あれから7年後 これを一瞬って感じてる私はもう感覚が人外だ
あれから7年が経過した·······そう、7年も経過したのだ! いや、私にとっては一瞬だったけどさ、普通の人間とかからしたら7年って凄い年月たってるからね?
つまり、人間からしたらそれだけ変化が起こるということ·······エンリちゃんも大分変わった。
本当に滅茶苦茶変わった。
いや、まぁ? エンリちゃんが、ただの天才じゃなくて努力の大天才だっただけだし?
普通の人が10~20年かけて覚えるようなことを7年で覚えただけだし?
5年前に高校で終わるくらいの内容の知識を全部覚えただけだけど?
それから5年間、スポンジのように魔法と自然の知識を吸収しただけだもんね! 別に何にもおかしなことなんてないさ!
うん……現実逃避はそろそろやめよう。
エンリちゃん成長しすぎだよ。いや、まぁ運動能力は普通の人よりしたぐらいだからそれが唯一の救いかな? もし運動能力も天才級だったら私が困ってたよ。まぁ、でもエンリちゃんはその運動能力も魔法でカバーしてるんだけどね。
本当にエンリちゃんは凄いよ。
……特に知識欲が一番凄い。わからないことがあったらすぐに何でも聞いてきて、その事を知ろうとするからね。2年くらい前に私が頑張って実験道具とか作ってプレゼントしたら、いろいろと観察したり実験したりして今まで教えたことをさらに深く学ぼうとするし。
まあ、魔法はまだまだ教えれるから、私もさらに魔法を研究しようかな?
そんな凄いエンリちゃんは今……
私の目の前で凄まじい戦いを繰り広げてる。
いや本当に。
戦ってる相手は私を崇めてる村の子供。
子供と言ってもエンリちゃんと同じくらいの年齢だから14~16歳だね。
なんでこんなことになってるのかというと、遡ること4年前。
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ヤバイ……そろそろ私が教えれることが無くなってきたっ! まずい、実にまずい! こんな調子じゃエンリちゃんに呆れられてしまうっ!! そんなのは絶対に嫌だぁぁぁぁ!!!
どうすればっ·······!!
……よし、エンリちゃんを別のことに集中させよう!
エンリちゃんは今、本を読んだり勉強したりといった、1人でできることしかしていない!
いやまぁ、勉強は私がいないと無理だけどさ。
だが、しかし!!!
本来、エンリちゃんの年ぐらいの子は元気に! 活発に! 友達と!!! 遊んでいるような年なのだ! ……大体は!
だけど、ここだとエンリちゃんと私しかいない。同年代の女の子とか男の子とかいない!
私、狼だし! 2億歳だし!!!!!!!
それに、私はエンリちゃんに生きる術を教えるって言ったけど。それは野生とか自然界での話であって。人と生きるってなったら、それは人と一緒に暮らしたり触れたりした方が自然と身に付くしね。
エンリちゃんだって一生自然界で1人で生きていくわけでもないし。いやまぁ、1人で生きていく可能性はあるけどさ。生きていくときの選択肢を増やしてあげたいじゃん?
てなわけで作戦はこうだ!
最初にエンリちゃんを上手く誘導して人間の同年代の女の子とか男の子とかに接触させる! 次に仲良くなる!! 以上!!
まぁ、なんとかなるさ!……きっと。
とりあえず、人間の同世代を最初にどうにかしないと行けないわけだけど。
なんとなくどうしようかは決めてる。
というか必然的に決まった。私が知ってる人間で、なおかつエンリちゃんを安心して会わせられる相手。
そう、あの村の人達だ。
あの村の人達は私を熱狂的に崇めてる。不本意だけどね!
とにかく、あの村の人達は私のことを神様と思い滅茶苦茶崇めてる。
そんな自分達が崇めてる神様が、ある日突然子供をつれてきて。仲良くしてくれと言ったら断ることなんてできないでしょ? だって自分達が崇めてる神様が言ってるんだから。もし、それを断ろうとしたら他の人達が多分許さないだろうしね。
とりあえず、まずはエンリちゃんと話そう。
『エーンリちゃ~~~ん!! ちょっとお話したいんだけど! 今大丈夫~~~?』
「お姉ちゃん……元気だね。今ちょうど本を読み終わったから良いよ」
やっぱりお姉ちゃんって呼ばれるのなんか良いなぁ。
そう! エンリちゃんはこの2年間で、私のことをお姉ちゃんと呼ぶようになったのだ!!
まぁ、私がこれから一緒に暮らしていくんだしずっと敬語は嫌だって言ったからでもあるんだけどね。ちなみに敬語じゃないエンリちゃんは最初は凄く違和感があったよ。もう慣れたけどね。
『エンリちゃんは昔は友達とかいなかったの?』
「友達·······? は、いたけどそれがどうかしたの?」
『エンリちゃん、今は友達0人でしょ? 友達欲しくないの?』
「まぁ、欲しくないって言ったら嘘になるけど。でも、今はお姉ちゃんがいるし別に」
『私はノーカウントでーす!! とにかく友達は欲しいんだよね?』
「……うん」
『言質とったぁぁ!!! じゃあ行こう今すぐ行こう!』
「え? ちょっと待って!? どこに行くの!?」
『え? どこって……あ、そういえば言ってなかった』
「……ジー」
『アハハ……はい、ごめんねなさい。えっとね、今から行くところは私を神様として崇めてる村なんだよ』
「お姉ちゃんの教徒がいるの?」
『うーん不本意だけどね? でも私を崇めてるってことは、私が連れてきた人を傷つけたりすることはないと思うんだよ。だから知らない人達よりは安心でしょ?』
「……うん、確かにあの国の人達よりは安心できる」
『でしょ? じゃあ早速行こうか!』
「待って! 私、こんな格好だけど大丈夫?」
『あ、うーん。どうだろう』
エンリちゃんの今の格好は布を体に良い感じに巻き付けてるだけのもので、外にでたら確かに恥ずかしいのかもしれない。
いや、でも待てよ? 今のエンリちゃんの格好って別に前にいた国の人達の格好と対して変わらないような気も……
いや、私を崇めてる村の人達はシャツに似た服と短パンみたいな服を着てたなぁ。うーん
『まぁ、服は向こうについて作ってもらおうか』
「作ってもらえるかな?」
『私の教徒だし大丈夫! 大丈夫! ……多分』
「多分って……」
『まぁまぁ、なんとかなるから早速行こう!」
「うん、そうだね。じゃあ行くよ」
よし! じゃあ早速行こう!
【
『じゃあエンリちゃん! ここくぐって!』
「これは私がここに来たときの? 今見るとお姉ちゃん有り得ないくらい凄いことしてるんだね」
『ふふん、これでも神様と呼ばれてるからね!』
エンリちゃんはそう言いながらワープゲートをくぐり抜けた。
私がワープゲートを繋げた場所は、前に村を見たときに確認した村長らしき人の家だ。
私たちがワープゲートをくぐると村長らしき人の家から青年が出てきた。
「こ、これは
うん、凄く驚いてるね……ちょっと悪いことしちゃったかな? そんなことを考えているとエンリちゃんが私の足を触って小さな声で言ってきた。
「あの、お姉ちゃん……何て言ってるかわからないんだけど」
あ、やっべそういえばエンリちゃんにこっちの人の言葉教えてなかった。……どうしよう。
そうだ! 私を中継地点にして私自身を翻訳機にしよう!
『エンリちゃん、ちょっと私を触っててね』
「え? あ、うん」
よし、これで魔力を良い感じ弄って……こんな感じかな?
「あ、あの?
「あ! 言葉がわかった!」
『あぁ、ごめんごめん。ちょっとこっちで色々やってたから』
「そ、そうですか。あ、そういえば今日はどんな用事でこちらに来られたのですか?」
『えっとね、私に掴まってる子いるでしょ? この子の友達になってくれそうな子を探しに来たんだよ』
「ど、どうもエンリです」
……ッスー
えええええええええ!!?? もう喋れるようになったのぉぉぉぉぉ!?
早いよエンリちゃん! あまりに早いよ!! 恐ろしく早い言語取得能力!! 私でなきゃ見逃しちゃうね!!
いや、ここで驚いてたらエンリちゃんに呆れられるかも知れないっ!
そう! 何事もなかったかのように至って平然な態度でいよう!
『そそそそそそそうだよ! こここの子はエンリちゃんって言うんだよ!』
落ち着けぇぇ私ぃぃ!! ハッ! こんな時こそあのスキルっ!! "ポーカーフェイス"発動!
そのスキルを発動した途端に一気に心が落ち着くのがわかった。
なるほど。
ポーカーフェイスには顔を無表情にするだけじゃなくて精神状態を鎮静化する効果まであるようだ。
『とりあえずこの村にエンリちゃんと同い年くらいの子はどのくらいいるの?』
「えっと……エンリさん?とはどのような関係性で?」
『えっとね、うーん身内? エンリちゃんは私のことをお姉ちゃんって呼んでるよ』
「なんと! 妹様でありましたか!! これは失礼を……それでエンリ様と同い年くらいの子ですか? 失礼ですがエンリ様の年齢は?」
『エンリちゃんの年齢って10歳くらいだよね?』
「えっと多分」
「なるほど、それはつまり。雪が降る季節が10回きた子供を探せばよろしいのですね?」
『うん、そうだねお願い』
「わかりました、エンリ様と同じくらいの年の子供を広場に集めたいと思います。集めてくるまで広場で待っていただけますか?」
『うん良いよ。あ、ひとつ聞きたいんだけど』
「なんでしょうか?」
『前に私が来たときに代表として喋っていた男はこの村の長であってる?』
「はい。おそらくそれは私の父ですね。今は私が父から長の座を受け継いだので私がこの村の長です!」
『なるほど君がもう長なのか。質問に答えてくれてありがとう。じゃあ早速子供達を集めてもらって良い?』
「はい。わかりました!」
うん! これで良し! やっぱりなんとかなるもんだね! そのときエンリちゃんがふと呟いた。
「私········空気だった」
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