第4話テロリストとマザー
朝の日差しではない、柔らかなオレンジの日差しが僕の部屋を照らしていた。
つまり今は朝ではなくて________
「うわあ!今日も遅刻だ!」
僕はベッドから急いで飛び起き、マザーへ確認を取る。
「もう夕方!?マザーどうして起こしてくれなかったんだ!」
『純様は昨日、アラーム設定をしませんでした』
「あー!そっか!昨日は・・・」
そう昨日の出来事を考えていると、カード型携帯のアプリの裏で何かが起動している事に気づいた。
「なんだ、このアプリ・・・皆死ねばいいプロジェクト・・・?」
ドォォォオオオオオオオンン……・・・!!!!
するとベランダの外から大きな音が鳴り響いた。
東京の方面から黒い煙が立ち上がっている。
「な、なんだ?マザー ニュースが観たい!テレビをつけてくれ!」
『わかりました』
するとテレビに映し出されたのは紛れもない東京で、ミサイルが落下したと報道があった。
「そんな、嘘、だろ・・・」
東京には母さんと妹がいるのに______
カード型携帯を握る拳が震えるのを感じた。
「で、電話だ電話しよう!」
震える手でなんとか、母親と連絡を取ろうとする。
しかし混雑しているためかずっとコールが鳴りっぱなしだった。
するとテレビでは自分が映っている事に気づいた。
「________え?」
テレビのアナウンサーはこう告げた。
「ただいま入りました情報によりますと、この少年がなんらかの理由でミサイルを落としたテロリストだという事が判明いたしました。何か情報が分かり次第おって〜」
僕がテロリストで、犯人?
そんなバカな話、あるわけがないだろう。
思考が追いつかないまま、そう考えていると、ふと、違和感を覚えた。
沈む夕日に照らされている街は一つも明かりがなかったのだ。
「嘘、だろ、こんなんじゃ、マザーが使えなくて、みんな死・・・」
そこまで言って気がついた。
どうして僕のマザーは動いているんだろう。
もしかして僕は本当に、
「僕はテロリストなの、マザー?」
『正確にはお答えできかねます』
「ッ!お前は嘘は言わないんだろう!そうAI三原則にもある!なら僕はテロリストじゃないって言えよ!言うんだ!」
『正確にはお答えできかねます』
すると、ベランダの窓から警察らしきスーツを着た男性が僕のマンションへ行くのが見えた。
「警察だ・・・きっと僕が犯人だから捕まえに来たんだ」
『今なら逃げられます、私がサポートしますので逃げましょう』
「!お前・・・なん、で」
自発的に喋ることはしないマザーは喋っていた。
『早くしないと捕まりますよ』
僕はこのまま警察に捕まるか、人間じみてしまったマザーに助けを求めるか。
2つに一つの選択を迫られた。
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