第119話 闇闇コラボ

午後1時

 城東さんの『ハーフ実写配信』が多方面から注意を受けていた頃、俺は腹一さんとコラボ配信をしていた。

 その配信内容はーーーーー



 「それにしても、酷い会社ですね。パワハラが当たり前なんて、今の時代中々ありませんよ?」


 「まぁ、パワハラなんて優しい方ですよ。一番酷いのは、パワハラやモラハラだと相手に分からせないように、色々な手を使ってくる上司が居たりしますからね。女性の場合、セクハラなんてものは日常茶飯事な職場もあるらしいですし、今の世の中、サラリーマンなんて職業は最悪かもしれませんね。」


 「なるほど。俺自身、バイト経験しかないので、その辺りの話は聞くことが無かったので、為になりますね。」


 「アルバイトだって、職場によっては酷いところも多いですよ?特に、女性がアルバイトする場合、結構気を付けた方が良いですね。なんて言ったって、アルバイトですから、正社員からすると『いつか、いなくなる都合の良い労働力』と見ている場所もありますしね。」


 「確かに、アルバイト中にセクハラされても、思い切って言い出せない場合もありそうです。お金は無いから我慢する。我慢することが当たり前になっている現状に、ちょっとは違和感を感じて欲しいです。」


 腹一さんと共に、世の中の暗い話をする。

 それだけの配信に何の意味があるのかは分からないが、同接者数は結構伸びていることに驚きだ。

 腹一さんが言うには、『人間、他人のやらかした話とか暗い話なんてものを、娯楽のように楽しめるものなんですよ。』らしい。これには俺も、同感だった。


 「私、何回か痴漢冤罪で捕まりかけた事があるんですよ。しかも、こう言うのって電車の中などの狭いところじゃないですか?それなのに、私が冤罪を掛けられた場所が自分の車の中だったんですよ。」


 「?どう言うことですか?車の中で痴漢を訴えるって、無理がありません?」


 「ええ、普通はそうなんでしょうけど、訴えた相手が言うには『車で自分の後ろからゆっくり走って来たと思ったら、いきなり窓から手を出してお尻を触って来た』って言い分だったんです。」


 「ええ・・・。そんな言い分なら、なんだってありでしょ。電車で男性は手を上に上げて、疑われないようにするのが一般的のようになってますが、『この人、私のお尻を触ってから手を上げてました!!』なんて言われたら、誰もが冤罪で捕まりますよ?」


 「そうですよね。ちなみに、その時担当していた警察官の方が男女一人ずつ居たんですけど、男性の方からは同情を感じましたが、女性の方からは疑いの目が離れませんでした。中年って不利なんだってことを、この時に思い知りました。奈落君も気を付けて下さいね。」



 この日のコラボ配信は、一部の男性から圧倒的な支持を得ることが出来た為、第二回目のコラボ配信が決定した。


 冤罪。

 経験がある身として、やっぱり人間が嫌いだと確信を持った回だった。


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