第329話


 ”討伐隊が戦闘を開始する前に目的地へと到着する”


 馬に引かせている大量の物資を狙ってか、背の高い草むらの中からランダムに現れるモンスター達を、俺も含めた合計二十人の護衛のハンター達が難なく仕留めていく。


 あの盛り上がりの後主人公達は、奥の扉から出て来たイケオジ『ハンターズ組合長 ガンダラ・トルカレード』の指揮の元、隠密探索に秀でたハンターを『斥候部隊』へ、元上層ハンターの末爺や同じく上層で活動していたガンダラ組合長を中心に、中堅程度の実力のあるハンター達を纏め『討伐部隊』を編成、残った俺や下層を中心に活動しているハンター達は、下層の入り口の警護やこのような物資の搬送を行うことに決まった。


 「流石に序盤のストーリークエストだからか、出て来るモンスターも簡単に処理出来る難易度ですね。受けるダメージも『機械餓狼』シリーズが有能過ぎて、ほぼ0ダメージ。『緊急クエスト』と言う緊張感が、台無しになってる気がします。」


 〈先に防具作ってて良かったな!ww〉

 〈機械餓狼の防具があるなら余裕よ!!〉

 〈確かハンターズ組合に登録する前に、とあるシークレートクエストをクリアしていると討伐隊に組み込んで貰えるって、ゼクスターロムの掲示板で見たことがあるけれど、本当かどうかは知らないや〉

 〈『このコメントは削除されました』〉

 〈どうせなら、武器も機械餓狼の装備にしたかったなww〉


 「あー、そうですね。こんな感じで隊列を組んで移動するなら、武器も『機械餓狼の大剣』にした方が、見栄えも良かったかもしれません。」


 そんな感じでコメント欄に反応する片手間、数分間隔で襲って来るモンスター達を処理していると徐々に、討伐隊が待機しているであろう陣が見えて来た。

 陣の周りには、『装備作成』の時には見つからなかったカッコイイ装備を纏ったハンター達が、数人のパーティーごとに警備として巡回している。更に、先頭を歩いていたハンターが軽い手続き終え、その背中を追うように陣の中に入ってみれば、あちらこちらのテントで武器の修理やアイテムの配給、炊き出し等が行われていた。


 〈補給部隊より早く討伐隊が出発したとは言え、こんなに早く拠点が完成されているのは、マジでこの世界の奴等はヤバいよなww〉

 〈まるで軍隊ww〉

 〈慣れみたいなのを感じるよなww多分、非戦闘員も居るだろうし〉

 〈炊き出しとか、匂いでモンスターを引き寄せたりしないのかな?〉

 〈ここから、装備の修復とかも大切になってくるよ!!〉


 『ふむ、どうやら討伐隊は既に出払っているようだ!よし、俺達は物資をテントの中に運び出すぞ!!』


 先頭を歩いていた補給隊の中で一番ハンター歴が長いハンターが指示を出すと、表示されていたクエストが、”討伐隊が戦闘を開始する前に目的地へと到着する”から”物資をテントの中に運び出し、戦闘の準備をする”に切り替わった。


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