人生詰んだ気がしたので、VTuberになってみた。

第189話 緊急生放送

午後8時

　俺は、スペースオペラ三階の大きな一室で、城東さん、腹一さん、筆記さん。緒恋さん、嬢ノ内さんの5人と共に、様々な食材や料理道具が数多く並べられたテーブルを囲み、配信をしていた。

　久しぶりのスペースオペラ一期生全員集合だ。

　「それじゃあ、城東と腹一から始めてね！！！」

　「はぁ⁉急に呼び出したと思えば、何なんだ一体！！」

　「・・・・・ドッキリでは、ありませんよね？」

　「ほら早く早く！！一応、さっき説明したでしょ？『突発料理配信をしたいから、集めた』って！」

　「それは聞きましたけどっ！企画説明だって『目の前にある食材で料理を作る。美味かった方の勝ち！』なんて短すぎでしょう？」

　「・・・・・・・・・・帰りたい。」

　「え、えっと、そのぉ、取り敢えず、作れば良いんでしょうか？」

　〈混乱してて草〉

　〈なにこれ？ｗｗｗ〉

　〈公式チャンネルでいきなり配信が始まったと思いきや、カオスｗｗｗｗ〉

　〈はよ作れ！〉

　〈漢料理見せてやれ！！ｗｗｗｗ〉

　〈これもう、ドッキリだろｗｗｗ〉

　〈帰ろうとしないでｗｗｗｗ〉

　〈配信で集まるの初めてじゃね？ｗｗ〉

　〈終わってるｗｗｗ〉

　〈放送事故だろ！放送事故！！ｗｗ〉

　〈ｗｗｗｗｗｗｗｗ〉

　〈腹一、共食いは良く無いよ？〉

　スタッフの協力により設置された、大きなモニター画面に映るコメント欄に頭を抱えながら、事の成り行きを見守る。え？変に口出しなんてする訳無いだろ？あまり話す機会が少ない人の方が、この場には多いからな。

　「チッ、作れば良いんだろ？作れば！腹一さん、鶏肉は頂くぜ？」

　「はぁ、しょうがないですね！それなら私は、豚肉を使わせて貰いましょうか！」

　それぞれ、必要な食材をパッパッと手に取ると、部屋に設置されている二台のキッチンスペースに移動し、調理に取り掛かる。

　一部屋に二台の調理スペースなんて、料理対決番組ぐらいでしか見たことが無いのだが、高太郎さんは何処からこんな物を仕入れて来たのだろうか。

　「おっと、忘れてたわ！改めて、城東VS腹一の料理対決ー、開始ーーーーーー！！！！」

　「え、あ、頑張って下さい！」

　「えーと、開始ーーーー？」

　「・・・・・・・・・声大きい。」

　「・・・・何よ、ノリ悪いわねぇ。そこは全員で『開始！！』で良いのよ！！それで、あなた達二人は何を作るの？見た感じだと、二人とも卵を茹でてるようだけど、まさか、『ゆで卵』なんて言うオチでは無いわよね？」

　「はぁ？鶏肉取ってんだから、ンな訳ねぇだろ！俺が付くんのは『唐揚げ丼』だよ！！唐揚げ丼！！これ、妹が好きだったんだよ！！」

　「私の方は、『豚丼』ですね！いやー、豚丼って牛丼とは違って、一口一口が重くカロリーが高い感じがして、背徳感凄いですよね！！」