私と筋トレして最強少女になってよ!

 エンリちゃんが泣いてしばらく経った


「ヒグッ·······ありがとうごさいます。気持ちが少し楽になりました·······」


『そう、なら良かった!さっきも言ったように辛いことがあれば私が慰めてあげるからいつでも泣きな?』


「はい·······!」


エンリちゃんは気持ちを吐き出したお陰か少しだけ吹っ切れたように見えた。

それから、しばらく待ちエンリちゃんはご飯を食べ終わった。


『エンリちゃん、しばらくしたらエンリちゃんがどれだけ動けるか調べるから、先に軽めの運動をしようか』


「あ、はい!わかりました!」


私とエンリちゃんは2人·······2人?1匹と1人?まぁ、2人で外に行き、湖や森を通ってとある場所に向かった。そこに向かう途中に色々とエンリちゃんにこの神域の説明をしてあげた。

そして、私達は目的の場所についた。


「ここは·······?」


『ここはね、これからエンリちゃんの体力や運動能力を調べたり鍛練する場所だよ!イエーーイ!』


「い、いえーい?」


そう、エンリちゃんを連れてきたこの場所は、昨日の夜に超特急で作った運動場兼鍛練場である!この広場には魔法で土を集めて固めたアスレチックがあり、他にも木を成長させて自然のフィールドを作り出したりもした。

そして、今からエンリちゃんがすることは·······


体力測定!


学校に通った者は誰しもが経験したことがあると思う。50m走、走り幅跳び、なんかめっちゃ走るやつ、上体起こし等々。前世ではこれらを使ってその人の体力を測定してたわけよ。

ならば、私もそれを真似してエンリちゃんの体力とか身体能力とかを調べようって思ったわけなのさ!

とりあえず、エンリちゃんを少し休ませてそれぞれ体力の測り方を教えて今から実際に測定をする。


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さぁ、始まりました第一回!えんりちゃんの体力測定!実況は私ベルと解説のべるでお送りします。

まず、最初の種目は約50m走!この種目は人生で必ず1回はすると言っても良いほどメジャーな種目ですね!私は狼だけどね!

解説のべるさん、この種目についてどのように思いますか?

えーそうですね~この種目は役に立つ50mをどれだけのスピードで走れるかということを測定するので、この走りでエンリちゃんの速さが判明することになります。なので、とても楽しみです!

なるほど、私もべるさんと同じで、とても楽しみです。エンリちゃんがスタートの位置に立ちました·······そしてがスタートの合図を鳴らした!


走る走る!エンリちゃん走ります!その姿はさながら私の存在に気づいて逃げ出す小動物のようだ!残りの距離半分を切った!さぁ、ラストスパートだ!走る走る!先程よりもスピードが上がった!そして今ゴールを通りました!!!

ブラボーー!!

そして計測した結果はーー!!!


約11秒


ッスー·······ま、まぁ病み上がりだからしょうがない!つ、次!



続いての種目はボール(木製)投げ!!

この種目では、エンリちゃんの腕力がどれほど強いのかがわかります!果たしてエンリちゃんはどれほどの腕力を秘めているのでしょうか。解説のべるさんは何かありますか?

ええ、特にこれといったことはありませんが、強いて言うならこの種目はできるだけ高い点数を取ってほしいですね。

ほう、それはどうしてですか?

それはですね、このボール(木製)投げは腕の力見るのと同時に、遠くから物を投げて攻撃するときの射程を測っているんです。なのでこの距離が長ければ長いほどエンリちゃんの攻撃手段が増えるということなんですよ。

なるほど、それは頑張ってもらいたいですね!

さあ、エンリちゃんがスタート位置に立ちました。ボールを投げるときのフォームは先程私が教えていたので間違えることはないでしょう!

エンリちゃんがボールを持ち大きく腕を振りかぶった!!そして腕の力を綺麗にボールに伝えていくかのような綺麗なフォームだ!!

記録は!!


エンリちゃんの投げたボールが弧を描くように地面に落ちた


ポトッ


記録!約2m·······!!


エンリちゃん·······もしかして···いや、決めつけるのはまだ早い!次!


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最終結果発表~!


約50m走! 約11秒!

ボール投げ! 約2m!

握力! 弱い!

持久走(約1000m)! 途中でバテたため記録無し!

立ち幅跳び! 約1m!

上体起こし!! 0回!!

腕立て伏せ!!! 0回!!!

反復横飛び!!!! 足がもつれて記録無し!

!!!!!


エンリちゃん·······運動音痴ッ!!!!

なんとなく2回目で察してたけども!!

圧倒的な運動音痴!!どうしよう·······病み上がりとはいえ、さすがにここまで酷いとは思わなかった·······いや、そもそも病み上がりとか関係ない。だってあのお風呂は傷を治す他にも体力を回復する効果だってあるんだから。

今回測った記録が正真正銘エンリちゃんの全力の記録ってこと。

つまり!エンリちゃんは元々運動が苦手だったということ!この事に気づいた私は思わず崩れ落ちて地面に手をついてしまった·····って四足歩行だし元からか·······!

さて、私はこれからの予定をエンリちゃんがまぁまぁ運動できるという予測の上で立ててた。

だけど、エンリちゃんがここまで運動できないとわかった今その計画を全部無かったことにして基礎体力をつけることから始めることになる。エンリちゃんも思わず申し訳なさそうな顔をしちゃってるよ!ごめんねエンリちゃん!エンリちゃんは何も悪くないよ!私が全部悪いんだから!私がエンリちゃんの運動のできなさを見誤ってしまったばっかりに·······!


『エンリちゃん!』


「は、はい!」


『今エンリちゃんに必要なことがわかった!それは·······』


「そ、それは?」


『筋トレ!!筋肉!圧倒的なパワー!』


「筋·······トレ?ってなんですか?」


『き、筋トレを知らない·······!?』


なんてことだ!まだこの時代に筋トレは存在しないのか!?こうしちゃいられない!筋トレの大切さをエンリちゃんに教えなければ!いつのアニメやラノベだって筋肉が全てを解決してきたというのに!

それから私はエンリちゃんに筋トレの大切さを1時間ほどかけて教えてあげた。


「えっとつまり、筋トレは私が生きていくのに必要なものってことですか?」


『·······いろいろ省略されたけどそれでヨシ!』

「わかりました!生きていくためにも私····筋トレをします!」


エンリちゃん·······筋トレしたら筋肉はつくけど·······ちゃんと運動音痴克服できるかな?まぁ、なんとかなるか!



―約1ヶ月後―


「······18、19、20!できた!」


『おめでとう!これで普通の人ぐらいの筋肉はついたね!』


あれから1ヶ月がたってエンリちゃんはなんとか平均的であろう体力を身につけた。

そして肝心の運動神経だけだど·······


エンリちゃん·····何故ボールが真逆の方向に飛んでくの?エンリちゃん·······なんで体力はついたのにそこまで運動ができないんだい·······泣


私、体力とか筋肉をつける方法は知ってるけど運動音痴を治す方法は知らなかった·······!


エンリちゃん!運動音痴続行中!

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