七話 私と明日奈ちゃんの生活習慣
一限から始まる講義に向かっている私。
まぁ一限から行かなきゃいけないとしても、徒歩10分で着く距離だ。別に朝から満員電車に揉まれるサラリーマン達のような事にはならない。
午前9時半にいつも一限は開始なのだが、今住んでいるりアパートを9時過ぎに出ても全然余裕である。
しかも私が受ける一限の講義は、いつも満席になる程受講生がいる講義では無いのだ。
なんて楽なんだろう。改めてそう感じた。
音楽を聴きながら快適に大学へ通う。いつもの日課だ。
キャンパスなら足を踏み入れると、目の前にいた警備員の人に軽くお辞儀した。
この人達も朝からご苦労様です。本当に。
「ふぁ〜〜。あぁ、夜更かししたせいだ…」
昨日、いやもうその時は日を跨いでいるから今日の1時半までか。軽く夕食を済ませて入浴の後に、見逃したアニメを無料動画配信サイトで観た後、最近購入したBL漫画を読み更けてたせいで深夜1時半まで起きていた。
こんな生活、親が見ていたら恐らくお叱りが降ってくる。
幾ら一人暮らしになったからと言って不規則な生活にはなるべくしないようにしろ!と家族から家を出る前にしつこく言われたのを思い出した。
それから悪い友達と絡むなとか、お金の管理はちゃんとしろとか、単位は取れるだけ取っておけとか。
私はその時家族のそういった注意を軽く流していたなぁ。
そのせいか不規則な生活、単位はギリギリっぽい、悪い友達とは絡んでいないが、まぁ自分の趣味に金を費やしすぎてピンチな事があったりしている。
だからアルバイトは出来るだけ入れる時に入っているのだ。
「なんかお腹空いたなぁ。パンだけじゃやっぱお腹空くなぁ。なんか買ってこよっか」
時間はまだある。
先に教室に入る前に、キャンパス内のコンビニで軽食でも買う事にした。
コンビニの朝なんて殆ど客がいない状態である。だからたまに来る時に私とレジ店員との気まずい時間が流れるのが殆どである。
と、今日もそんな感じだろうとコンビニに入ると
『あっ…こんな所にも』
レジでもうお会計を済ませレジを離れる彼女は、今日も朝の怠さなど一切思わせない姿でコンビニを出る。
「あっ、あみじゃん!」
「おはよう!もしかして一限あるの?」
「そう。そういうあみも?」
「私もだよ。それ朝ご飯?」
「朝ごはんじゃないけど、軽いプロテイン買ったんだ」
周りが朝からやってきては眠たい表情でやってきている中、明日奈ちゃんは一人シャキッとした真面目な人間であった。そしてジュースコーナーに販売してあるプロテインを買っていた。
しかし何故プロテインなんだ?
「プロテインって、なんで?」
「朝スポーツジム通ってるから」
ス、スポーツジム!?初耳だった。
「嘘!?スポーツジム通っていたの?いつから?」
「大学入ってからだよ。アタシほぼ通学前に通ってて、今日プロテイン作るの忘れたから買ってきた。ただそれだけの為に今日ちょっと早めに来た」
「スポーツ……カッコいい」
そうか、彼女そんな日課だったのか。私みたいに、アニメ・漫画で夜更かしやら他の友達と夜遅くまでカラオケ行ったりやらで遊んでたりしてないのか。
規則正しいくて何よりだ!って何様だ?私。
「あみも一限あるんでしょ?頑張って」
「う、うん。ありがとう。じゃあ」
そしてお互いに別れの挨拶を交わした後、別方向に向かう。
『運動とか苦手な私には無縁だなぁ。スポーツジムなんて』
自分の生活を振り返り呆れてしまう。
そんな堕落した自分を振り返りながらもコンビニへ寄った。
結局私は、いつものように適当に菓子パンを手に取るのだった。
そしてジュースコーナーにある、恐らく彼女がさっき購入したであろう、ミニパックのプロテインが視界に入った。だが、手には一切取らずにレジに向かうのだった。
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