第43話 神が舞い降りし日
(え~~~~と……感想、感想??)
携帯越しに伝わってくるプレッシャー。
それに煽られ、わけもわからず焦ってしまう孝之。
半脱げワイシャツに半出しブラジャー。
前のめりになって胸を強調し色目を使ってくる姉の先輩。
そんなパワフルなお題に対し、いったいどんな答えを返せばいいのか?
とりあえず、
『いま授業中なんで、後にしてください』
と、真っ当な返事をしてみる。
するとすぐに『それが答えか?』のメッセージが入り、それに添付されて、
「ぐっはぁぁああぁぁぁぁぁぁっ!???」
シャツのボタンを全部とブラのフロントホックまでも外し、乙女座りをした写真が送りつけられてきた。
ちょっと切なそうに見つめてくる
だが、孝之の背後にいる慎吾が(大丈夫です先生。この奇行種は僕が退治しておきます。どうかお気になさらず授業をお進めください)と恐ろしく男前な表情で首を振ってきたので、そこはかとなく不穏な空気を感じ、それ以上はなにも言わなかった。
『感想は?』
(いやいや、だからなんなんだよもう……)
また感想を聞いてくる
孝之はなぜこんなことをされているのか、一旦落ち着いて考えてみる。
すると一つの推理が持ち上がった。
もしかして……試されてる……?
先日……(できれば記憶から消したいことだが)自分の性癖の一部が公の場にさらされた。もともと変態の姉はともかく、常人(と思っていた)
「……全然納得されてないじゃん、やっぱり……」
まぁ、あれだけの証拠を見られたのだ。その後なにを言い訳しても無駄なんだろうと自分もわかっていたが、しかしその場で開き直れる胆力もなく、それを察した
そしておそらく……改めて、彼女に試されているのだ。
――――自分の変態指数がどのくらいなのかを。
どくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくん。
高鳴る胸の鼓動と、流れる冷や汗。
(まてまて冗談じゃない。俺が変態? ……違うでしょ? 変態なのは優衣菜のほうでしょ? 違うの? いや、そうじゃなければ今後の発言権に関わってくるんじゃないかこれは??)
ここの答え一つで己の立ち位置が変わってしまう?
それに気付いてしまった孝之は、画面の中の、はだけた胸の谷間を見つめながら一粒の汗をノートに落とした。
(い……いやいや、まてまて動揺するな……。これはそんなに難問じゃない。ようは俺が真人間なんだと証明してやればいいだけじゃないか。……大丈夫、きちんと答えを送れば問題ない。簡単な話だ……)
そう冷や汗を拭って、孝之はメッセージを入力する。
『やめてください。授業中なのに変なキモチになっちゃうじゃないですか。愛美さんはとっても魅力的だと思いますけど、からかうのはまた別の機会に――――』
などと、上手い文章を作っているところに、
「ん待て」
――――がし。
背後からその手を押さえられた。
慎吾である。
「は? え、なに??」
どういうつもりかと目を丸くする孝之。
それを無視して慎吾は、無理やり携帯をひったくると、
『それっぽっちじゃなにも感じません。所詮は、ですよね?』
入力。からの~~送信。
「バッカ、お前なにやってんだよっ!!」
しかし慎吾は黙って眼鏡を光らせる。
「いや、キュピーンじゃねえよ!! なにしてくれてんの!? これじゃ俺がまったく――――」
そしてさっそく返信が。
『ほほう、言うねぇ(怒)』
の後にまた写真。
「ぶっはぁ~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!????」
今度はうつ伏せに寝転んだポーズ。
上半身を反らして胸を強調はもちろん、ズボンを緩めて形のいいお尻とパンティーをチラリと見せてくれている。
「な、な、な、だからナニやってんだよこの人は!??」
もう声に出して叫んでしまっている孝之に、先生はあきらめ顔。
他の生徒たちも『まぁ、この二人だから』と一段落つくまで見守ることにする。
孝之の手を払って慎吾はまたもや勝手に返事をする。
『まだまだ、それっぽっちじゃなんとも思いませんねぇ┓(´Д`)г=3』
に対して、
『じゃあこうしてやんよ!!』
送られてきた写真は――――膝まで下ろしたズボンに体育座り、組んだ腕と膝に頬を当て、潤んだ瞳。さらされたパンティは、肝心の股間の部分がギリギリ見えそうで見えていない。
「だが、それがいい!!」
眉毛を三倍に膨らませ慎吾が唸る。
しかしそれとは裏腹に、
『まるでダメ。やる気が感じられない(゚⊿゚)イラネ』
と送り返す。
次に送られてきたのは――――ズボンを脱ぎ捨て
「ちょちょちょっ!! ちょっとまて、これはもうシャレになってないから!!」
さすがに赤面し慌てる孝之だが、当然、慎吾は止まらない。
『貴様の実力はその程度なのですか
そしてまたまた送られてくる。
もはや下着だけになった
パンツ越しの股間も隠さず、仰向けに。はだけた胸は先っちょだけをブラで隠し、なぜかホイップクリームを指で舐めていた。
これにはさすがの慎吾もプルプル震え、小さくガッツポーズ。
すかさずデータを自分の携帯へ送信。保存したところで――――、
「あ~~~~……今日は10月1日だからぁ~~~~出席番号一番、え~~~~……葵慎吾、15ページから読んでください」
事務的に先生が慎吾を読み手に指名した。
「あ、はい」
優等生の悲しい
――――ゴトトン……。
なぜか一緒に机まで持ち上がってしまった。
下半身のナニカに引っかかってユラユラ揺れているスチール机。
それを見て石化する孝之と同級生女子たち。
一瞬の沈黙のあと――――。
「「「「ぎゃあぁぁあああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」」」」
真の変質者降臨に、教室は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます