2の1 滅んだ世界、地下都市と会議場

 民衆の憎しみを浴びつつ足早に出発した第1特察隊は、荒野に出るとブルホースを中速で走らせだす。《嘗て城塞の周囲にあった森林地帯はラグナロクの影響で、動植物が死滅し剥き出しの地面が広がるだけな死の大地と化している。》

「1つ頼みがあるんだがいいかウルズ?」

「なんだ言ってみろ」

 敵意丸出しの彼女にどう接すれば良いのか分からず、暫く無言のまま馬を走らせていた蒼空だったが辛くなって来たので彼女にお願いをする。

「お前の殺気は痛くて胃に刺さるんだよ、頼むからそうやって背中から睨むのを止めてくれないか?」

「出来ない相談だな」

 取り付く島がないとは正にこのこと、鋭利なナイフのように切れ長の目で睨みつけるウルズの怒りを静めるのは簡単では無いようだ。

 (どうしたものかな……)と蒼空は悩むのだが、色々話してみてそこから機嫌を取る方法を見つけようと考える。

「ウルズはどうしてパルマー城塞に来たんだ?」

「あれのせいだ」

 《ブルーホースは自立型の優秀な兵器だから、手放しや脇見運転でも何かにぶつかったりはしない。》ウルズが指差すほうへ振り返った蒼空が見るのは、無骨で頑強そうなパルマー城塞とかその城を守る半壊した防衛塔。

「フレイヤ様の信書を携えてヴァルハラの外にでた私は、空を飛びながら権力者が住んでいそうな建物を探したんだ。それであの城を見つけてここなら大丈夫だろうと地上に降りて城主との交渉を望んだら、夕食に薬を盛られて掴まり酷い目にあった」

「見かけと違って城の中は碌に手入れもされず荒れ放題だったろ」

「その通りだ窓ガラスが割れて床が抜けてたりネズミが居たりしたぞ。城の管理や掃除位きちんとしろそれでも城主かと私はミラス伯爵に注意してやったんだ」

「パルマー城塞に居るのは3ヶ国から距離を置いてる弱小勢力で、生活は苦しいが独自の軍隊を持ってるプライドの高い連中だ。懐古主義のフォレストエルフと言えば分かると思うんだがウルズは知ってるか?」

「……あ~そうか、だからか」⦅外部説明2:フォレストエルフについて⦆

「なぜ奴らが城塞に住んでいる? ああ言うのは大嫌いな筈なんだが」

「回りを見てみろ奴らが住める森はどこにも無いだろうが」

 蒼空に言われたウルズは風になびく黒髪を手で押さえつつ回りを見た。その瞳に映るのは嘗て豊かだった森林地帯の残骸で、長く見ていると気分が下がり憂鬱になって来るので顔を前に向けなおした。

「昔から仲は悪かったが神族が恨まれる訳だな。ラグナロクの大厄災を起こしたのはムスッペルだが戦争の責任は我々にもある」

「森を潰された上にモンスターの襲撃に怯えて暮らす羽目になり、荒地では作物が育ちにくくて俺達の支援も届きづらいと来ればもう」

「心の底から私達を憎んでいると言う訳か」

 2人で話をしているとウルズの気が幾らか緩むが、まだまだ許して貰えそうになく彼女の圧力を躱すように前を向いた蒼空は続けて話す。

「辿りついた先が俺達の目が届くパルマー城塞で運が良かったぞ。他だったら奴隷として売り飛ばすか売春婦にされてる」

「他はそんなに酷いのか?」

「場所によってはモンスターの巣窟だったり盗賊や邪教徒が居たりする。努力はしているが統合政府はまだミッドガルド全域を掌握するだけの力を持ってない」

「大変なんだな」

「ミッドガルドの連中はヴァルハラにいるフレイヤや神族を羨んでいるぞ、あれだけの事があったのに鎖国して自分達だけが安全な空中に居るってな」

「戦争の主体はアース神族・巨人族とムスッペルで、ヴァン神族は第三者だ。そう言う私はアース神族な訳だが城にはヴァン神族だけでなく、フレイヤ様を崇めるアース神族や私のように疎開・避難してきた人達も幾らか住んでいる。

 パルマー城塞よりはましだが補給の途絶えた城が羨ましいと思うか?」

「思わないな、地上に降りてきたのはそれが原因か?」

「そんな所だ」


 速度を上げたブルーホースは東へと進み続けて、40分ほど進んだ所にある鉄柵で囲まれた場所へ来ると停止する。

「地面ばかりで何もないがこんな所で何をするつもりだ?」

「ここの地下に∞連合の第3地下基地がある」

 そう話しつつ馬から降りた蒼空は、前にある鉄柵の門を鍵で開けると再び騎乗してブルーホースを歩かせ始めた。

「なんか変な感じだぞ蒼空」

「地面へ沈んで行くように感じるだろ」

 ウルズを乗せたブルーホースが暫く進むと、馬とか自分の身体が段々と下がるので妙な感じを覚えたが、幻術で入口を隠しているんだなと彼女は理解する。

「スロープから壁まで全てがミスリル鋼板か。入口にある幻術といい∞の癖して生意気な造りをしてるじゃないか」

 地面の下まで顔が潜ると幻術が効かなくなり地下基地、本来の姿が見えてくる。

「昔と違って∞は一つの国になったんだ前と同じようには考えないでくれ」

「ふーーーーん」

 スロープを下ると先に鋼板で作られた落し戸があり、その横には警備室があって特察隊を確認した警備兵は中からハンドルを回して扉を引き上げる。ブルホースに乗って門を潜るとその先にも警備室と馬小屋があり、機械馬から降りてそこに繋いだ蒼空達はウルズを連れて更に奧へと歩いて行った。

「私は信用されてないんだな」

「当たり前だ」

「拘束を解いたら暴れるって言ったじゃないか」

 先頭にいる蒼空の後についたウルズを両側からマグレーとダリアンが挟み込むようにして警戒しつつ、4人は階段を降りて地下2階の医務室前へやって来る。

「ここで何をするつもりだ?」

「各国の代表へあわせる前にまずその怪我を医者にみて貰う。やせ我慢しているが痛いんじゃないのかそれ?」

 手足とか麻布の隙間から見えるウルズの白い体は痣だらけで、故に蒼空はこう聞くのだが彼女は大丈夫だから何もしないでくれと言い張る。

「内蔵が傷ついてると命に関わるから診て貰った方がいい」

「そんな事を言って私を解剖したりしないだろうな?」

「解剖する位なら処刑を止めて釈放金を払ったりしない、俺達を信用しろ」

「本当に大丈夫なんだろうな」

 口先では何とでも言えるとウルズは疑うが、痛いのはその通りだし治療して貰いたくもあるので彼等を一応信用する事にする。ウルズ達4人が揃って入った医務室には消毒液の匂いがして、白衣を着ている女性医師が椅子に座って彼らを待っていた。

「第1特察隊の蒼空大佐だ。事前連絡をした通りにパルマー城塞からヴァルキュリアのウルズを連れてきた、彼女の怪我を診てやってくれ」

「基地内ではフードと仮面を外しなさい蒼空大佐、それでは誰だか分かりませんよ」

「そうだったな」

 もうすぐ還暦になる叔母さんから指摘された3人は。それぞれが被っているフードと仮面を外しながら自己紹介をしていった。

「人間とワーウルフにムスッペルとか変な組み合わせだなお前ら」

「俺は人間じゃないぞ……」

 《蒼空 隼人はアジア系の自称38歳。

 鍛えられた体格に黒い短髪をして、精悍な顔立ちには目の部分を覆うように青黒い仮面をつけている。彼の主武装は体の前に掛けてある弦のない魔法弓だ。

 彼は人間のように見えるがウルズと同じ魔導兵器。

 【戦乙女はヴァルキュリア、男戦士はヴァルキリーと呼んで区別される】。》

「仮面の下に仮面をつけているのかお前?」

「此れには事情があってだな、眼が良過ぎて光が眩しいから外せないんだよ」

「そうなのか。蒼空は東洋部族連合の出身なんだな?」

「その通りだ」

 《2人目のパラス=マグレー少佐、数百歳。

 褐色の肌に紐で纏めた長い銀髪をしていて、体格はそこそこで年齢に似合わない20代のような若作り。身長は蒼空より高くて香水の匂いを漂わせ、腰にはソードロッドと呼ばれる一風変わった魔法剣を差す。】

「ふむふむ、最後はお前だなワーウルフ」

 《3人目はロウゼス=ダリアン少佐、百歳越え。

 金の瞳をした狼の顔に全身を覆ってる青白い毛と鬣、出し入れが可能な爪は鉄のように硬くて、人やエルフとは比較にならない強靭な筋力と体力をもつ。彼の主武装は魔法剣でラグナロク前の世界ではそこそこ名の知れた剣士だった。》

「3人ともよく分かった。私の自己紹介はしなくてもいいよな?」

「世界レベルの超有名人だからな」

「運命の三女神ウルズの名前を知らない人なんて居ないよな」

 それぞれの自己紹介が終わった所でウルズの診察が始まる。

 医者に言われた戦乙女はベッドへ寝る前に、麻布の囚人服を脱ごうと手を掛けていくのだが回りの3人は女医に注意されてしまう。

「彼女の診察が出来ないのであなた達は外に出ていなさい」

「ウルズが暴れるかも知れないから側で見張っていたいんだが」

「彼女は魔法が使えないので心配しなくても大丈夫ですよ」

「しかしだな……何かあったら呼んでくれ」

 じっと女性達から見つめられた男達は

仕方なく医務室の外に出ると、頼まれたウルズの着替えを他から持って来て彼女らへ手渡し、治療が終わるのを医務室の外にあるベンチに座って待つ。


「……さすがヴァルキュリアだ。絹のドレスが素晴らしく似合っていて神々しさを感じるほどに美しいなんて綺麗なんだ君は」

「ありがとう、とでも言うと思うかムスッペル? 気味悪くて鳥肌が立ってきたぞ」

 医務室前の廊下にて爽やかな笑顔を向けて褒める褐色肌の男と、治療を終えて部屋から出て来て睨み返しつつ殺気を露にした戦女神。

 《ヴァルキュリアの服と言えばこれ【絹のドレス】。》

 《塗れタオルで体を拭いたら傷薬を付けて包帯を巻いたりし、囚人服からドレスに着替えて香水も付けた彼女は確かに美人だ。》マグレーが求愛する気持ちも分からなくはないがそれを横で見ている他の2人は、(またかよ……) と呆れてしまう。

「目障りだからその顔を私に向けるんじゃない」

「そんなに嫌わなくてもいいじゃないか、昔は色々あったが今の俺達には何の関係もない話しだ愛を語り合うのにぐふっうわーーーーーーーーー」

 嫌がるウルズの手を握りながらマグレーは馴れ馴れしく接近。その行為に怒った戦女神は手を振り解いて鳩尾に一発入れると、男の襟と腕を掴んで背負い投げをする。

 そして「グハッ」と呻いた美男子は白目を剥くと床で伸びてしまう。

「やり過ぎだろウルズ!」

「私は神の使いなんだぞ、その私に無礼を働いてこの程度で済むのに感謝しろ」

「感謝ねぇ」

「怖い女だな」

「次は何をすればいい?」

「各国の代表に合わせてやるから付いてこい」

 投げられた男は頭を打ったのか床で伸びてしまい、目を覚ましそうにない男の処置を医務室の女医にお願いした蒼空達はウルズを次の場所へと連れて行く。

 階段で地下基地の3階に下りると左にセキュリティゲートがあり、ここを抜けると金縁の飾りがある鏡が壁に沿って複数掛けられた部屋に出る。

「ゲートミラーかどこに通じている?」

「3ヶ国統合政府の会議場がある∞連合の首都へ行って貰う」

「ウロボロスの分際で首都だと? まるで立派な国のようじゃないか」

「まるでじゃなくて∞は国になったんだよ。地上には住まない地下都市だけで成立している立派な国にな」

「野蛮人の集まりが国を作るとは考えたくない話だ」

「お前なぁ……」

「この話はまたにしよう先を急ぐぞお前ら」

 《ゲートミラーとは転送装置の事。

 1枚の鏡を選んで近付いた蒼空が近くの台にある水晶に手を当てて、魔力を送ると鏡の表面が揺らいで向こう側が透けて見えるようになる。魔力を送ってないとゲートが閉じてしまうので先にウルズとダリアンに鏡を越えさせた蒼空は、水晶から手を離すと急ぎ気味にその鏡を潜り抜けて行った。》


 《鏡を通り抜けた先には前のと同じゲートホールがある。

 地下鉄の駅みたく広めに作られているここは、様々な場所に設置されたゲートミラーを使って世界中から人々が出入りをする所。重武装の兵士が警備をしたり、入国審査用の受付やら入国ゲートがあったりする少々忙しい場所だ。

 両替所やら売店なんかもあったりして、入って来た軍のゲートホールとは違う長めの入国審査をしてから蒼空達は都市へと入って行く。》

「ウロボロスの癖して随分と立派な地下都市じゃないか」

「凄いだろここは……」

 《オーディンの影響を暗に受ける秘密都市として開発されて千数百年以上、一度も他国の侵略や破壊工作(内部の勢力争いは別)を許した事がない、世界から隔絶された∞が自慢する首都がここ【地下追放都市・スヴァルトヘイム】。

 昔と違って幾らか訪れやすくなったとは言え、ミッドガルドのどこに造られたかは公表されておらず、謎や怪しい話が至る所に転がっている魅惑的な都市になる。》

「ウロボロスの癖に生意気だぞお前ら」

「悪かったなウロボロスで。ここはな……」

 《地面から天井まで50m以上、天井を支える柱代わりの高層住宅やら大劇場なんかがあって、頭上には魔法で作った人工太陽が赤々と燃えている。地面に穴を掘って暮らすのが∞の基本で少人数だが、地上の都市にも引けを取らない繁栄ぶりだ。》

「ウロボロスの癖に……」

「ラグナロクの影響を全く受けなかったここは総人口15万人程で、此れに東洋部族連合やダークエルフ・ドワーフが加わり、人口が倍増して急成長を始めている」

「ウロボロスの癖にーーーーーーーーーー」

「余り煽るなよ隊長」

「煽ったつもりはない。えーーと……」

 鋼材と石の組み合わせで造った少々埃っぽい∞連合の本拠地、その【入国ホール前】には客を待つ馬車が並んで止まっている。その一つを選んで乗り込んだ蒼空達は会議場に向けて出発していった。


 《入国ホールから直進するとすぐ道の両脇に軍の基地が現れる。入国者に対してこの様に圧力を掛けるのは態とであり、ここを抜けた都市の中心部には商店街があってその回りを水路と環状道路が囲んでいた。》

「今の時代に此れほど活気に満ちた都市あるとはな、地下なのに水路が張り巡ららされているしウロボロスの癖に生意気な所だ」

「この水路はスヴァルトの自慢だ。地下水の流れをそのまま引き入れていて枯れることがなく常に清潔な水が手に入る」

「ふーーーーん」

 人が多いので商店街を馬車で通り抜けるのは禁止、黒塗りの車体にある窓から外を眺めつつ円に沿って進んだ彼らは丁度反対側へとやって来た。

「∞の癖に……」

 《金を払って馬車から降りた目前が∞庁舎で隣が役所。地下都市で他より安全な庁舎には3ヶ国統合政府も入っていて、ここの入り口上には〘黄金で作られた2匹の蛇で∞を形作る巨大レリーフ〙が飾ってある。》

「なんか注目されているような気がするぞ」

「気のせいではないな」

「目立つからなぁ俺達、ウルズの羽なんか特にそうだろ」

 ∞の役人や警備兵、仕事に来ている企業関係者、政府関係者やらSP達など皆でヴァルハラから降りて来た戦乙女に注目中。天空から彼女はどんな話を持って来たのか此れから何が行われるんだろうと彼らは興味津々なのだ。

 目立つ白い翼で周囲から注目を集めつつ群がる人達を押しのけて、入り口ゲートを抜けたウルズ達は庁舎のメインホールにある昇降機で9階に上がる。

 《余談、まだ一般的ではないがエレベーターやエスカレーター等と言った、機械的な物が民衆にも広がり始めたこの時代。動力源は石油やガスによる発電ではなくエーテルから魔法的に作られる弱雷で動かされている。》


 《庁舎の7階から上には娯楽施設やロイヤルスイート級の宿泊施設があり、一般人お断りになる重役区画9階に大会議場がある。特察隊に連れられて高級絨毯を歩きながらそこに入ったウルズは大勢の人からまた注目されてしまった。》

「なんだか緊張してしまうんだが仰々しくないか此れ?」

「実はな……」

「フレイヤ様から既に連絡があっただと!」

「そうなんだ」

 《主神フレイヤはどこかに居るであろう王だか首相へ密かに信書を渡し、水面下で交渉を始める予定だったがウルズが行方不明になるとそれが大幅に狂う。ウルズの連絡が途絶えて1日が経ち、2日目に差し掛かるとフレイヤは慌てて軍を派遣する事になり、騒ぎを嗅ぎつけた統合政府との共同捜索になって……

「今に至ると言う訳か」

「俺達が出なければ軍の特殊部隊がパルマー城塞を急襲する話もあったんだ」》

「私は大事になっていたんだな」

「ミラス伯爵が処刑時間を早めたのはその辺りに理由がありそうだが」

「間に合ってよかったなぁほんと」

 《演壇がある半円状に椅子とか机が並んだ大会議室、沢山ある席の後に並ぶのは各勢力の象徴を表した石像でそれぞれの前に要人達が並んで座る。

 左から順に

 【魔獣連合トライソウル】

 ワーウルフ、ドラゴニアン、ウンディーネ像のセット。

 【魔道帝国ディグリス】

月を抱えて立っている妖精、ムスッペルのスルト、ヴァン神族はフレイ・フレイヤの兄弟、アース神族はオーディンの像になる。〘エルフが信奉するのは月と森の自然崇拝であり妖精は自然の象徴だ〙。

 【∞連合】

 ∞像、鎧甲冑、ドワーフのハンマー、銀の弓と黒ダイヤのセット。

 そして【ゴブリンの石像】といった具合。

 それら石像達の上には3ヶ国統合政府の象徴である、【とんがり帽子に杖と魔導書 が描かれた統合旗】が大きく掲げられている。》

「話はもういいか? 待ちかねたぞ蒼空大佐」

 大会議室に入った特察隊へ声を掛けて来るのはウロボロス軍の将校。

「ウロボロス連合の命令を受けて、パルマー城塞で処刑され掛けていたヴァルキュリアで運命の三女神ウルズを連れてました」

 敬礼をしつつ報告をした蒼空はウルズと並んで会議場へ入ろうとしたが、「特察隊は忙しいのだろう後は我々に任せて下がっていいぞ」と将校に断られてしまう。

「任せていいのか? 彼女を見張った方がいいと思うんだが」

「我々はそれぞれ戦えるし兵士やSPもいる。いかな高名なヴァルキュリアとて魔封じの枷がある女性1人に遅れは取らないさ」

「了解した、ならこれで失礼させ貰う」

 そう話した蒼空はフレイヤの信書と、ウルズに付いている魔封じの枷を外す鍵を将校に渡して、彼女を残したまま大会議室の外へと出て行く。

「次は大隊長の所へ行くぞダリアン」

「気が滅入って来るなぁ……」

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