第193話 判定不可


 「それじゃあ、味見の方、よろしく!!初めてスポンジを作ってみたけれど、案外簡単なのね!!」


 「・・・・・・甘いよ?」


 「いや、甘いのは見たら分かるが、もう少し見た目にも気を使ったらどうだ?」


 「まぁまぁ、美味しければ良いんですから、大丈夫でしょう!それで、誰からいきます?」


 「「「・・・・・・」」」


 〈見た目以外美味しそうww〉

 〈ガトーショコラ?www〉

 〈どちらかと言えば、作り方的にはショートケーキ寄りだよなww〉

 〈これ、マフィンの味する?〉

 〈一部、砂糖の塊が乗ってるマフィンあるけど、大丈夫?ww〉

 〈せめて、レーズンとか入れようよwww〉

 〈気付くの遅っ!!ww〉

 〈ガトーショコラケーキの方、見た目的に不味そうww〉


 「お?みんな食わねぇのか?それじゃあ、俺から頂くぜ!まずは、マフィンの方から、この砂糖の塊が乗ったの良いか!サクッ、、ん?辛っ⁉ゴホッ!ゲホッ!辛い!!これ、塩だろ!!」


 「・・間違えた・・・・残念・・・・・・。・・・・リアクション・・・・100点・・・・。」


 「いや、城東は別に、リアクションをしようと狙った訳では無いと思うわよ?」


 「本当に、漫画みたいな間違え方ってあるんですね。」


 「た、食べなくて良かったです。」


 「ゴホッ、ゴホッ、しかも、マフィンの生地に関しては、若干生焼けだったし、上に乗ってんのが砂糖だったとしても、あまり美味しくは無かったと思うぞ!」


 〈ギャグ?www〉

 〈今回、城東ってそういう役割?ww〉

 〈ナイス城東!!〉

 〈砂糖と塩を間違えちゃう筆記ちゃんも可愛い!!!!!!!〉

 〈塩の塊食ってたもんな!!www〉

 〈夏には良いのでは?塩分補給にもなるし!!ww〉

 〈おっちょこちょいな筆記ちゃん!!!〉

 〈『も可愛い』だろ?wwいい加減、信者は現実を見ろ!wwww〉

 〈マフィンの生地を作れるだけ凄いよ!!!カップラーメンも作れない俺と違って・・・・〉


 流石にここまで好き勝手言われては、筆記さんも浮かない表情をしているかと思い、チラッと筆記さんの方を見てみれば、表情は変わらず眠そうなままだった。強心臓?


 「あー、それじゃあ次は、嬢ノ内さん作『ガトーショコラケーキ』ですね。まぁ、ちょっとゴツゴツしてるケーキですけど、まぁ、美味しい筈です。」


 「そんじゃ、これも俺が最初に食べるぜ!さっきの口直しがしたくてしょうがねぇんだ!!」


 そう言って、置いてあったフォークをガトーショコラケーキに刺してみると、思ってよりもスポンジが柔らかく、普通のケーキに見えた。


 「そんじゃ、頂きます!!ん、おっ!うまっ、痛っ⁉なんだこの固いの!!!豆?いや、アーモンドか?それにしては、苦みが足りないよな?」


 「ふふんっ、城東にしては、勘が良いじゃない!!そうよ、アーモンドにマカダミアナッツ、クルミ、ピーナッツをチョコレートに混ぜてみたの!!どう?噛み応えあるでしょ!!」


 「うわぁ、だからゴツゴツしてたのか。せめてもうちょっと砕いてくれたら、食べやすかったのに、あれじゃあ、歯茎傷だらけになりますよ?」


 「噛むたびにケーキから、ゴリッって音が鳴るのが面白いな!!歯茎めっちゃ痛ぇけど。」



 塩味生焼け『マフィン』か、歯茎出血大サービス『ガトーショコラケーキ』、どちらを選ぼうか。

 その前に、一回食べないと駄目なんだよなぁ。



 

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