case.5「プロポーズはドリランで」

「あのーーー、、?」


「はい?」



柴田さんが休憩に向かってすぐのこと。

とある女性がエンジョイサイクルにやってきた。



『これっておもしろいですか?』


「あ、えっと、はい!おもしろいです!」


『あーそんななんだ。』


「え、どうして?」


『いや、キャストが「あ、えっと」って先に言うやつあんま面白くないでしょ』


「あ、まぁ名前だけなんですよねこのアトラクション、ほら見てください」



僕は、奥にあるガラクタ面白自転車たちを彼女に紹介した。



『あーこれあれか、よく大きめの公園にあるやつか』


「あーそうっすそうっす、まじでここでこれを作った意味ないってぐらい人気ないです。このアトラクション」


『そうですよね、ここに来て4人乗りチャリとか乗りたくないですもんね』


「ほんとにそれなんです。まあ6人乗りとかもあるんですけど!!」


『じゃこれはだめか。』


「どうしたんですか?」


『あーいや、実は·····』


「はい?」


『私、今日プロポーズされると思うんです。』


「あ、よかったじゃないですか!おめでとうございます!」


『いやなんかこれでいいのかなって』


「はい?」


『いや、プロポーズを受けたらもうこのひとりの生活は終わっちゃうわけじゃないですか?

なんか寂しくないですか?』


「えっと、じゃ断ったがいいんじゃないですか?」


『断る気はサラサラないんです。好きだし』


「あ、なるほど。」


『だから、せめて最後に1人でいちばん面白いアトラクションに乗ろうかなって思ったけど人気のに1人で乗ると相乗りになるじゃないですか?』


「あーまあ、そうっすね」


『それはなんか嫌で』


「あ、なるほど」


『やっぱ違うことがいいのかな』


「今、彼氏さんは?」


『カーネリングポテトを2つ買いに行ってます』


「すごい具体的っすね」


『プロポーズになんか引っ掛けたいのか知らないですけど、わざわざ「カーネリングポテト買ってくる!」って言ってどっかいったんですよ』


「なるほど」


『んー、どうしよっかな』


「じゃ僕と乗ってみます、?」



僕はついにしびれを切らしてその言葉を口にした。



『え、いいんですか?』


「はい、これひとりだとクソつまんないでせめてふたりで·····」



そして、僕はこの謎のお客さんと

エンジョイサイクルコースを

2人乗りの星型のタイヤの自転車で10分ほど走った。




2人で乗ってもくそつまらなかった。





早く帰ってこないかな、彼氏さん。

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