~エンリside~ 生徒の力量測定
私の名前はエンリ。
小さい頃にお母さんを亡くし、お父さんは今も生きているのか、それとも死んでしまったのかはわからない。
住んでいた国を追い出されたあと、姉さんに拾われて一命を取り留めた。
姉さん····最初見たときはちょっと怖かったなぁ。
まぁ、今ではあんなのだけど。
姉さんに助けられたあとは、ひたすら姉さんと修行をして誰にも負けないくらい強くなった。
アルルとも出会えたし本当に姉さんと会うことができて良かった。
近接戦闘ではアルルに負けちゃうけど·······
でも!魔法を使った戦いだと互角だから!
とにかく、強くなったあとは世界中を旅して回って、姉さんからもらった道具も使って楽しく過ごすことができた。
旅から帰ったあとは姉さんに手伝って貰いながら沢山の本を製本した。
その時の本は今でも《時空の図書館》に貯蔵されている。
まぁ、今じゃその時の本よりも神界の図書館からコピーしてきてる本の方が多くなってるんだけどね。
寿命で死んだあとはアルルがこっちに来るまで待って、アルルと合流したあとに神界に向かってたんだけど、どうやら魂の位が上昇して神になったらしい。
神になった今だからわかるけど、姉さんは異常だ。
本来、ある程度の強さに到ると神になる。
でも姉さんは未だに神に到っていない。
これを異常と言わずしてなんと言うのか。
まぁでも姉さんは姉さんだし、何か問題があるわけでもないから別に良いかな。
それと、私達が神になった原因だけど。
多分エレスさんが原因だと思う。
宗教作ってたし·······私達いたし。
まぁ、今までの経緯はこんな感じかな。
私が何故こんな風に今までの経緯を思い出していたのかと言うと。
周りを見渡してみる。
私の周りにえんになるように死屍累々としたクラスメイトが散らばっていた。
「うぐっ····強すぎんだろ·······ガクッ」
「おかしいわよ···あんなの」
「クソッ、権能さえ上手く使えてたら!」
う~ん、やり過ぎちゃったかな?
私は現実逃避をしていた。
─遡ること2時間前─
「それにしてもビックリしたな!ベル姉さんがこっちに来るなんて!」
「でも、よくよく考えたら姉さんだしあり得ないことではなかった気もするね」
私達は姉さんと会ったあと教室に戻っていた。
朝の授業が始まる前に急に呼ばれたときは何事かと思ったけど、まさか姉さんが来てたとは思わなかった。
ガラガラ
「は~い皆さん!席に着いてくださーい!」
そんな風に話していると、ソラ先生が教室に入ってきて全員に声をかけた。
席は自由だから、私達は2人して隣になるように座った。
「皆さん!この学園に皆さんが入学して4日が経ちましたが、慣れましたか?今日はですね。皆さんの実力を測りたいと思います!」
その言葉にクラスの反応は様々だった。
戦意を募らせている者や、冷静にその目的を考える者、億劫になる者、何があるのかと怯えるもの。
そして私達はというと·······
「なぁなぁエンリ!なにすると思う?!戦うのか?戦うのかなぁ!!!」
「アルル···落ち着いて、楽しみなのはわかるけど、別にまだ戦うって決まった訳じゃないから」
「よし、わかった!じゃあ聞く!!ソラ先生!実力を測るって、戦うのか??!!」
アルルはなんで戦うことになると、ここまで考えなしになるのかと、内心ため息を付いてしまう。
「あ、アルルさん、落ち着いてください!ちゃんと説明しますから!!!」
ソラ先生はそういうと、全員の腕輪に情報を飛ばした。
「····なるほどね。まず、最初は様々な計器で計測した後に、一対一で勝負して、攻撃方法はなんでもアリ、勝ち抜き方式で最後まで残ってた人が一番強いという称号を得られる·······と」
最後のは恐らくだけど、やる気を出させるための賞品的なやつかな?
「エンリ!やったぞ!戦うって!!」
「うんうん、そうだね」
アルルを落ち着かせながらもどうやって勝負するか考えていた、その時····
「ハッハ!!勝つのはこの俺だ!俺が一番になる!!!俺以外は全員、雑魚だ!!」
教室の端の方から大きな声が上がった。
ザワザワと騒いでる方を見ると1人の青年が机の上に立って大声を上げていた。
あれは····確か別の世界の戦神、名前は·······
「ベルグ君!!静かにしてください!」
思い出してる間に、ソラ先生が机に立っている青年···ベルグに注意した。
ベルグ···確か一番最初にこのクラスに集まった時、全員の前で大きな声出して
「俺は最強になる男だ!!!」
とか言って奴だよね。
「と、とにかく!皆さん移動しますよ!皆さん一旦立ってください!」
先生はそういうと全員を見上げる形でクラスメイト達を一ヶ所に集めた。
いや、先生小さいから必然的にそうなっちゃうんだけどね。
「じゃあ!移動しますよ!」
先生はそういうと腕輪を弄った。
そして次の瞬間、瞬きをする間に景色が変わった。
辺りを見渡すとそこは、前回神器を取り出すときに来た場所だった。
ここは学園世界の中でも2番目に大きいところで、お姉ちゃんが書いた本の中にあった運動場と言う場所に近い。
あ、ソラ先生が計器の場所に移動するように言ってるから、さっさと移動しないと!
────────────────
────────
─
あれから全員分の計測をして、戦うことができる広場に移動した。
「では皆さん、戦う前にやることがあります!魔法や気術、その他に近接戦闘が苦手な人は右側に!近接戦闘が得意な人は左側に別れてください!」
先生はメガホンを口に当てて、全員に伝わるように指示を出した。
各々指示にしたがって綺麗に左右に別れた。
私は魔法が得意でアルルは近接格闘が得意だから自然と別れることになってしまった。
すると、例の問題児とも言えるベルグが先生に
「先生ェ!戦うときの条件に勝ち抜き方式って書いてたけどよぉ!俺ァ、全員で戦っても良いんだぜェ!」
「へ?」
「俺は一番強くなる男だ!だからこのクラスで一番強いのも俺!つまり俺は最強、俺以外は雑魚!俺対クラスの奴ら全員でも、余裕で勝てるって訳よ!」
その言葉に触発されたのか、ベルグがいる近接戦闘が得意な人たちが一気に機嫌が悪くなった。
「え、えぇっと···ベルグ君がそう言ってもルールはルールですし···「ルールなんて変えれば良いだろ!」あ、え?いやでも他の人たちがそんなことを許すとは····」
「先生、良いですよ。やってやりますよ。そのド阿呆をぶちのめせば良いだけなので」
騎士姿のまぁまぁ渋いおじさんが、そう言って前に出てきた。
「えっと、アーレウスくん?」
「はっは、やはり自分より見た目が年下の人に君づけされるのは慣れませんね」
「ですから!私これでも立派なレディなんですよ!」
「えぇ、わかってますよ先生。いずれにせよ、あのド阿保をぶちのめさないことには、私の騎士としてのプライドが許さないのですよ」
アーレウスがそう言うと他の近接戦闘組も一緒に抗議した。
先生は「えっとぉ~そのぉ~」と目をぐるぐるさせながら、ひたすら悩んでいた。
結果、勝ち抜き方式ではなくバトル・ロワイアル方式になった。
そんなやり取りを見ていたエンリはというと。
「·······アルル大丈夫かな」
完全に他人事だった。
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オ オ オ オ オオキャミーよぉ!☆
はい、あと一話くらいエンリ&アルルの学園生活の様子が続きます。
「·······アルル(ちゃんと手加減できるか)大丈夫かな。」
小説のフォローとホシとハートでオウエンシテネ!!!
ヨロコブヨ!
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