第83話 気味が悪い
午前10時
昨日の伸二さんとの面談では、証拠を隠滅した奴が分かりそうで安心した。
安心したと言っているが、証拠隠滅した奴が見つかりそうなことが嬉しいんじゃ無くて、伸二さんの仕事が減らせそうなことに対して嬉しく感じた。
今日は、警察官の取り調べや伸二さんとの面談も無く、平穏?な日常を過ごせると思っていた時に、急な面談が入ってしまった。嫌な予感がして、面談の相手が誰か警察官に聞いたが教えて貰えなかった。
諦めて面談室に入ると、この間、家にまで押しかけて来た親戚のクズ共が三人並んで座っていた。
一瞬、『何でこいつらが来たんだ?』と思いながらも、出来るだけ冷静を装いながら椅子に座った。
「よぉ、俊隆!留置所の居心地はどうだ?wいっそのこと、一生そこに住んじゃったらどうだ?ww」
初っ端から不快感を感じさせる発言をしてきたのは、俺から見て左側に座っている息子の方だった。ちなみに、こいつらの名前を呼ぶのは止めた。こいつらなんて、『父親』『母親』『息子』で十分だろ。名前なんてもったいない。
心の中でそんなことを考えていると、俺が黙っていることをどう感じたのか、息子の方が勢いを増した。
「お前、少年院に入るんだろ?いや~可哀そうにな?wwまぁ、証拠が見つからないんだったら、しょうがないよな?wしょうがないしょうがない!!」
目の前のガラス窓が無かったら、こいつを殴ってたかもしれないな。それに、目の前の奴が笑う時、いつもなら『ギャハハ』とか下品な笑い方をする筈なんだが、周りにいる警察官からの印象を気にしているんだろう。まぁ、発言からして印象は最悪だろうけど、そこには気付いていないらしい。やっぱりこいつは馬鹿だ。
息子の発言に注意もせず、今度は父親の方が話し出した。
「いやね、俊隆君。君の両親の遺産の件なんだが、私に任せてくれたまえ!!嬉しいことに、君の両親の実家の土地を使いたいと言う会社があるんだ!!使用料として高額な金額も手に入る、これなら君も損をすることは無いだろう!」
話し始めたと思いきや、遺産の話を始めた目の前の奴らには呆れるしかない。『私に任せたまえ!!』って、何故に上から目線?と言うか、何でこいつ等が俺の遺産について詳しく知っているんだ?俺を通さずに会社ともやり取りしているようだし。それに・・・・。
「両親の実家の土地は誰にも使わせませんし、お金も要りません。何より、何処から仕入れた情報なのか分かりませんけど、両親の実家が倒壊した事、あなた達知ってますよね?だから『土地を使いたい』なんて面倒な話を持ってくるんでしょうけど、倒壊した家に関しては立て直すので、土地を渡すことは出来ません。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます