第201話 警備

午後11時

 日中、絶え間ないスタッフの声や足音が鳴っていたとは思えないほど静かになった3階の事務室に、三人の人影があった。


 「私が、一階から三階の順路を、上杉さんが四階から七階まで、猿飛さんが八階から上と、上杉さんと合流して非常階段をお願いします。その間、私の方はスペースオペラ裏口と駐車場を見回りしていますので、何か問題があったら連絡をしてください!!」


 「四階から・・七階ですね、分かりました!!」


 「了解や!!・・・本当に一人で大丈夫かいな?誰か他に連れて行った方が良いのちゃう?」


 「ハハッ、戦闘経験が豊富な人なら一緒でも大丈夫でしょうけど、もし、侵入者が襲って来た場合、素人の人だと真っ先に、狙われてしまうかもしれませんからね!!」


 手元の、軍用ハンディライトをチェックしながら笑う真田の様子に、頼もしさを感じざる負えない二人だったが、慌てて自分たちの懐中電灯と、約一メートルぐらいの物干し竿を装備する。

 この物干し竿は、スタッフが一時的に寝泊まりする際に、自分達の洗濯物を干す時に使用されている物を借りて来た。

 真田が持っている軍用ハンディライトに至っては、最高500000ルーメンも出すことが出来る、ガチガチのライトだ!

 ちなみに、三人の中で真田のみ、物干し竿を携帯していないのだが、本人曰く『装備は自分のがありますから!!』という事らしいが、ぱっと見は、護身用の武器らしい物を持っているようには見えない。


 「それじゃあ、もし、遠目から人影を見つけても、すぐに声を掛けずに懐中電灯を三回点滅してからゆっくり近づくようにするのと、大きな物音がしている場所には一人で近づかない。この二つを守って巡回していきましょう!!」


 「おっしゃ!!隅から隅までチェックしたるさかい!!ばっちこいや!!!ワイの根術見せたるでぇ!!!」


 「いや、侵入者は居ない方が良いんですよ、猿飛さん!!」


 「なんや、上杉のあんちゃんはノリ悪いなぁ!こういう時こそ、一人ぐらい捕まえて警告した方が、ええねんで?その方が、うちの女性陣だって安心出来るやろ!!まぁ、エストランネやったら、返り討ちにしてもうたるかもしれんがな!!」


 「まぁまぁ、侵入されることが無かったと言う実績も、ある意味安心に繋がりますから、安全に行きましょう!!無理をして私達が怪我をしてしまったり、大きな音を立ててしまうと、余計に不安を煽ってしまうかもしれません!!何より、この巡回も今日だけでは無いのですしね!!」


 「それもそうやな!!」


 「了解です、リーダー!!」


 各人の準備が整うと、真田を先頭にして部屋から出て行き、それぞれの巡回ルートへ向かった。


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