神とは···神であり、神だからこそ神なのだ byベル
私の魔力線が拡散魔術陣に当たり魔法が世界中に散らばってしまったその後─────
ちょ、あ、やっべ···やっばぁ!
え!?いやちょっと待って!?本当に待ってほしいんだけど!?やらかした!?私やらかしちゃった!?そうだよね!
私パニック中!どうしよ!
そんな感じで焦ってた。あの瞬間これまでに無いほど焦ったね。
あの後、異変に気づいた村の人たちが駆けつけてきた。
ちゃんと怒られました、はい。
まぁ、私が悪いんだけどさぁ。気分がすごく下がっちゃった·······こんな時は毛繕いでもして落ち着くかぁ。
次はどうやって暇潰そうかなぁ·······
────────────
─────
──
─
あの騒動から数週間たった。
あの日から色々と暇を潰してたけど、今日という日は暇ではない。大切な日だからね。
私は今とある場所に向かっている。
今いるのは私の神域、あの洞窟から5kmほど場所に来ている。
今歩いてる場所はちょっとした山道で、私が記憶の中にある日本の山を少しずつ持ってきて再現した所だ。
すぐ右は下り坂、というよりは急斜面に4mほどなっていてその下を川が流れてる。
目的地にはすぐに行こうと思えば行けるけど···毎年、この日、今日という日はゆっくりと歩いていくことにしている。
ゆっくりと···ゆっくりと一歩ずつ、エンリちゃんやアルルちゃんと一緒に考えて作った景色を見ながら歩いていく。
右側に見える川。
あの川はエンリちゃんが生態系を再現して観察したいって言って一緒に作ったやつだ。
その奥には少し開けた石畳でできた広場がある。そこはまだ2人が旅に出る前に作った所でアルルちゃんのために作ったんだよね。
ここの神域もだいぶ広くなったなぁ。
エンリちゃんが始めてここに来た時は、半径10kmぐらいの大きさだったけど、今じゃ半径50km直径100kmだもんね。
そろそろ次元を切り離した方がいいのかなぁ?この前ノリで新しい次元作っちゃったから、そこにここの神域移し変えようかな?
地球がある次元に私の神域が被さりそうで怖いんだよねぇ。
今度移し変えとこっと。
あ、あの木はエンリちゃんとアルルちゃんと一緒に植えた木だ。やっぱり案外スキルに頼らなくても覚えてるもんだね。
まぁ、この体が優秀なのかも知れないけど。
私はさらに歩みを進めていく。
だんだんと少しずつ開けてきた。
そして·······
うん、到着したね。
そこは山の頂上に当たるところで、当たり一面様々な種類の花が咲き乱れていた。そして一番高くなっているところに一本の木が生えていた。
ここは私が常に龍脈を繋いで、栄養と魔力を送ってるから年中この景色なんだ。
私は花畑の中にある道を歩いて木に近づいていった。
この木も、私が寝ずに何週間もかけて作り出したもので、通常の植物よりも魔素を放出する量が多い。
そして、その木の根本に人の胴体ほどの石が立っている。
その石には日本語でこう刻まれている。
エンリとアルルここに眠る
そう、エンリちゃんとアルルちゃんのお墓だ。
最初に亡くなったのは、エンリちゃんだった。
アルルちゃんの方が体を鍛えてたから長生きをできたんだと思う。
エンリちゃんが亡くなったのは今から7年前、その前の年から段々と弱々しくなっていたのはなんとなくわかってた。
あの回復薬モドキも飲ませてみたけどやっぱり元気にはならなかった。
回復薬モドキを飲ませたからこそ、エンリちゃんの先が長くないこともわかってしまった。
あの回復薬モドキは、実際のところ回復薬じゃない···正確に言えば前借りしてるだけだ。
あの回復薬モドキを飲んだ瞬間、未来から回復力を少しずつ吸収していき最終的に過去、要するに現在の自分が回復するっていう代物なんだよ。アレは。
だから、回復薬じゃなくて回復薬モドキ。
エンリちゃんを最初に連れてきて回復させた後に運動能力の検査をしたのも、すでに回復して筋肉量も元に戻っている状態だったから。
あの薬を飲んで回復しないってことは、未来で死が確定している状況でその死が絶対に避けられないってこと。そう、まさに老衰とかね。
だから私も心の準備が少しできた。
そして、最後の時をずっと一緒に3人で過ごしたよ。エンリちゃんは幸せそうにして、眠るように息を引き取った。
それから1年後、アルルちゃんも後を追うように天に還ったよ。
魂を見ていたけど2人ともしっかりと天界に行ってたのがわかった。
そろそろ、掃除を始めようかな。
しっかりと丁寧に墓石を磨いていく。
回りに生えている雑草もちゃんと引っこ抜いていかないとね。
それから1時間ぐらい経っただろうか、人工的に創った太陽が真上に来ていた。
良し、掃除も終わりと·······
私は墓の前で目を瞑り祈った。
『エンリちゃん·······アルルちゃん·······』
「あの···姉さん、それ毎年見せられる私ってどうすれば良いの?」
「うぅ·······エンリぃ·······ッ!なんで死んだんだぁぁ!!」
「いや、アルルも姉さんと一緒に並んで祈らなくて良いから!いるよね私ここに!」
『あ、エンリちゃん達来てたんだ』
振り替えると17歳の時の姿をしたエンリちゃんと、隣に一緒に座って泣きながら合掌をしているこれまた17歳の時の姿のアルルちゃんがいた。
「いや、一昨日も会ってたでしょ」
『アレー?ソウダッケナー?歳だから頭がボケてキチャッタナー』
「棒読みじゃん!」
「ベル姉さん大丈夫か!?大変だぞエンリ!姉さんが!」
「アルルもそんな簡単に騙されないで!」
『いや、でも命日にはお墓に行って墓石を綺麗にして祈るって決めてるし?それに本来だったら、死者が蘇ることなんて想定してないんだから。それも神様として』
そう、エンリちゃんとアルルちゃん···亡くなって1年ぐらい経って神様になって帰ってきたのである。驚きだね。
しかも私みたいな称号だけの神様じゃなくて、ちゃんと種族として神になったからね。
「う、それはそうだけど·······」
『ほーら私は悪くない!無罪!冤罪!』
「エンリ、何のこと話してるかはわかんねぇけど悪ことしたなら謝れよ?私も一緒に謝ってやるからさ?」
「アルルはもっと理解してよ·······なんで全部戦闘能力に振っちゃったの·······」
うん、やっぱり賑やかなのがあってるね!
『とりあえず立ち話も何だし移動しようか』
トンッとな
「「!?」」
『よし、着いたよ~』
「ちょ、ちょっと待って?姉さん、今とんでもないことしなかった?」
「私もさすがに気づいたぞ」
『とんでもないことって···空間交換のこと?』
「そう!多分そう!私もできないんだけどそんなこと!」
「私は魔法の話は得意じゃないからエンリに任せる!」
「私、これでも下級神の中じゃ上位の上位なんだけど····こんなの中級神じゃないとできないよ」
『えぇそんなこと言われても···できちゃったし?』
「できちゃったしって·······もう気にしないようにする。姉さんが神になったら一気に上位神とかになりそうだね」
『そうかな?まあ、良いや紹介するけど、ここが新しく作った家だよ』
目の前には崖に半分めり込むように建てられている家があった。
石を積んで作った手作りハウスさ!自然に良い感じに溶け込んでて苔も所々生やしたんだよ。
花も生やしたりしてね、だいぶファンタジーな建物になった。
『じゃ、あの中で話そうか』
「あ、うん」
「おじゃましまーす!」
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どうも体調不良から完全とまでは言えませんが復活しました!
4日間も投稿を止めてすみませんでした!
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