六話 明日奈ちゃんの住んでいる所
偶然にもスーパーの出入り口で出会った私達。
軽くお互いに手を振る。
彼女の右腕はプラスチック製の白の買い物袋が掛かってあった。
しかし中身は何も入っていなさそう。
「明日奈ちゃん、今から買い物?」
「そう。あみも?」
「うん。夕飯の材料だけ買いに来た」
「夕飯?え?もしかしてあみ、一人暮らししてんの?」
「そうだよ。すぐ近くの学生アパートなんだかど」
「あの安い所かぁ、アタシの所より近くていいなぁ」
「明日奈ちゃんの家ってこの辺なの?」
「この辺というか、バスで通わないと駄目な所なんだけど…」
お互いの住んでいる所の話でもしながら店内に入る事になった。
買い物籠をお互い手に取ると、店内で流れるお惣菜コーナーの商品宣伝のラジオが聞こえてきた。
「え!?明日奈ちゃんも一人暮らしなんだ。しかも私より住んでる所いいとこじゃん!」
「でも寮費とか馬鹿みたいに高いし、スーパーとか遠いよ。だからここで買い物して帰ってるんだよ。コンビニとかも全然無いし」
明日奈ちゃんの住んでる所はどうやら科学センターと呼ばれる一つの団地があるのだが、そこの学生寮を借りて住んでいるという。しかももう一つ驚いた話が、彼女は高校から一人暮らしをしていたという。
「なんで高校からなの?」
「高校がね、アタシ工業高校出身だったの。その時、県内を離れなきゃ行けなくてさ。そこで今通ってる大学の近くに、そういう県を離れてうちの高校に来る人達が住むアパートがあったんだ。そこが今住んでら所の近くな訳。それで大学も近いからまた科学センターのアパートで、しかも大学生用もあるって聞いて今住まわせてもらってる」
また驚きの事実が判明した。工業高校出身!?しかも県外から来た事。
明日奈ちゃんはまだまだ聞けば、驚きの事実を判明できるかもしれないと確信した。
「それで、あみは今日何作る予定なの?」
「あー。何作ろうかな?手軽なものしか作れないから」
店内を見回って商品を見ても、今買わなきゃ行けないものがたくさんあるわけでは無い。
明日奈ちゃんと会話をしながら取り敢えずついて行ってるだけだった。
「明日奈ちゃんは何作るの?」
「適当にカレーかな?」
「あっ、カレーもいいなぁ!私もそうしよっかな!」
そして今日の夕飯はカレーにする事にした。
お互いお会計を済ませに行く。
私より明日奈ちゃんの方が購入品が多そうだった。
そしてお会計は電子決済である。本当に便利そうで、スマートに会計を済ませた姿が様になる。
そしてお互い商品を買い物袋に入れていく。
「へぇ。じゃあ科学センターの事は割と詳しいんだね」
「まぁね。でもやっぱ、あみの住んでるアパートの方がなんだかんだいいと思うよ」
「そう?私科学センターとか行く機会あんまり無いから、もしなんかの機会に教えてよ」
「いいよ!じゃあ!」
私達はお互いの帰り道に向かって歩いて行く。
科学センターかぁ。聞いた事あって、私の知らない施設が沢山並んでる所で、専門学生くらいじゃ無いと行かない所。私にとって未知の場所だ。
なんだか少し興味が湧いた。今度何かの機会に色々教えて貰おうっと。
また今日も明日奈ちゃんの魅力を一つ知れたいい機会だった。
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