第338話
「おっと!!あぶねぇあぶねぇっ!!」
『・・・GRAaaaaaaa!!!・・ズシャアッ!!・・・・Grr⁉・・GRrrrrrッ!!!!』
「うーん、結構皮膚が堅いですねぇ。」
『・・GRAaaaaaッ!!!ブンッ、ブンッ・・・ドシャァ・・・バキッバキッ!!!』
ギレンザードを挟むように位置をキープしながら、隙を見ては脚や頭を狙って攻撃してみるも、今の所はイマイチ大きなダメージを与えられているとは思えない。
残る有効打になりそうな物と言えば、いくつか用意していた『毒投げナイフ』や『爆砕玉』のような物もあるのだが、倒せる程の用意はしていないし、もし一個でも外した時が痛過ぎる。
他に考えられるとすれば城東さんの―――
「よしっ、もうちょっと左側の入り組んだ場所に引き込んだら、『大タル爆弾GX』を仕掛から気を付けろよ!!」
そう、作戦を立ててすぐ、俺のキャラクターに向かって来たギレンザードを避けると、運よく背の低い木が入り組んでいる場所に突っ込んで行った。
何やら、狭い場所でじたばたしているが、そんなモーションまで設定されているんだな。
そんな隙を城東さんが逃す訳も無く、暴れているギレンザードの後ろ脚付近に大きな樽を二つ設置し、モンスターに背を向けながら城東さんのキャラクターが十分離れたところで、ギレンザードのローリング攻撃が『大タル爆弾GX』に接触。
俺の居た位置ギリギリまでを範囲とした、大きな爆発が起きた。
爆発に巻き込まれ粉々に吹き飛んでいく木々の音や、真っ赤に広がった火炎が少しずつ治まって行くのと共に、両脚と尻尾の付け根辺りまでを大きく損傷した状態の、痛々しいギレンザードが視界に現れ始める。
そして、傷付いた体の一部からは吹き出るように出血しているのが表示され、剥き出しになったと思われる脚の骨に関しては、機械のような光沢と輝きが画面越しにでもしっかり見えてしまった。
「え・・・、金属?」
「おぉ、そう言えば話してなかったな!こいつの設定資料には、『古の時代に栄えた機械文明の生き残り。従来のミクロ超再生能力と環境適応進化能力は、長い年月の退化によって失われている。』って書いてあるんだが、今はそんな事よりトドメ刺すぞ!!」
見れば、爆発によって入り組んでいた周りの木々が消し飛んでしまった為、ギレンザードの動きを阻害していた物も無くなってしまい、モンスターが弱った時にのみ発動する『激情状態』にギレンザードは移ってしまっていた。
『激情状態』に変化すると、そのモンスターの皮膚は部位関係無く柔らくなり、こちらの攻撃が通りやすくなるが、モンスター自体の攻撃力が大幅に上昇、攻撃時の固有モーションが短くなってしまう。要は、一発でも俺のキャラクタージャッカルが攻撃を喰らってしまったらOUTって事だ。
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