第9話 初めてのダンジョン、死亡3と4回目
※9
疲れ知らずなX教官の長ーーーい午前授業を聞き流して、昼ご飯を食べた俺達は地下施設から外に出るとバカデカイ塔の前まで歩いて来た。
∞の塔はエインヘリアル以外も使えるが、普通の人は塔で死んでも復活できないが代わりに緊急脱出アイテムが用意されており、モンスターの急襲も無く(常に正々堂々)俺達のように罠に掛かることも無いらしい。
∞の塔へ挑戦するには事前登録が必要で、他の細かいルールは後で考えるとしてとにかく戦ってみたいよね?(俺は無能だけど……)
「イラッシャイマセアネラスサマ」
鋼鉄で造られた受付に量産型ロボットが立っている、その円柱型で丸い頭をしたロボットに褐色肌の美少女が話し掛けると知り合いらしい対応をし始めた。アネラスは戦闘訓練としてこの施設をたまに利用していたらしい。
「モウシオクレマシタガ、オメデトウゴザイマスアネラスサマ」
「どういう事?」
「アネラスサマハ、エインヘリアルノパートナーニナラレタノデスヨネ?」
「そうよって事は……」
緊急脱出アイテムが使えなくなる、手加減せずに攻撃される、即死罠にご注意ください1階からあちこちへ設置されておりますと。
俺の登録ナンバーはNO.W358-14913。(W〇〇は惑星番号、-〇〇は登録人数)
「ポチは初心者だし最初の1回は優しくしてくれてもいいじゃない」
「キソクナノデソレハデキマセン。ソレカラ……」
エインヘリアルが∞の塔へ登録すると初回特典が貰える。
受付からいったん離れたロボットが奥から持って来たのは、10万リム分の紙幣に幾つかのEP回復薬、ブロードソード1本、照明弾を撃つための銃に50口径のオートマ拳銃と100発の弾だった
「最初の時も貰ったけどこんなに貰っちゃっていいの?」
「エインヘリアルニハソレダケキタイサレテイルノデス。ドウゾオオサメクダサイ」
「じゃあ遠慮なく」
俺は武器や道具を使えないから金とEP回復薬を半分こして、残った銃とか剣は全てアネラスにあげてしまう。
「∞ノトウヘチョウセンスルナラ、ポチサマノトウロクガヒツヨウデス……」
そう言って量産型ロボットが差し出した数枚の書類には、俺の経歴がしっかり書き込まれており(プライシーー)、アネラスに捲って貰いつつ此れの確認が済んだら、朱肉に前足を付いてポンポンポンと書類と登録書に判を押していく。
「ムゲンノトウニハシヨウリョウガヒツヨウニナリマス」
使用料はエインヘリアル(俺)のLV×年間2万リム。初回特典として貰った金からこれを払った俺達は、他にもアイテムを幾つか買って∞の塔への挑戦を開始する。
よーーし頑張るぞおーーーーーポチっとな。(はぁ?)
「キャイーーーーン」
「ポチーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
塔に近付いてスキャナーに手を当てると鋼の大門がギーーーーっと左右に開いていって、少し奥へ進んだ俺は床からちょこっと頭を出している何かを踏んでしまう。
そしてドッカーーーーーーンと大爆発だ。
———なんですかこれ? 初心者には優しくしないと逃げちゃうぞ。
「だぁーーはっはっはっ……」
「笑ってはいけないと思うのですがクスクスクス」
「これが本当の……」
「「「ビギナーズラック!」」」
「ワンワン! ワンワワンワン! ワンワンワワンワ」(ウガァーーーーーーーー)
いきなり復活の間へ飛ばされて黄金の台に載せられた水晶玉へ、触れた俺は子犬の姿に戻ると神様達の石像へ吠えまくる。
「まぁこういう事もある」
「ゆかいつうかい」
「頑張って早く一人前になるのですよ」
(エインヘリアルニキュリョウハアリマセン、ヤッテラルカコンナシゴト)神を信じよーーー、信じる者は救われるのだーーーーーーーーーーー。
……4時間後。
アネラスは∞の塔の側で待っていてくれるから、俺はそこへ復活した。
「地雷や爆弾なんて殆ど防げるのに、なんでEシールドを使わないのよポチ。X教官が説明してくれたしちゃんと訓練もしたでしょ覚えてないの?」
『こう言うのは実際に試してみないと分からないものであり……』
「エインヘリアルじゃなかったらもうこの世に居ないわよ、痛い思いをしたくないなら真面目に勉強しなさいポチ」
『分かりました』(元泥棒に言われちゃったよ)
受付の横に置かれた簡素なベンチ、そこに腰掛けている少女は特に怒るでもなく子犬の俺を膝の上へと持ち上げながら注意して来た。若い猫耳娘に見つめられるとちょっぴり恥ずかしい中年の俺がいる。
「だいぶ時間が減ったけどもう一度行くわよポチ」(やれやれだ)
寮に門限は無いが明日の訓練があるので夜9時には帰りたい所、時間配分を考えながら今日は早めに切り上げようという話になった。《∞の塔は戦闘訓練施設らしく攻略した階層から始められたり、ボスと再戦したりとか色々な機能があるらしい。》
俺はレベルワン! なので1階から塔の攻略を始めるが、俺達が進むのは何の変哲もない土で作られた洞窟で、天井には光る苔がびっしりと生えていた。
出力の弱い蛍光灯程のぼんやりした明かりを頼りに俺達は進む。
「日が暮れちゃうでしょ早く来なさいポチ」
また爆発しては堪らないと周囲を警戒しつつゆっくり歩いたら、アネラスと離れそうになるので早く来るように言われる。
「此れはポチの首ね彼方はここで罠を踏んだのよ」
(まさか自分の死体を見られる日が来ようとは……)焦げた洞窟の内に爆発四散した子犬の体と生首が転がっている。吐き気を覚えながらそれから目を逸らして更に進むとモンスター達が現れた。
(もう少し手加減してくれーーーーー)
「スケルトン3匹にスライム3匹とか手頃な相手だわ。スライムは任せるわよポチ」
「ワンワンワン」
任せろって胸を張れない自分が情けないけど、俺は一応返事をしておく。
腰の両側から鋼のチンクエディアを抜いて、逆手持ちにしたアネラスは「ウィンドブレード!」とか言う魔法を発動させて構える。透明なので分かりにくいが短剣の回りに風が渦巻くと、武器の攻撃範囲はふつうの剣並みに広がって、アネラスは棍棒を持ったスケルトン達へ斬り掛かって行く。
スケルトン達は棍棒を持ってない左手を前に出すと、EPを消費しながら青白くて冷たそうなアイスボールSをそこから撃ってきた。
「こんなもの!」
掌に収まりそうな攻撃魔法を連続で放ってくる、スケルトン達に対して正面から切り込んだアネラスは、左右の武器を振って魔法を打ち消すと接近して斬り合いを始めた。
(若しかしてアネラスは当たりだったのか? 強いな彼女……)
勇猛果敢な猫耳少女に対して俺がしてる事。
トコトコと動きが遅いスライムに近づいたら、半透明でプルプルしてるそいつに(この前は良くもやってくれたな!)とゴーーーーっと火を吐くことだけ。
火力はガスバーナー位かな? ミニブレスを吐くとその時間に応じて俺のEPが少しずつ減って行き、60ポイント位を使った所で1体目が消滅した。(初めてモンスターを倒せたぞーーーーー)と俺は尻尾を振って大喜び。
さぁ2体目だって火を吐こうとしたら触手が伸びてくる。
ウネウネーってスライムから伸びてきた触手を、さっと飛び退いて躱す俺。カッコいいーーーとか自我自賛しつつ2体目に向けてズゴーーー、洞窟なら火事の心配は無いしどんどん吐いちゃってOKだ。
口の火傷が不安だったけどそこは問題なし、(早く消えろスライムーー)って景気よく火を吐いていたら「危ないポチ!」って警報が上がる。
2体目に集中して3体目を忘れていた俺は、いつの間にか後ろに回って来たスライムに捕まったのだ。ウネウネしたものが後ろ足に巻き付いてきて、(このやろーーー)って振り返った俺は火を吐こうとしたが、その前に体が宙へ浮き上がってしまう。
(力強いなこいつ!)踏ん張って抵抗するも楽々持ち上げられた俺は、振り回されて地面へビッターーーンって叩きつけられた。
「ギャン」って泣いた俺はそのまま左右へビターンビターン。(痛いよーー死んじゃうよーーー、調子に乗ってごめんなさいーーーーー)って、戦闘の怖さを教えられている俺は意識が遠のいて行った。
「Eシールドを使いなさいポチ!」
(使えって言うけどどこにどうやって? まぁいいか)
「ワンワン」(Eシールド!)
よく分からないがスライムがいる後ろ側に発動すると、透明な盾が現れて急にモンスターの攻撃が止まった。Eシールドが敵を押しのけたようで、俺は動きたいけど足に力が入らないから折れたかも知れないと思った。
(スライム程度に大ダメージとか、神様のアホーーーーー)
「中身はど素人なのねよく分かったわ」(悪いかよ)
アネラスが戦っているスケルトンは一体が頭を割られて撃破されている。2体目が振った凍っている棍棒を魔法剣で受け止めつつ、ネコ耳少女は冷めたと言うか諦め? とかそんな目で俺を見下ろして来た。
「立って動くのよポチ!」(無理です)
無理だがスライムは迫ってくる。ウネーウネーと伸びてきた触手をEPシールドで防ぎつつ、歯を食い縛る俺は動かせる3本の足でどうにか立つも、4本目の足を地面に突いたらズキーーーーーーーってきた。
(犬って泣けるのか?)分からんが涙が溢れて来て、EPシールドで3体目のスライムを防ぎながら2体目に向いてズゴーー。(よくもやってくれたなぁーー)と炎から逃げようとするこいつを、俺は痛い足を引きずりながら追い掛けて焼き尽くす。
(残りは一体だぞふふふのふ)
お前は特に念入りに焼いてやるーーって、3体目のスライムに近づいた俺はミニブレスを吐き出して、強弱を付けながら丁寧に焼き上げてやった。
「よく頑張ったわね偉い偉い」
モンスターを倒し終えたら地面にへたり込み、少女の手に頭を撫でて貰いながら俺はキューンキューンと甘えている。ピロパラビーーーって何かが頭で響くと、LVが上がりましたってシステムアナウンスが表示された。
「レベルに2になれたのね、怪我はどう?」
アネラスが折れている足に触ると俺は「ギャン」って鳴く。
「あっ御免なさいえーーとちょっと待ってね……」
獣医を呼んだり病院に駆け込みたい気分だが皆はどうしているんだろう? エアボードを起動してポチポチポチと……
立てないので床に伏せたまま治療方法について聞いてみる。
「普通は手術で繋いだり形を整えてから回復魔法を掛けるけど、エインヘリアルの治療方法はそれとは違うのよね」
(そう言えばX教官から何か聞いたな、さて何だったか?)
Sペンダントを触って開いた管理画面から、4次元倉庫を開いたアネラスはそこからあるアイテムを選択する。すると選択したアイテムが空から落ちてきて……
(あっ思い出したぞ!)
《人間は98.64%が物質で残りがエーテル、エルフや魔族は人よりも1割以上とか体のエーテルの量が多いので魔力も高い。エインヘリアルの体はキメラ技術で作られたモンスターの体で粗100%がエーテルで造られているそうだ。》
「私達の体はスライムみたいに再生するのよねえーーっと……」
アネラスが四次元倉庫から取り出すのは、深い青色をした身体によくなさそうな液体の入っている試験管【エインヘリアル用のEHポーション】だ。
「口を開けなさいポチ」
試験管の栓を抜いたアネラスは俺の口元へEHポーションの瓶を近付ける。それに応じた俺は口を開けて上を向くのだが、X教官の話だと此れは凄く不味いらしい。
「機械の俺には縁が無いが、始めて飲む奴はたいてい転げ回るそうだ」とX教官は言ってたけど大丈夫かな……。ンゴンゴとアネラスに注いて貰いながら俺は飲む、(以外と平気なんだが犬だからか?)って思うがそうではなかった。
——————‼‼‼
「ワンワンキャンキャン」と床を転げ回り始めた俺がいる。
(乱用防止のために態と不味く作ってあるらしいが、渋柿の汁+金属臭+雑草味とかどうやったらこんな不味いのが作れるんだよ!)しかも体が燃えるように熱い、魔力で無理やり体を治すと虫が身体を這い回るような感覚が、水をくれーー水ーーーーー! って慌てて立った俺は辺りを見回した。
「凄いわポチ効果てきめんね!」
なにが? って俺は立っていた。後ろ足は動くし体の痛みも消えている、さすが錬金術だなぁと感心してしまうがそれ所ではない。
ポチポチポチっとな『水をくれーーーーー』
「しょうがないわねもうっ」
Sペンダントを触って4次元倉庫から、塔の受付で買ったペットボトルを取り出したアネラスは、俺が口を上に向けて開けるとオレンジジュースを注いでくれる。
(おーー効く効く、気分スッキリだ)
「EHポーションってそんなに不味い物なの?」
床に置いた試験管を持ち上げつつ、顔を顰めながらそれに残っている液体を見つめたアネラスは、いちど深呼吸して覚悟を決めると口に当ててグッと飲んだ。
「ウグッ」
飲んで直ぐに顔が青くなるアネラスは続いて、「何よこれーーーーーーーー」って横を向くと地面に吐き出していく。
「こんな物を飲みながら戦うなんて過酷な仕事だわ」
「ワンワンワン」(同感だ)
「今日はもう帰ろうかポチ?」(うーん……)
視界の隅に表示された時刻は夕方の5時半過ぎようとしている。腹も減って来た事だし帰ってもいいのだが、美少女の小顔と上下で見つめ合いつつ、首を捻って考えた俺はエアボードでこう書き込んだ。
『もう1回敵と戦ったら帰ることにしよう』と。
「分かったわじゃぁ……」
———あの時に素直に帰れば良かったと後悔する午後7時、あそこで右に曲がっていればと……と悔やんでしまう午後7時なのである。
洞窟を進んで行くとですね宝箱があったんですよ、立派なのが。道が突き当りで左右に分かれてて左に置いてあった金縁の箱へ、(罠かも知れない)とか思いつつ近付いて行くとはいお約束、地面が割れてこうヒューーーーポテッて落されたんだ、
地下三階へ。(落しすぎだろ! 死ぬかと思った)
空中で俺を抱きかかえると風魔法で衝撃を和らげつつ、華麗に着地したアネラスは「こんな罠は初めてだわ」とか真剣な表情になる。
『HELPを見て何か分かるのか?』
「無限の塔はダンジョンじゃなくて訓練施設だから、大抵の事は書いてあるのよ」
アネラスの話を聞きながら俺も、Sペンダントを触ってHELPを読む。
(えーーっとなになに……)
「落下罠から進んだ奥には強敵がいて戦闘から逃げられないんだって」
(嫌な予感がする、こういう時の対策は覚えているぞ!)Sペンダントを触ったら☎ボタンを押して通話機能を立ち上げて、電話帳からX教官の顔を選べばいい。
【S・O・S。(助けてくれーーーーー)】
「Xキョウカンハ、タダイマメンテチュウデス。ゴヨウノカタハピーットイウ……」
此れもお約束だったりするのかな? メンテ中なら仕方ないよねと俺達は、機械音声の後に「ワンワンワンワン」(ピンチです助けて下さい)、「強敵と戦うことになって困っているの助けて下さい」と言うメッセージを残しておいた。
……で洞窟の隅に座って待たされること約1時間。
アネラスのライトボールで周囲を照らしつつ、俺達は深い闇を湛える天井(落ちてきた穴)を恨めしそうに見上げているのだが、待てど暮らせど一向に返信が来ないのでもう一度かけ直してみる事にした。
通信機能で呼びかけるとリンリンって音がして、暫くすると額に王冠マークの付いた量産型ロボットが立体映像として俺達の前に現れる。
「どうして連絡してくれないのよX教官。残したメッセージを聞いてないの?」
「メッセージダト? ……アアコレカ、ナニガアッタ」
かくかくしかじかと説明したら、X教官は特に慌てるでもなく「タスケニイッテモイイガメンドウダナ……」とか呟いて来た。
(面倒ってなんだよ困ってるのに)と不満はあるが、そこを抑えてお願いしてもX教官は助けに来てくれなくて代わりにアドバイスをくれる事になる。
映像を切って音声だけにしたらX教官と話しつつ洞窟の奥へと進んで行く。
「強敵と戦わずに帰りたいんだけど私たち」
「トウノソトヘデラレル、キカンアイテムハモッテイナイノカ?」
「一つ70万リムで、しかも使い切りのとか高くて買えないわよ」
エインヘリアルのパートナーになる前には、無償で使い放題だったアイテムも今はこの状態。帰りたい帰りたいと訴える俺達に、此れも訓練だのアネラスも一度死を経験した方がいいとか【Suparutan-X501】は冷たい態度で応じてくれる。
「塔の外に出たいなら自殺しろとか信じられるポチ?」
「ワタシニハジバクボタンガツイテイルゾ。ヒトヤドウブツナラ……」
安い青酸カリにトリカブト、眠るように死ねる【パタンQ】はエインヘリアル専用で効果も確かだからお勧めなんだと。アイテムが無い場合にはモンスターにやって貰うか罠を踏めばいいらしい。
「帰還アイテムを使わずにみんな死んでるわけ?」
「ソノトオリダ。イタクテクルシイカ、ソウデナイカノチガイガアルダケ。オクセズニタタカイツヅケルノダエインヘリアルタチヨ、テンジョウノカミガミハツネニオマエタチヲヤサシクミマモッテオラレルゾ」
天井を見上げつつ「ワンワンワン」と吠えてみた俺がいる。
「見てるだけで役に立たないんでしょ」
「ソウイウコトハイウモンジャナイ」
洞窟をテクテク歩いて行くと突き当りに大きな扉があり、人間的には普通サイズの扉を開けて中に入ると、石の積まれた壁と石畳が敷かれた部屋へと辿り着く。
「あれが強敵ってわけね」
「キョウテキヲタオスト、キカンヨウノマホウジンガアラワレルハズダ。モンスターハドンナシュルイナンダ?」
「黄金のスライムだけど楽勝そうね」
『お腹が空いた早く倒して寮に帰るぞアネラス』
「ナニヲイッテイルンダオマエタチ? スライムハシカクガナクテツカレナイ、ドラゴンヤオーガヨリヤッカイナアイテニナルンダゾ。シカモキンイロジャナイカ」
(なんですと! それでこそ神様だわーーーーん)
「ゴールデンスライムLV20、EP7800だってどうするポチ?」
「ギョクサイカクゴデトツゲキセヨ」
「X教官には聞いてないんだけど……」
半円状のスライムは人より大きくてキラキラと輝いている。ズリーズリーーと床を這い進む強敵を見ながら見ながら俺は、出来ることから始めようと思った。
アネラスから離れた俺は「ワンワンワン」、「またそれなの!」って怒る彼女を無視してマーキングシャワー。(どうせ食われるならせめて嫌がらせを……)と、考えた末の行動で俺達は奮闘するも彼奴に美味しく頂かれてしまうのである。
———それから色々ありました。
「ゴールデンスライムとの戦いは、悪夢だったわ……」
神様の元で復活して地下施設に帰って来たアネラスは、風呂にも入らずに部屋へ戻ると頭から布団を被って寝てしまう。
アネラスは良いが俺は無理、例の臭いを落すために体を洗って欲しいとX教官にお願いしたらある方法を教えてくれる。まず地下施設の自動販売機から入浴剤を買って部屋に戻ったら機械を操作して浴槽にお湯を張った。
風呂が沸いたら箱から取り出した入浴剤の塊を、包み紙ごと放り込んでブクブクと湧き上がる泡で体を洗っていく。それが終わって風呂の外に出たら全身をブルブル振ったりタオルに擦り付けたりし、備え付けのドライヤーも使って体を乾かした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます