第188話 最凶
「あぁー、何であなたのサポートをしなきゃいけないのよ!他に居ないの?ほ・か・に!!」
「?どう言う事?あんたに、私のサポートが出来る訳無いでしょ?高ちゃんだって、サポートに送るのは『専門知識を持っていない人が多くなるかも』って言ってたじゃないのよ!」
「そんなの知らないわよ!私だって、あなたのサポートだって分かってたら、自分から『元精神科医です!!』なんてアピールしなかったわよ!!」
エストランネさんが部屋に入って来たと思いきや、いきなり遥さんと口論に発展した目の前の状況に、まったく理解が追い付けていなかったのだが、ようやく本題に入って貰えそうだ。揉めたままなのは変わらないみたいだが。
そもそも、どれだけの事情があれば、これだけの嫌悪感を隠さず、正面から口論出来るんだ?
後、遥さんは高太郎さんのことを『高ちゃん』って呼んでるんですか!とか、この間、社長室で自信満々に精神科医の証明書?みたいな物を見せて来たのも、アピールの為だったんですか?等々、色々とツッコミたいところではあるのだが、やはり一番は、少しぐらい俺にも話を振って欲しい事だな!と言うか、同じ部屋に俺が居る事を忘れてないか?すぐ真横に居るのに。
別に、二人の会話に入りたい訳では無くて、ただ単に、この部屋から退散したいだけなんだ。
いや、俺の姿が目に入っていないだろう二人を放置して、静かに部屋から出ることは出来るのだが、現在俺は、先生としての遥さんと定期健診中だ。そんな中、勝手に帰ってしまっても良いのか?
「あのぉ、・・・・あの!」
「ん?あれ?奈落君、いつの間に来てたの!!やだぁ、化粧が崩れてるのに!!」
「そうだった⁉な、奈落君の検査は終わったから、もう行っても良いわよ?ただ、今見たことは内緒にしてね?お願いね?ねっ!!!」
「はぁぁぁ、了解です。失礼しましたー。」
あきれてものが言えないとはあるが、必死に弁解しようとしている居た堪れない姿を見せられて、慌てて部屋から出たのは始めてだ。
誰が、オカマの『内股ウジウジ顔隠し』姿が見たい?
誰が、もうそろそろで50歳を迎えようとしている女性の、ワザとらしいウルウル瞳が見たい?
遥さんなんて、目の前にエストランネさんが居るせいか、普段からは考えられないぐらい背筋を伸ばして、見送ってくれたしな。
部屋を出る時、エストランネさんの背中にナース服がくっついていたような気もするが、気のせいだろう。
「まさか、定期健診の度に巻き込まれたりしないよな?・・・・終わった。」
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