第200話 気付き

午後4時

 一部を除いたスペースオペラライバー達は、六階にある会議室で思い思いに過ごしていた。


 「わっ、我の髪に触るでない!!!何度言ったら分かるのだ!!!!お、お主、呪われてしまうぞ!!」


 「ふふんっ、ちょっとくらい良いじゃない!!はぁ、本当に惚れ惚れするほど綺麗な髪の毛ね!!ねぇ、何か特別な手入れとかしているの?見た感じ、その口調の割には、髪の毛を染めていないのは分かったけれど、嫉妬しちゃうわぁ!!」


 「そんなの知らぬわ!!やめっ、止めろ!!おいっ、誰か助けてくれっ!!!ちょっ、助けてぇ!」


 久しぶりに自分の貯金を見てみたけれど、いつの間に300万も稼いでたんだ?炎上か?炎上の御蔭か?

 うーん、出来る事なら、城東さんと腹一さん以外のライバーとのコラボ配信も増やした方が良いのだろうけど、タイミングが難しいな!


 「城東先輩、良い筋肉してますね!!筋トレは、一日何時間くらいやるのですか?」


 「そうだな、上半身と下半身それぞれ、一回に30分から長くて一時間、それを二回だな!!お前も、筋肉と言うより、実用性に向けた良い筋肉だ!!」


 「へへっ、ありがとうございます!!やはり、筋肉の始まりはバランスの取れた食生活ですからね!!」


 「だよな!!たまには、ジャンクフードを思いっきり食べたくなっちまうんだが、それを乗り越えた後の筋肉は、止めらんねぇよ!!」


 「分かる!!分かります!!」


 ブラックハッカーに関する最新記事は、『VTuber企業スペースオペラ 社会不適合者を不正雇用か⁉ 元スペースオペラ警備員が告白⁉』で止まってるのか。これ書いた奴、スペースオペラアンチだろ。

 何処から、二期生の過去情報を手に入れて来たのかさえ分かれば、こちらからアクションを起こすことも出来そうだが、一向に足取りさせ掴めないのは、流石におかしいよなぁ。


 「あれ?奈落さんも調べものですか?」


 声の掛けられた方を見ると、腹一さんが疲れた表情で立っていた。

 確か、高太郎さんに連れられて、データ処理の仕事を手伝いに行ったんだったか?


 「あっ、お疲れ様です腹一さん、仕事の方は終わりましたか?」


 「ええ、一部、桁数を間違えたまま入力されていたせいで、少し時間が掛かりましたけど、大まかな作業は、ほとんど片付けたので、残りの人員でも問題が無ければ今日中に、作業を終わらせることは可能だと思いますよ?それにしても、こんな状況なのに、皆さん元気ですねぇ!」


 「まぁ、変に抱え込み過ぎても、今のところは悪循環にしか繋がらないだろうし、エストランネさん等は、その辺りも考えて、コミュニケーションを取っていると思いますよ?」


 「なるほど。・・・・改めて考えると、私達が出会ってから半年も経っていないなんて、目の前の状況を見たら信じられませんね!私もこの数カ月で少しくらい、何か良い変化を得られていれば良いんですけどねぇ!ハハハッ。」


 ・・・・変化か。

 腹一さん自身に、大きな変化が起きていることは気付いているのか?

 こういうのは、自覚症状が無いことの方が、比較的に多いのだろうけどな。


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