朱家の宗主にご挨拶
急足で大広間へ戻ると、人混みの中で大きく手を振る
「こっちです!」
人を掻き分け、二人の元へ着くと、彼女は少し驚いた様な顔をした。
「お帰り。珍しいわね、
「すみません、姉上。
「別に怒ってなんかないわよ……」
「お友達と話す時間が楽しいと思うことは良いことよ。それに、遅れて来ている訳でもないんだし」
「宗主の言う通りだ思います!」
しばらくの間、小声で人々は話していた。しかし、
側近の女性が一歩前へ出ると、静黙に張りのある声が響き渡った。
「それでは、皆様方からの挨拶の前に我が
「皆様。我が
面持ち通りの優しく、柔らかい声が響く。
「それでは次は各仙門からの挨拶です。まず、
その言葉と共に蒼い服の女性三人が玉座へと続く道へ出た。すっと背筋の通った姿勢と毅然としたその面持ち。冷徹な視線は、彼女達の美しさを引き立てた。カッカッと鳴り響く足音をさせながら玉座の前で、青家三人はそっと一礼をすると、顔を上げ、青宗主は少し微笑むと。
「お招きいただきありがとうございます。朱雀殿は相変わらずの美しさですね。我々も楽器の腕をあげました、いい試合ができることを期待しています」
すらすらと言ってしまうと贈り物を渡し、またカッカッと音を鳴らしながら戻っていった。
二番目は黒色の服を纏った男性二人、女性一人が玉座へ向かった。
「……この間の談話会以来だな。朱宗主。我々は今年も剣舞を踊るが……舞台は大丈夫か?」
「ええ。玄宗主達の勇ましく、激しい踊りにも耐えられる様に再建しましたよ」
「……その節はすまなかったな」
勇ましい声が小さくなった。
「いいえ。大丈夫ですよ。また、あれが見られるのを楽しみにしています」
玄家の渡した贈り物は他の何よりも高価で最も派手だった。そしてこの後もこれより高価なものは出ることはなかった。
最後に、
静かに深呼吸をし、震えを治めると、ちょうど玉座の前についてた。
「朱宗主。こんにちは、お招き頂きありがとうございます。一位の座を狙っているそうですが……こちらも負けはしませんよ。楽しみにしています」
「はい。こちらも、いい試合になることを期待していますよ。」
お互いににっこりと笑っているが、微かに漂う冷戦の空気に隣にいた
「贈り物をこちらに」
「はい」
(……っ?)
「ありがとうございます。白公子」
「いいえ。こちらこそ。朱公子」
その後も挨拶は続いたが、自然と彼が気になってしまい、合間に彼と何度か目が合った。しかし、
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