第16話 慟哭

なぜ? どうしてこうなった‥‥‥? 


足元には直視したくない現実。目を覆いたくなるような姿で、地面に倒れ伏す先生がいた。致死量を遥かに超えた血液がとめどなく周囲一帯に流れ出す。


力無く、しかしなぜか満足そうに口元を緩める先生の顔。ただ、その瞳に生気はまったく感じ取れない。


荒れ狂う轟音の中、最後に感じた温かな感触が今もまだ身体にうっすらと残っていた。残酷にもそれが目の前の光景が白昼夢ではなく現実のものだと理解させる。


頭部から爪先へ、全身の力が抜け落ちていくのが分かった。

視界に映る万物の色が抜け落ちて、心の奥底に眠っていた何かが蠢く———。


心が黒く染まり、絶望が希望を蝕んでいく。



———黙れ。


———邪魔だ、消え失せろ。


———先生はまだ死んでいない。



オレは拒絶する。


この現実を。

彼女の死を。

お前たちを。



そして、ついに絶望の波に自我が飲み込まれた。

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