ちょ、あ、やっべ···やっばぁ!
エンリちゃんが国を滅ぼしたあの日から、数十年の月日が経った。
あの日から色々とあったよ。
まず助け出したお姉さんだけど、エレスって言う名前だった。
エレスを助け出したあと、あの場に放置しちゃってたけどアルルちゃんもノア君も、エレスが喋る言葉と言語体系が違ったから話が通じてなくて色々と混乱してた。
申し訳ないことしちゃったな。過ぎたことだからどうしようもないけど。
結局、私とエンリちゃんが戻ってくるまで何の進展もなかったよ。
エレスに事情をきちんと1から説明したら、エレスがこれでもかってぐらい、アルルちゃんに滅茶苦茶感謝してたね。
それから数日が経ってもエレスはすごくアルルちゃんにベッタリだったなぁ。
エンリちゃんが嫉妬してたの可愛かった。
今思えば、あの時からエンリちゃんは自分の気づかない内にアルルちゃんに恋愛感情を持ってたのかもね。
そう、エンリちゃんとアルルちゃんは最終的に
婚約·······とまではいかないけど、それに近しい関係になった。
もちろん村全体でお祝いをしたよ。
村の人たちはなんかそういうのに理解があると言うよりは、アルルちゃんだからっていう理由とエンリちゃんと家族になる=私と身内になるって考えだったから快く承諾した感じだね。
何にせよ2人ともとても幸せそうだったよ。
その時に私はプレゼントを送ったんだよね。
その時に送ったプレゼントの名は魔導具、そう魔術陣という新たな技術を用いて作ったんだ!
エンリちゃんに渡した魔導具は空中に向かって刺して回すと異空間に存在している図書室にいつでも行くことができる鍵と、見た目は普通の本だけど開いても開いても終わりが来ることがない特別な本を送った。
2つ目の魔導具はただ書ける字が増えただけではなく、書いたものを記録して、いつでも調べることができるものになってる。便利だね!
実際、エンリちゃんはこれを使ってすさまじい量の色々なデータを集めてた。
アルルちゃんには、身体の疲労を回復する腕輪をプレゼントしたよ。それを使ってさらにアルルちゃんは鍛練してた。うん、実にアルルちゃんらしいね。
ちなみにエレスは別にアルルちゃんに恋愛感情を抱いてた訳じゃなくて、どちらかと言うと助けてくれた命の恩人で尊敬とか敬愛の感情だったみたい。
アルルちゃんとエンリちゃんの2人が仲良くする姿を見て新しい扉を開いちゃったし。
そんなこんなでエンリちゃんとアルルちゃんは付き合ったあと、2人で世界を巡る旅に出た。
旅に出る計画事態はエンリちゃんが立ててて、私がよく小さい頃に世界の話をしてたから、自分も旅に出て自分の目で確かめたくなったらしいよ。
その事を知ったアルルちゃんは「もちろん私も一緒に行くぞ!」って言ったんだよ。そしたらエンリちゃんなんて言ったと思う?
「まぁ、私だけじゃ大変だし·······アルルがいないと寂しいし·······」って言ってたんだよ。
イチャイチャラブラブだね。
で、旅に出るその時にもプレゼントを渡したんだけど。それが鑑定モノクルって言う代物で、名前の通り目につけて物を見ると、その物体、生き物を鑑定できるものとなってる。
話は急に変わるけどこの鑑定、人を見るときにステータスが見えるんだけど、私のステータスと人のステータスじゃ表記が違うんだよね。
この事に気づいたのは他人のステータスがどうなってるのか気になって、鑑定したからなんだけど。
私のステータスは
____________________________________________
名前:no name Lv.0/0
種族:? 性別??
ステータス
HP 0/0 MP 0/0 SP 0/0
STR 0 DEF 0
AGI 0 DEX 0
スキル
称号
____________________________________________
みたいな感じでステータスが数値で表示されるんだけど、その時に見たエンリちゃんのステータスはこう表記された。
____________________________________________
名前:エンリ
種族:人
性別:女
年齢:21
力:C 体力:D 敏捷:D 知力:AA
忍耐:A 器用:A 魔力:S
技能
魔力操作:A 魔法(水・風・無):AA
並列思考:B 特殊歩法:C
____________________________________________
私のステータスと違うところがたくさんある。
1つ目年齢表記がある。私のステータスには年齢表記なんて存在しないから、まずはここで1つ。
次にステータスの表記がアルファベットが表示されてて多分これはランクで表してあるんだと思う。
他にはそもそもの表記が、私の表記はゲームのようにSTRやAGIなのに対して、エンリちゃんのステータスは力や速さといった表記になってる。
そして最後、スキルではなく技能というものがある点。最初見たとき思わずなんじゃこりゃって言っちゃったよ。色々と確かめた結果エンリちゃんがすでにできる事がここに表記されてるらしかった。でも、ただできるだけじゃなくて、普通の人よりも特にできることが表記されてるらしいんだよ。
正直なんでここまでステータスの仕様が違うのか一切わからない。
わからないものは気にしてもしょうがないからその時は放置してたんだけど·······一応調べた方が良いのかな?まぁ保留!
まぁ、とにかくそんなこんなで2人は旅に出たんだけど2人が旅に出たあと、今度はエレスが村の人を数人連れて旅に出たんだよね。
なんか、「自分にはやらなければいけないことがある!!」って言って。
まぁそれから5年くらい経ってエレスが何してたのかわかったんだけど。
エレス達、何してたと思う?
国を作ってた
バカじゃないの?
しかも、ただ国を作っただけじゃなくて宗教も広めてた。バカじゃないの?
さらにさらに、農耕とかの技術を伝えて職業制度も作ってた。バカでしょ。バカだよ本当に。
いや、やってることは天才のそれなんだけどさ。
もともとあった場所に移民として入って、そこからさらに地位を上げたってことでしょ?その時は王に近いことをしてたみたい。
なんかエレス達は黒い頭の民って名乗ってるらしい。
エレスは元々黒に近い髪だったからまぁ良いとして、村から連れてきた人の髪色は赤に近い色だったから黒い頭って一人じゃない?って思ってたら闇魔法から派生した幻魔法使って全員黒い髪に見えるようにしてた。
まぁそれから村の数人があっちに移動して、さらに発展したんだよ。
で、それから20~25年経ったくらいの時かな?
アルルちゃんとエンリちゃんが旅から帰ってきたんだよ。
その時の2人の年齢は30超えてたんだろうけど見た目は20~25歳くらいの見た目で若々しかった。
前世で現代の女性が見たら発狂しそうだね。
化粧もなしにとても若く見えたんだから。
まぁ、それを言ったら村の人とかエレスも若々しい見た目だったけどさ。
とにかく、2人が帰ってきてからはエンリちゃんが集めたデータを本にして図書館って呼べるまでに大きくなった異空間の図書室、正式名称は《時空の図書館》なんだけどそこに本を追加したり、アルルちゃんはアルルちゃんで肉弾戦闘で本気を出せるのが私だけになったからそれに付き合ったり、とにかくすぐに月日が経ってった。
にしても·····今でも思うけどあの時のエンリちゃんの知識に対する熱意は凄まじかったなぁ、今もだけどさ。でも5年間集めたデータを本にして図書館に送る作業が終わるのに20年かかるって·······エンリちゃんデータ集めすぎ!!
アルルちゃんもアルルちゃんで私が普段滅茶苦茶手加減して相手をしてたのに、帰ってきたら結構な手加減で良くなってたよ·······
え?手加減してるのには変わりないって?
いやいやいや!
私がごくごく普通の力を込めた攻撃したら、ただ前足で凪払っただけで大陸割れるよ?本気を出したらそりゃ地球がパッカーンよ、やったことないけどさ·······なんか雰囲気的にやれそうなんだよねぇ。
まぁとにかく、その力を込めた攻撃を滅茶苦茶手加減してやっと大きな岩が割れるくらいにしてたのを、結構な手加減で地面が縦に5~6m抉れる程度にはなってるからね?
勿論横方向には30mぐらい抉れるよ。
アルルちゃんも意味わかんない成長曲線してるよ。
まぁ、そんな日々を過ごして今現在なんだけど。私の目の前には50mは超えるであろう塔が建っていた。
なんでこうなった·······
事の発端は16年ほど前に遡る。
エンリちゃん達が旅をしてきて大変だったのが言語の違いらしい。エンリちゃんがなんとか数日会話して喋れるようになるということが多かったらしく、それを聞いたエレスと村の人達は「それなら世界中の言語を集めて、記録する場所を作ろう!!」となった。
なんで?
そして、その年から世界中の言語がデータとして保管される場所を建造し始めてから3年大体13年前に完成したってわけ。
·······いや、おかしくない?
いくらなんでも早すぎない?
こう、それなりに大きな建築ってもっと年数かかるんじゃないの?私がおかしいのかな?
とにかく私はそこに今日初めて踏み入れようとしている。今まで私自身別に言語はすぐに解析できるから、ここに来る必要は無かったんだけど。
暇になったから今日はここで暇を潰そうってわけ!
てなわけでレッツゴー!!
うわぁ、塔の中すごぉ·······これを人だけで作ったのかぁ。
塔の内部は時空の図書館のように本が沢山ならんでいた。
あそこと違うところがあるとすれば、壁に本棚が置いてあることと、上に続く階段があるということだろう。
私は一応、大型犬くらいのサイズに縮んでる。
私はどんどん階段を上っていくと最上階に到着した。
聞いた話によると最上階には、基本的な言語とその言語の発音が聞けるように作られた魔術陣、そしてこの塔の外にアナウンスすることができる拡散魔術が組み込まれてるらしい。
拡散魔術は声だけではなくありとあらゆるものを拡散できるもので、水に対して拡散魔術を使えば複数の水滴に分かれるし、さらに威力を上げればミストのようになる。
まぁ、そんな最上階に来たわけだけど·······とりあえず本でも読も~っと。
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───
─
はっ!つい夢中になってしまった。外の様子を確認すると日が傾いて沈みかけていた。
まぁ、別にいっか。そういえばお腹空いたし何か食べよ~っと。
あ、ついでに今の村長に夕方のアナウンスを流してくれないか頼まれてたんだった。
アナウンス~ポチっ!
すると真上から狼の遠吠えが聞こえてきた。
う~ん毎回思うけどなんで夕方を知らせる合図を遠吠えにしたんだろ?まぁ良いや。
私はそんな風に考えていた。
そんな時に、それは起こった。
その時私は10個以上の言語を同時に学んでいて、床にはその言語に対応する魔術陣が散らばっていた。さらに私はその内容を理解する為にに魔法を発動していた。
そして、さらにさらに私はお腹が空いていた為アイテムボックスを開いていた。
そして、極めつけは遠吠えの方に意識が持っていかれて注意力が散漫になっていたという点。
そして·······本当にたまたま私から出ている魔力の線が拡散魔術に当たった。
当たってしまった。
ここで1つ問題を出そう。拡散魔術はありとあらゆるものを拡散できると言った。それは魔力も例外ではない。ちなみに、拡散魔術は音、魔力に限っては増幅魔術に近いと言って良い。
そんな拡散魔術だが、例えば火魔法の進行方向上に拡散魔術があったとして、そこに火魔法がぶつかったとしよう。
火魔法は前方方向に広い範囲で拡散+増幅される。
つまり威力は変わらずに弾数が増えたということになる。
じゃあ、ものすんごい魔力密度の魔法が拡散魔術にぶつかったらどうなってしまうのか。
それこそ、そう·······今の私のように。
答えは全世界、地球上全てに拡散される。
これは、全てが偶然だった。
私が言語の本と魔術陣を魔法を発動して、それを10個同時にするためにさらに魔法を発動し、さらにアイテムボックスを開き、遠吠えに意識を向けて、魔力線が拡散魔術の魔術陣に触れたという奇跡にも近い全てを満たしてしまったが為に起きてしまったこと。
どれか1つが欠けていたら起きていなかったこと。
その日、大きなエリアごとに言語が複雑化し別たれた。
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