第66話 会いたくなかった奴ら

 伸二さんに色々と助けながらも生活をしていたある日。

 今日は珍しく邪魔な奴らが居ないなと、窓から外を覗いていると、伸二さんが部屋の中に入って来ると同時に、一冊の雑誌を見せてきた。


 「なぁ、こいつらに見覚えはあるか?」


 そう言って見せられたページには、『被疑者の家族が謝罪⁉』と大きな文字で書かれていた。そして、中央の写真に写っていたのは、家の家族と仲の悪い親戚の奴らだった。


 「は?何でこいつらが?しかもこれ、俺の家族って事になってません⁉」


 記事には、『現在俺は後悔の念で謹慎している』とか『とても反省している』などなど、好き勝手なことが書かれている。さらには、親戚の家族の子供であり俺の一番嫌いな人物が『あいつは俺の相棒のような奴なんで、これからも支えていきたい』などと書かれている。

 今すぐにも破り捨てたい気持ちを抑えながらも、伸二さんに問いかける。


 「これって、訴えられますかね?」


 「訴えることは可能だけど、もう手遅れに近いかもしれないな。」


 調べてみると、既にこの情報は恐ろしい速さで拡散されていて、今までこっちに押し掛けていたメディアや報道陣は、親戚の奴らのところに押し掛けているようだ。

 普通であれば、報道陣からのヘイトをあちらが稼いでくれたと喜べるのだが、最悪なことに相手は奴らだ。絶対に碌でもないことになる。


 伸二さんと二人でこれからの対策について話していると、外が騒がしくなってきた。

 俺は『また、面倒な奴らが集まって来たのか』と思い、窓を覗こうとした時、家のチャイムが鳴り、伸二さんが対応に向かった。

 前までは、チャイムを鳴らし続けて外に出そうとしたり、人気を得る為か、深夜にチャイムを鳴らし続けるなどの行動が多かった為、注意や警告などを行った結果、最近ではチャイムを鳴らす奴はいなくなった筈だ。と言うことは、『新しい馬鹿が来た』か『俺らに関して重要な話がある奴』くらいしかチャイムを押さないと言う事だ。

 少し嫌な予感を感じながらも玄関に向かうと、一番見たくない顔が居た。


 「おっ!やっぱり居るんじゃないか!おい!早く準備をしろ!!帰るぞ!」


 そうこちらを見ながら言ってきた男は、鬼堕家の親戚にあたる近藤家の父親、近藤こんどう まさるだ。

 その後ろには、母親の近藤 美知留みちると息子の近藤 雅紀まさきが、ニヤニヤしながらこちらを見ている。


 「困ってんだろ?しょうがねぇから、俺の弟にしてやるよ!感謝しろ!」


 「精々、家の子の邪魔にならないようにしてくださいね?それに、高校をすぐに辞めて貰って、働いて貰いますから!」


 後ろの方でニヤニヤしながら、意味不明なことをベラベラと喋っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る