ダンジョンが溢れてアポカリプスな世界でもぬか漬けを食べれば最強です
つだ
第1話
全てのはじまりは、太平洋の中央を震源とする小さな地震。
環太平洋諸国が気にも留めなかったこの災害は、文字通り世界を変えた。
第一報はマグロ魚船の緊急無線。
船長が”塔”と表現した推定数百メートルの「それ」は弄ぶかのように大人の鯨に巻きつき、跳ね上げ、辺りに血と臓物の雨を降らせた。
通称「クラーケン」 人類が霊長の座を30万年ぶりに開け渡すこととなった”Sランク”の魔物との邂逅である。
この後世界中で続々と地上の大穴が発見される。
決死の覚悟で行われた調査は、世界に新たな絶望と微かな希望をもたらすこととなる。
絶望は地上での魔物の発見。
希望は各種の資源と未知の物質の発見である。
海が人の支配から逃れ、物流網や漁業が壊滅状態のなか生存の可能性を探るため、人類は各地の大穴の周りに街をつくり集まるように暮らし始めていた。
「いやーやっぱりうちのきゅうりのぬか漬けはさいっこうだな!」
太陽が照りつけセミの鳴き声がミンミンと鳴り響くなか、満面の笑みでおにぎりとつけものをかっくらうこの男、山田はじめは、生の喜びを噛み締めていた。
「人間は自然のなかでいきるのがいちばんいいんだなーーー」
生まれ育った田舎から周りの反対を押し切って都会に出たはいいものの、慣れない生活にブラック労働、劣悪な人間関係と精神をすりへらしていたはじめは、一念発起して山を買い、心と体を休めるために一人で田舎暮らし━というより山籠りをしていた。
「薄暗いオフィスで深夜までパソコンカタカタしてたときはほんとうにつらかった・・・」
ほったて小屋の床下収納をあけ、ぬか床を取り出す。
「ああーー愛しのぬか床ちゃん!!元気にしてた??3時間ぶりだねぇぇ!!」
人との交流もネットとも断たれた、はじめの愛情はぬか床に注がれていた。
ダンジョンが溢れてアポカリプスな世界でもぬか漬けを食べれば最強です つだ @kamndinibuna
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