ヒーローは遅れてくるものだ。でも、できればすぐに来て欲しいよね。
とある草原の丘、そこにとても美しく荘厳で格好良い姿をした者がいる。
青と金色のオッドアイで超イケメン。
そう、私だ。
ま、狼なんですけどぉ!!!
最後の狼で全てが台無しだね。いぇい!
まぁ、そんな超絶イケメンきゃわきゃわプリティークールビューティーな私は、これから旅に出る。
自意識過剰だって?
残念ながら事実です!
とにかく! 私は出発するぞぉ!!
レッツゴー!!
ズボッ!
一瞬の浮遊感の後私は穴に落ちた。
『ぬぁぁぁべらっしっ!!』
私の素晴らしきこれからの旅への第一歩は、落とし穴に落ちるところから始まった。
だぁぁぁれだぁぁ!!
こんなところに落とし穴掘った奴!!
あ、私だぁぁぁ!!
そうだ、思い出した。小動物かなんかとれないかなって、
バカじゃん!
エレス……さんざんバカって言ってごめんよ、私もバカだった!
すぐに自分の非を認めるなんて、聖人君子もビックリの潔さだね!
私謝れて超偉い。
さてと、落とし穴に落ちて沈んだ気分も自己肯定MAXで元通り。
今度こそ出発だ!
そして、出発しようとした瞬間ポツリと鼻先に水滴が落ちてきた。
あ、雨だ。
今から出発しようとしたしたのに!?
雨ぇぇぇぇ!?
ッスー
キレそう。
落ち着け~私。
そう、こんなときは深呼吸。
ヒッヒッフーヒッヒッフー……
さて、擦り倒されたネタもしたことだし、これからどうしようか考えよう。
思い付く方法は3つ。
1つ旅に出るのを後日にする。
実に簡単超絶単純明快。
この感じの雨は多分明日、遅くても明後日には止むからその時まで雨宿りすれば良い。
ただし! その場合なんか気持ちが沈む!
だってわざわざ旅行に行こうとしたのに、台風とかで中止になったら萎えるよね?!
それと一緒。
だから、あまりこの方法は良くない……自分の気持ち的に。
2つ目の方法は天候を変える。
私は魔力のゴリ押し天候操ることができる。
だから今すぐに天候を操って晴れにする。
でも燃費悪いからなぁ……燃費なんてあってないようなものだけどさ。
そろそろ改良しようかな。
でも、そうなるとしっかりと魔法を作って言霊考えて定着させないとなぁ···
きっと未来の私が何とかする!
まぁ、それは置いといて3つ目は
地下に潜って移動する!
これはただ単に自分がやりたいだけ。
何故かって? 楽しそうだから!
というか楽しい。
前にちょっと穴を掘ってたら楽しくなって、多分マントルだと思うところまで掘っちゃったからね。マントルかどうかは知らないけど。
あの時は焦ったなぁ。
まぁこの中から選ぶなら3つ目かな?
だって楽しいし。
てなわけで最初の2つの案はポイします。
ポイッ! どっか行け! ポイッ!!
よし、じゃあ早速穴を掘ろう!
私は爪を地面に立てると、勢い良く掘り始めた。
ザックザックと子気味良い音が耳に入ってくる。
これこれ~♪
この前足に伝わってくる感覚、最高だね。
爪が大地を抉る感覚、土の抵抗感が気持ちいい!
よし、一気に掘り進めよう。
うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!
どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!!
ぅぉぉぉぉぉゃぁぁぁぁぁ
ぇぇぇぃぃ·······──
───────────────
─────────
───
─
あれからどれくらい経ったんだろう。
一応明かりは魔法で確保してる。
多分深度5000は超えてるんじゃないかな?
細かいところまではわからないけど。
6000かもしれないし7000かもしれない。
案外100も行ってないかとしれない。
まぁ、そこはどうでも良い。
私は今、とてつもなくヤバイ状況にある。
いや、生命とかの危機じゃないんだけど。
私はさっきまでノリノリで地面を掘り進めてた。もちろん、掘ってる途中で戻るための道は崩落した。
そんなことは想定済みだから、きちんと自分の回りに結界を張ってた。
私がヤバイと言っているのはそんなことじゃない。
崩落してからもザクザク掘り進めてたんだけど。ついさっき、その快適な掘り掘りライフ(体感2日くらい)が終了した。
物理的に。
そう、固い岩石だろうが切り裂く私のこの爪が物理的に止められたのだ。
目の前にあるのは鈍く黒光りする鉱石。
私は疑問に思って神狼眼でその正体を見た。
結果……
名称:アダマンタイト
ミスリル、オリハルコン、ヒヒイロカネに並ぶほどの希少魔鉱石。
魔素が存在する世界には必ずと言って良い程様々な世界に存在する金属。
その性質はオリハルコンに並ぶほど固く、魔力を弾く性質がある。
··············ッスー
おかしいなぁ地球はいつからファンタジーな世界になったんだろうね。
はぁ····そうだよね。
大体2億年前からだよね! そう!
私のせいだよねぇ!
ガッデム!!
いや、ちょっと待てよ?
私はネロに言われて魔素を馴染ませたわけだし?
そもそも、それを指示していたのはセカイな訳だし?私、悪くなくない?
まぁでも、どちらにせよこれは人類に見つからないようにしないとなぁ。
とりあえず回収しとこう。
【
ん?
んんん?
でかくない?
ま、まだ入りきらない·······
やっと入りきった·······
縦横15mぐらいはあったんじゃないかと思う。
これが
ゴゴゴゴゴ····
ん?今音した?
ゴゴゴゴゴ·······!
んー!?
こ、これは!
崩落する!
ま、いっか。
ゴゴゴゴゴドガラァァァァ!!!
はい、てなわけでね目の前が真っ暗になった。
よし、掘り進めていこう。
アダマンタイトとかいう、核弾頭級の地雷は未来の自分に任せるとしよう。
きっと、なんとかなる! そう信じよう。
信じるものは救われるって言うし、
えー次は~地上~次は~地上~。
出発いたしま~す。
ザックザックザックボコッドコッ!
ザクザクザクザク·······────
────────
───
─
◇ ◇ ◇
~???side~
まずい……見つかってしまった。
ヤツを、
どうにかして、ヤツを撒かないと……っ!
マズイマズイマズイマズイ!
目の前にある木の後ろに隠れる。
「はぁはぁ、はぁ······ふぅ。こ、ここまで来れば」
何とか逃げ切れたか?
とにかく、儂はコレを早く
パキッ
そんなことを考えていると後ろから枝が折れる音が聞こえてきた。
グルルルルル
ま、まずい! ヤツがこっちに来るっ!
何とかしなければ!
どうする、どうする?!
どうすれば?!!
とにかく、ここから離れなければっ!!
そして、木の影から飛び出そうとした瞬間。
気づいた、気づかれた。
視界の端にヤツがこっちを見ているのが見えた。
◇◆◇
その姿を見て、知っているものは口を揃えてこう言うだろう。
あれはサーベルタイガーだと。
だが違うと言う者も、またいるだろう。
何故ならサーベルタイガーといってもアレはおかしい。
サーベルタイガーとは明らかに違う点、それは額に生えているバチバチとスパークを放つ2本の角。
魔物だ。
魔獣と魔物の違いは1つ、魔石に適合したかしてないか。
魔石に適合したら魔物で、適応できなかったら魔獣だ。
魔獣は暴走すると手がつけられないほどに危険だが、魔物はそれを超えるほどに危険だ。
何故なら知恵を持つから。
人と同等かそれ以上の知恵をつける。
それが魔物の一番の恐ろしさ。
それこそが最も警戒するべき点であり、魔物の危険度を一気に跳ね上げる要因だ。
◇◆◇
アレが足に力を込めるのが見える。
直感でわかる。
あぁ、もうダメだ。
せめて最後は、皆にコレを届けたかった。
世界がゆっくりと見える。
そして、アレがこちらに向かって口を開き、飛びかかってきているのも。
そして、反射的に目を閉じようとした瞬間。
ドゴォォン!!
地面から何かが盛り上がってきて、アレと儂の間にナニかが割って入った。
そして、頭の中に意思が伝わってくる。
『あちゃぁ~外しちゃったかぁ。もうちょっとタイミング遅かった方が良かったのかなぁ。でも土の中だと感知も乱れに乱れまくっちゃうしなぁ』
土埃が風によって散らされていき、地面から出てきたナニかの姿が見えてきた。
やがて、完全に土埃が消えその姿を見た。
それは、大きな狼だった。
ただの狼ではない白銀に輝く毛を持っている。
さらに、人を1口で3人は食べてしまうのではないかという大きさをしている。。
その、どこか荘厳な雰囲気のある狼が·······
地面から顔を空に向けるように、頭だけ出していた。
────────────────────────────
あとがき
最後の最後が締まらない!
さすが、ベルくおりてぃ!
結構な頻度で更新が遅くなる男!スパイダーマッ!
嘘ですオオキャミーです。
えぇ、いつもの言い訳タイムをしておきましょう。
自分も学生なわけですよ。そりゃ遊びますよ。
そういうことです。
はい、前回の更新から幾星霜の月日がたったことか。お待たせいたしました、新しい
この小説が面白いと感じていただけたのなら。
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