奴らは何処にでも現れる·······

ドルフに連れられ洞窟に来て、1週間くらい経った。

あたりまえだけど、最初に洞窟の人たちが私を見たときは皆ビックリしてた。

手に持ってた鉄塊をぶん投げてくるほどに。

投げられた鉄は私の体に当たってモフンと落ちた。

自分の体がモフモフで良かった···

あの鉄塊の速度、絶対時速100は越えてたでしょ。


ドルフが洞窟の人達に説明をしてくれたお陰で怖がられることは無くなった。

説明するだけで怖がられないってすごいなぁ。

私が人間だったら、説明されたとしてもこんなデカイ狼は怖いと思う。


そして無事?洞窟の人達に迎え入れられて歓迎パーティーというか宴みたいなのを開かれた。

お酒モドキも作ってたみたいで皆スッゴい量飲んでた。

ちなみにそのお酒を保存しておく物は木の中を丸々削ったものだった。

2週間ほどはそれに入れて涼しいところに置いて保管して、また別の丸太をくり貫いてそっちに移すって方法で保管してるらしい。


お酒···鉄···低身長ゴリラ···


やっぱりドワーフじゃん!!

あの洞窟の人達もドルフ程ではないけど、細胞に魔力が馴染んで筋肉が凄い圧縮されてたし!


ウェーンカロウシシチャウヨォォ!!


こんちくしょうめ!

頑張って魔素を薄くしたのにどうして!!


···今度ドルフ達を説得して神域に連れていくか、あの村の人達と合併?まぁ一緒に暮らしてもらおう。


もう都合が悪いものは全部、神域に放り込むようにしちゃおうかな。

うん、そうしよう。

その方が私の精神衛生上にも良い。


で、いろいろとあった中で問題と言うか、驚愕の事実と言うか不思議な出来事?いや、洞窟の人達も十分に問題で驚愕で不思議だけどさ。

それを越える情報が出てきた。

その情報は·······



【悲報!】洞窟の人達が信仰してる宗教が神狼教だった!!【朗報?】


なんで?!?!

もうやだ!

あの村の人達何やっちゃってるの!?


なんとか荒ぶる精神を落ち着かせてドルフに訳を聞くことにした。

一応信仰してる存在が私とは言わずにね。


そして聞いたら出るわ出るわ、新しい情報が。


まず1つ目。

神狼教がここに広まったのは、とある女性が昔この村に伝えたらしい。

ぜっっっったいにあの村の人だね。

100%そうだね!!


2つ目。

その女性はこの村の人と結婚して幸せに過ごしたあと亡くなったらしい。神狼教とかいう置き土産を残して。

ちなみに村の人達は、昔はまた別の洞窟にすんでたらしく、数年に1度移動してるんだとか。


そして3つ目。

そして、その女性の子供がドルフなんだってさ。

つ、つまり!ドルフの母親がその女性ってこと!?

まぁ、当たり前のことは置いといて。





ッスーーー····


いろいろと、面倒くさいなぁ···アハハハ。


私そろそろ泣いても良いよね。

なんで次から次へと面倒事が出てくるのかな!


ぐぬぉぉぉぉ···


よし、寝よう。

ここ2週間くらい寝てないしね。

ちなみにドルフから洞窟の中の一室?ちょっとした大きさの穴を紹介され、ここを拠点にしてる。



─────────

────


ぉ···ぉぃ·······


うーん?何ぃ?


おぃ·······!


「おい!!起きろフェンリル!!」


うわぁ!ビックリした!

なんだ、ドルフか。


「おい、フェンリル。お前がこの前言ってた鍛冶ってやつを儂に教えてくれねぇか?」


『鍛冶ぃ·······?』


んー?


ん~


あ、そういえばこの前のドンチャン騒ぎの時に言ったような気がする。


う~ん?言ったような言ってないような?


"記憶の図書館─入館"


目を開けると、白い空間に大量の本棚が並んだ場所にいた。

ここは精神的な空間だから、実際に私が移動したわけじゃない。

私の体は今も洞窟の中にある。


さてと、【検索:宴 鍛冶 ドルフ】


関連するワードを入れると、一冊の本が目の前にどこからともなく降ってきた。


ペラペラ


あ~同時に5人くらいと話してるときにドルフに言ってるね。

これは教えてあげないとダメだよねぇ。

自分もアニメとかゲームでのシミュレーションとかでしか知らないから、詳しいことは説明できないけど。


"記憶の図書館─閉館"



「?どうした、急に黙って」


『いや、なんでもないよ。鍛冶についてだよね。私も詳しいことは知らないから、ちゃんとは教えれないけどね』


「あぁ、だとしても鍛冶とやらには興味がある」


ほほ~ん、これは職人ですなぁ~。

この感じだと少し教えたら、自分でいろいろ試して良い感じに成功するかもね。


『じゃあいろいろと用意するから、少し待ってて。あと火を使うから鍛冶は外でするよ』


洞窟の中で火を使って一酸化炭素中毒なんてなったら、目も当てられない惨状になっちゃうからね。


ドルフが部屋から出ていったのを見て私も準備を始めた。


まず最初に何が必要か考える。

炉は絶対に必要だよね?

ハンマーも必要なのかな?

鉱石はすでにあるし···

熱した鉱石を掴むのは私の念動力か魔力で良いか。金床?鍛冶台はどうしよう。

うん、私の体で良いね。

ハンマーは私の抜けた歯で代用し···いや太ももの骨で良いや。

金型は魔素で作りだ····あ、他のも魔素で作れば良いじゃん!


ま、まぁ魔素で作るのも少し面倒くさいしね!


うん、気にしないようにしよう。


道具(自分を含む)を用意したからドルフの近くに転移をする。






「ぬをぉ?!いつの間に!?」


『今来たんだよ』


いきなり隣に現れたから驚かせちゃった。


とりあえず、まずは炉を作るんだけど·······どうすれば良いんだろう。

ゲームの画面で見たような物をそっくりそのまま作って、そのまま再現した方が良いのかな?

うーん、とりあえず火を燃やすところと鉄を溶かすところを用意すれば良いのかなぁ?


魔力を地面に染み込ませ土をうねうねと動かしていく。


「うぉ!?なんだ!?地面が動いとる?!」


『私がしてるから別に気にしなくて良いよ?』


「いや、気にするなと言われてもな」


今魔力で土を動かしてるけど、魔素で動かすのと魔力で動かすのは結構違う。

魔素は動かすと言うよりかはコピーして増殖させてるのが近い。

それに対して魔力はそこに存在してる物体その物を動かしてるんだよ。

まぁ、魔力の方が楽だからこっちで動かしてるんだけどね。

対して変わらないけど。


「うぉぉ!これがお前が言っていた炉?というやつか?」


『いや、私も実際に見たことはないから多分だいぶ違うけどね』


「ふむ、それでここからどうするんだ?」


『この中にあの固い石を入れてくれる?』


「あぁ、わかった」


魔力を圧縮して作った入れ物に鉄鉱石を入れさせた。

入れ物は用意できなかったし、用意しようにも何で作れば良いのかわからなかったから魔力で代用した。


金型も魔力で代用することにした。


すでに火を入れている炉モドキに鉄鉱石を入れて熱していく。

鉄って何度で溶けるんだっけ?

ま、溶けるまで酸素を送り込んで火力を上げれば良いか。



私はこの時、気づいていなかった。

鉄を完成させて、鉄器を作るのに1ヶ月以上もの時間がかかることを。

自分の知識に結構穴があったことを。

自分が、火力バカだということを·····


──────────────

────


1日目

火力を上げすぎて炉が爆発した。

近くにいたドルフの髭に火が燃え移って危うく火だるまになるところだった。



4日目

どうしよう、加減が難しすぎる。

爆発させないようにすれば鉱石が溶けないし、溶かそうとすれば小爆発する。

多分慣れない作業だからこんな風になってるけど練習すれば細かく調整できると思う。

ちょっと10℃ずつくらい温度を変えれるように鍛えようかな?



10日目

やった!やったよ私!!

爆発もさせずに綺麗に溶かすことができた!

これでドルフの髭も燃えることがない!



12日目

溶かした鉄鉱石を型に入れて延べ棒?インゴット?ってやつを作ったんだけど·······


なんか、汚い。

多分、不純物が多かったんだと思う。



13日目

もう一回延べ棒を溶かして上に浮いてた物を取ったら少しだけ綺麗になった。

どうやら不純物と鉄が分離したらしい。

まぁ、本当に綺麗になったのは少しだけだったんだけどね。



18日目

あれから何度も浮いてるのを取り出しては固めてを繰り返して結構綺麗になった。

ドルフも慣れてきたみたいで、朝起きたらすぐに外に出るようになった。



20日目

今日はとうとう鉄で道具を作ることになった。

金槌の代わりを用意するために自分の後ろ足を切り落としたらドルフに引かれた。

すぐに再生したから気にしなくて良いのに。

骨以外の筋肉は削ぎ落として、神域の森の肥料にしといた。

あと、私を金床代わりにすると言ったらもっと引かれた。



24日目

流石にドルフも一発で成功するってことはなかった。

でも器用なのかどんどんと上達していってる。

最初、あの筋肉によって繰り出される一撃は私の身体を通り抜けて大地を砕いた·······


なんで?


今はきちんと力の調節も上手くなってる。

あと私は自分の体を魔素によって構築してるから、体の形を少し変えて平らな部分を作ってる。



36日目

長かった·······いや、別に今までと比べたら長くはないんだけど。

想定よりも時間がかかった。




今、私の目の前には一振の剣がある。

ドルフに剣の事を教えて最初に作ってもらった。

所謂ロングソードとかバスターソードとか言われる西洋の剣!って言われたら誰もが想像する形の剣を作ってもらった。

大きさもそのくらいの大きさで作ってもらった。

持ち手の部分は木を削って作ったけど、鞘は作ってない。


『ひゃほーーい!!格好いい!!!』


私はテンションが上がってブンブンと剣を口に加えて振り回した。

ヤバイ!楽しい!


ブンブンブンブンブンブンブンブン


ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!


振るスピードを上げると音がドンドンと高くなっていく。


ヒュパッ!!


あ、近くにあった木が切れた。

まぁいいや。


「そんなに気に入ったのか」


『うん、ドルフもお疲れ様!』


「いや、儂も楽しかった。鍛冶と言うのはこんなにも楽しいものなのだな」


ドルフも鍛冶が気に入ったらしい。

いやぁあの時ドルフを助けて正解だったね。

これからも是非仲良くして、格好いいものを作ってほしい。





────────────────────────────

オオキャミーダヨォ(裏声)!!


前回の更新から何日経ったんだ?

これで今月2話目ってマジですか。

投稿頻度亀より亀じゃん!!遅ーい!


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