第331話


 ”潜血のダリュナルを討伐せよ”


 門の先には体長六メートルを超える巨体と、人を丸吞み出来そうな程大きな口を持った大蛇が暴れていた。

 他のハンター達が暴れまわるダリュナルに突撃していく中、遠目から更に観察を続けてみると、鱗がびっしりと生えているダリュナルの体には幾つもの、折れた剣や矢が刺さっていたり、胸(?)の辺りから小さく生える強靭な両腕の先には、数々の攻撃を浴びて傷付いた跡がしっかりと残されていた。


 「『潜血の』って事は、ゲーム内では一体しか存在しないモンスター。『ボスモンスター』とか『ユニークモンスター』って感じですよね?ここでも、アウターストーリーに沿ってか滅茶滅茶に凝ってますし、流石の開発陣?」


 現実でやったら批判殺到モノだろう行動からコメント欄が、〈焦らすな!〉〈早く戦え!!〉と騒がしくなり、そろそろ攻撃にも加わった方が良さそうだと意識を切り替えた時に改めて、突撃と後退を繰り返すハンター達の一人が痛々しく描写されている傷跡に攻撃した際、ダリュナルが咆哮とはまた違った大きな叫び声をあげている事に気付いた俺は、もしかしてと背中にある大剣を抜刀してダリュナルの腕に斬りかかってみれば、またしても叫び声をあげるダリュナル。


 序盤のボスだし、倒すのは結構簡単かもな。


 『・・・GURrrrrrrrrr!!!!!!』


 「他のハンターにヘイトを向けて貰って、隙が出来たら弱点を攻撃するだけなのは楽ですね。ただゲームシステム的に、ボスモンスターのHPが表示されないので、後どれだけ攻撃を続けたら良いのか分からない点が、何とも言えません。」


 〈まぁ、狩りゲーは体力表示されないのも含めて面白いからww〉

 〈歯茎出すなww〉

 〈一番最初のボスだしな!!ww〉

 〈生贄となるのだハンター達よ!!〉

 〈『このコメントは削除されました』〉

 〈こいつの装備マジでカッコイイぞ!!〉


 ダリュナルの嚙みつきを避けては傷跡を攻撃、他のハンターを拘束して飲み込もうとしている隙に腕を攻撃等、今のところは一度の攻撃も喰らわずにダメージを与える事が出来ている。

 特に、長い体と傷付いた両腕を用いた拘束攻撃をしている間は、こちらの攻撃が全て『クリティカルヒット』の判定を受けているようで、NPCである他のハンター達の攻撃も有効打となっているように感じた。


 『・・・Grr・・rrr・・・・Gurrrrrッ!!!『ドッスーン!!』』


 そして、戦闘が始まってから10分も掛からない内に、ダリュナルが苦しそうな叫び声をあげたと思えば、その大きな巨体が音を立てて横たわってしまった。


 「あれ?もう、終わりですか?」


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