階段から落ちたりしたら、一瞬死んだかと思うよね


『やっほ、ドワイル。どうするか決まった?』



神域から帰って真っ先にドワイルを呼び出して、神域に移動してくれるのかを聞いた。

表情からは何も読み取れない。だってずっと仏頂面だし。



「あれから…………いろいろ考えた。まぁ…………良いだろう」


『お? てことは神域に来てくれるの?』


「……あぁ」



よかったぁ~!

次の世代を待たないですむよ。

決まったからには、これから色々と準備をしなきゃだよね。

すでに神域の方の拠点予定地はあるから、洞窟の民……いや、ドワーフとエルフに移動することを伝えないとね。あ、でも族長だから2人ともすでに伝えてるかな?

ほうれんそうって大事だよね。健康にも良いし。


とりあえず、ドワイルにはドワーフ全員に伝えるように言っておこう。

エルスは……まぁ、後で良いや。



『ドワイル、ドワーフ全体にいずれここを移動するってことを伝えておいてね』


「わかった……」



ドワイルは返事を返すとそのまま部屋から出ていった。

とりあえず私は神域に移動させるための準備でも始めようか。

ちなみに、つくねはひたすら鉱石を仕分けては自分の炎で延べ棒にするということを繰り返してる。

当分の問題として、どうにかして金槌を使えるようになりたいらしい。

とりあえずつくねには今のところ金槌は、魔力操作の練習として使わせている。

魔力操作が上手くなれば金槌を変形させるのも早くなるし、つくねは金槌を上手く扱えるようになるかもしれない。一石二鳥ってやつだよ。



◇ ◇ ◇



私は洞窟と森を円で囲んだ場合に、その一番北側の位置にあたるところにやって来た。


今からするのはマーキングだ。


あ、動物がするやつじゃないよ? マーキング、要するに印をつけるってこと。

なんの印かと言うと、神域にドワーフとエルフを飛ばすための目印だよ。

1ヶ所に集まってもらって移動するのもアリなんだけど、万が一1人だけ集まってなかったりして取り残されたりとかしたら大変でしょ?

だから広い範囲を囲ってその範囲内の生物を一気に神域に送ろうって魂胆なんだよね。


こっちの方が楽だからってのもあるよ。

みんなを集めるとなると時間がかかっちゃうからね。

エルスやドワイルに移動することを伝えてもらったら、あとは自分1人で物事を進めれるだろうし。


私はアイテムボックスから自分の肋骨を取り出すと、自身の長年放置されていた毛を中に埋め込み結界魔術陣を刻み込んだ。

これを合計六本用意する。

1個、2個、3、4、5、6っと。


よし、全部できたね。


私は完成した印のうち1本を地面に突き刺した。


グサッ!


よし、あと5本。

西と東と南、あとは北西、東北、東南、西南の場所に突き刺せば完成だ。


というわけで中心部の上空に行きましょう!





空歩で空を駆けて空中にやって来た。

てなわけで、後は一気にやってしまおう。

最近、距離が伸びた念動力で一気に地面に刺していく。

魔力で円を作って刺すところに目印をつけているから楽に刺せるよ。西、東とどんどん刺していき、そして最後に南に突き刺した。


次の瞬間地面に刺した肋骨を結ぶようにして魔力の線が駆け巡り、半球状の結界が張られた。

これで、この結界の範囲内のドワーフやエルフを神域に簡単に移動できるようになった。


ちなみに、今回使った肋骨の目印でどうして結界が張れたのかと言うと。

肋骨と長年放置された毛で、魔術の効果を爆上げ+場所の把握して。魔術陣で結界と、肋骨が一定の範囲土に触れた時に魔術陣が発動するようになる魔術陣を刻み込んでいて。

さらに言うと肋骨全てがリンクするようになっていて。全てが地面に刺さったときに魔術が発動する仕組みになってるんだよ。

だから、5本刺さってても1本刺さらなければ絶対に魔術が発動することはない。


さて、族長2人は全員に伝えたかな? 今聞いちゃおう。


私は魔力の細い糸を作ると2人のいる方向に向かって伸ばし私と2人の間を繋いだ。


『あー聞こえる~?』


『こ、この声……声? は、ベルさん!? ど、どうなって?』


『ふむ、これはあの狼の声か。いや声と言うよりは、意識そのものが伝わってくる。おそらく今俺が考えていることも、あの狼に伝わっていると考えるべきか。やはりあの狼は普通ではないな。いや、この事も伝わっているのか。そうなると……あぁ、聞こえている。これで良いのか?』



????


今怒涛の勢いで流れてきた思念は明らかにドワイルだよね? え? いつもは口数少ないけど頭の中ってこんな感じなの?



『えっと……ドワイル……だよね? 頭の中ってそうなってたんだ』


『え? どうしたんですか? ドワイルがどうかしたんですか?』


『あぁ、基本的にそうだ。まぁ、俺はいつもいざ口に出そうとすると、どうしても口数が少なくなってしまってな。人が多ければ多いほど喋れなくなってしまう。頭の中で考えれば伝わるこれはとても良いな』



所謂、コミュ障ってやつなのかな?

エルスにはドワイルと魔力の線を繋いでないから聞こえてないみたいだけど。

多分聞こえてたら驚いてただろうな。



『あぁ、エルス何でもないよ。とにかく、2人に聞きたいんだけど移動することを全員に伝えてくれた?』


『ええ、僕はすでに伝えましたよ。皆簡単に納得してくれました』


『あぁ、きちんと伝えておいた。特に反対とかは何も言われなかった。まぁ、俺が長だから反対するやつなんていないと思うがな』


『なるほど、じゃあ明日には4日後に移動でいいかな? それまでの間に必要なものとかを、纏めておいてほしいんだけど』


『わかりました。そのことも皆に伝えておきます』


『ふむ、4日後か。まぁ、なんとかなるだろう。了解した、皆に伝えておこう。……それにしても、やはりこの数字と言うものは良いな。どれ程の期間か簡単にわかる』



伝言がすんだから魔力の糸を切って遠距離思念伝達を終えた。

4日後までに神域の移動地点を創っておこう。





◇ ◇ ◇


そんなこんなで4日が経過した。

エルフもドワーフも神狼眼で見てみると色々な荷物を持ってた。

2日前に一度神域から帰ってつくねの様子を見たんだけど、あの異空間に収納できる輪の中に大量の鉱石をいれていた。

もう鉱石を保管するところは、すっからかんになってるよ。



じゃあ、移動させる演出でも入れて転移させようかな。地面をそれっぽく光らせてだんだんと光を強めていく。

そして、最後により一層強く光らせ転移させた。






おぉ……驚いてる驚いてる。

まぁ、いきなり景色が変わったら驚くよね。

ドワイルとエルスはきちんと伝えておいたから、驚いてはないけど珍しそうに周りを見てる。


エルフとドワーフを転移させた場所。

そこは、ちょっとした草原が広がっていて。先を見れば広大な森が見え、その先には雄大な山が見えている。


まぁ、絶景ってやつだね。


とりあえず魔力の糸を2人に繋いでっと……今回は2人の間も繋いでおこう。



『2人とも、聞こえる? 奥の方に森と山が見えると思うんだけど』


『あ、ベルさん。えっと、あぁあれですか』


『狼よ、ここは素晴らしいな。しかし、ここには鉱石は存在するのか? いや、掘ってみればわかるか。だがしかし、狼に聞く方が早いこともまた確か。ここは狼が創り出したと前に言っていたな。そこのところはどうなんだ狼』


『??? え? 今のはドワイルさん?』


『エルス、わかるよ。でも、これが普通だから気にしないで。……えっと、鉱石があるかどうかについてだけど。もちろんあるよ! だから安心してね』


『ふむ、わかった』



さすがはドワーフの族長と言うべきか。最初に気にするところが、鉱石かあるかとうからしい。


その後何個か質問を返すと、2人の族長は自分達の民を引き連れて、それぞれ山と森に向かって歩きだした。


これからは、それぞれで頑張って暮らしていけるでしょ。食べれる動植物も連れてきたり生やしたりしたし。

それに、エルフもドワーフもどっちも普通の人間より頑丈で強いからね。

エルスも凄い若々しい好青年みたいな姿だけど実際は50越えてるからね。



さて、地球に帰ろっと。

ちなみにつくねは私のいつものポジション……頭の上で眠ってる。しばらくは私についてくるからね。



今回は次元と次元の間を通って地球に帰ろう。



【オリジナル空間魔法:次元の扉】ディメンションポータル



次元と次元の間に通じる扉が開いた。

つくねに保護魔法をかけて門を潜る。


私の目に写った空間は魔素で満ちた、まるで星々が集まる宇宙空間のような光景が広がっていた。

ただ、宇宙と違うのは光りも時間も、魔素以外何も存在しないということだろうか。

星々が煌めいているように見えるのは私の神狼眼のお陰だ。魔素を見ることができたらこの光景を見ることができるけど。

普通の目にはただの真っ暗で無音の空間が広がっているだけだ。


さて、このまま高密度の魔素を纏ってまっすぐ進んでれば、次元に穴が開いて地球がある次元に通じるはずだ。



そうして、移動しようとした次の瞬間。



凄まじい衝撃が体を襲った。

この空間では音が出ないから気配を探っていなくて気づかなかった……!



!?



ヤバ……意識が……!




意識が薄れゆく中でつくねを自分の安全な異空間に急いで避難させた。









そして、私の意識は途絶えた。





















ッハ………!



気がつくと私は次元と次元の間を漂っていた。

衝撃が体を駆け巡った後の記憶がない。多分気絶してたんだろうな。


体を見ると足がいろんな方向に曲がっていた。

こういうときは、こうするに限る。


ザシュッ!


私は魔力で刃を作ると自分の首を切断した。そして、放置していると体が生えてきた。

いや~焦った。

一体なんだったんだろう


一瞬感知を発動した時に確認した、ぶつかってきた物の大きさは凄まじく大きかったけど。

例えるなら大陸ぐらい。



まぁ、いくら考えてもわからないし。

帰ろっと。


おっと。つくねを戻すのを忘れてた。

安全な異空間からつくねを出すと何か口を開いてたけど。

多分いきなり異空間に放り投げたことに文句を言ってピーピー言ってるんだろうね。




じゃあ、文句は地球に帰って聞こうか。






────────────────────────────

オオキャミー……………だぁ!


家族との用事があって、ひたすら遊んでて執筆が進まなかったぜ!


……すみません。


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