第192話 甘いと美味い
「き、気を取り直して最終バトル!!今度は、私VS筆記ちゃんの勝負よ!!ちなみに、この勝負で作る料理ジャンルは『デザート』って、事前に筆記ちゃんと決めてたから、よろしくね!!」
「ん、甘い物美味しい。」
結局、俺と緒恋さんの料理対決は引き分けで終わってしまい、何事も無かったかのように流された。やっぱり、『餃子』も付けた方が良かったのか?
「おいおい、デザートの中で簡単に作れる物なんて限られてるぞ?『フルーツの盛り合わせ』とか『ジェラート系』だと、簡単過ぎる気もするしよ!」
「デザートの中から時短料理出来る物を探すのも、大変でしょうに!あっ、今回は別に、時短料理を探す企画では無いんですけどね!」
「そうなのよね!だから、この対決の前に私達は時間を短縮する為、使う食材の下ごしらえと生地やスポンジの部分に関してにのみ、予め用意することになっていたのよ!!てな訳で、このケーキ用のスポンジで私が今回作るのは『ガトーショコラケーキ』よ!!」
「・・・・・・・マフィン。・・・・後は、焼けば終わり。」
お互いに、キッチン台の下から取り出したスポンジ等をカメラに見えるように置き、作業を開始する。
あれ?企画内容的には、『準備も無しに、机の上にある食材を用いて料理をする』企画だった筈なのだが?まぁ、企画立案者が良いのなら大丈夫なのかな。
筆記さんにおいては、残りの工程が焼くだけしか残って無い部分まで。調理を進めちゃってるし。
「筆記さん、面倒ごとは先に済ませちゃうタイプでしたか。」
「片方は必死に、チョコレートを塗りつけたりフルーツを盛り付けたりしている中、もう一歩は、オーブンを見ながらボーっとしてるだけってのも凄いな!!」
〈なんか、盛り上がりに欠けるなww〉
〈ボーっとしてる筆記ちゃん、絶対に可愛い!!!!!〉
〈流石お嬢!!ガトーショコラとは、大人の味ですな!!〉
〈困惑してるのが伝わって来る!www〉
〈本当に自分達で下準備したのか分からないの草〉
〈草〉
〈生地の部分が一番大事だろ!ww〉
〈マフィン、ほぼ完成しとるやん!ww〉
〈丼もの→中華和食→デザート〉
〈カロリー高いな!!!〉
嬢ノ内さんが、必死に盛り付けを頑張っている様子を眺めていると、筆記さん側のオーブンが止まり、中からマフィンが取り出される。
「あっ・・・・・・・・・・何も入れて無かった。・・・・これで良いや。」
「「「「えっ⁉」」」」
マフィンを取り出してすぐ、何か慌てた様子の筆記さんだったのだが、突然、脇に置いてあった調味料入れの中から砂糖を取り出すと、マフィンの上に振りかけ始めた。
どうやら、マフィン生地に何かしら入れる予定だったらしいのが、入れ忘れたようだ。
「はい・・・・出来上がり。・・・・・甘ければ・・・・良い筈。」
「速っ!ちょっ、後もうちょっとだから待って!・・・・・よしっ、多分、大丈夫だと思う、完成!!!!」
そうして、テーブルの前に運ばれて来たのは、砂糖が僅かにまぶされた『マフィンと』、雑に切られたフルーツが上に乗せられ、チョコレートが固まり始めている『ガトーショコラケーキ』だった。
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