなくなっても私は悪くない!


まぁ、そんな風に言語を集めたりして1年が経ったわけだけども。

あの村に行く最中に魔物の気配を察知した。

その魔物の近くに人の気配もあるから、魔物が人を襲ってるって考えた方がいいね。


今もどんどん人の気配が減ってるし、結構強い魔物なのかもしれない。



『つくね~今から行くところに魔物いるけど、つくねが相手する?』


「ピ? ピー!」



ありゃりゃ。遠慮されちゃった。

じゃあ、私が魔物は殺しちゃおうか。


魔物の所へレッツゴ~!



――――――――――――――――――――

オオキャミーです。はい。


親に制限をかけられちゃいまして。普段、夜0時以降に書いてるんですけど。

制限をかけられた時間が丁度0時以降なんですよね。



………へへへ。


テヘペロ(・ωく)


なんとか暇な時間を見つけて書いてはいるんですけど、学校もあるので投稿ペースがありえないほど低頻度になります。

読んでくださってる方には、待たせてしまうことになるんですけど……どうか気長に待っていてくれないかな~とね。

はい。思ってたり思っていなかったり。



とりあえず。


更新遅くなってごめんなさい(-人-;)

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