第1話 鎧の国―③

 早朝。

 まず、身をお清め。太陽が沈む方を向いて一時間ほど祈りを捧げる。

 これが私の朝の日課である。

 

 「今日はどうします?」


 下僕の問に私は瞳を閉じつつ答える。


 「・・・この国を出ます」

 

 「分かりました」

 

 * * * *

 朝の日課を終えて、泊めてもらっている部屋を出ると朝食が用意されていた。


 「あ、どうぞ。朝ご飯です。ぜひ、食べて下さい」


 「どうも、ありがとうございます」

 

 朝だと言うのにしっかりと兵士は鎧を装備している。


 「聖女様。今日はどうなさるんですか?まだこの国に滞在すると言うなら、このままここに泊まり続けても問題ありません」


 「嬉しいお言葉ありがとうございます。ですが、今日この国を出る予定ですので大丈夫です」


 「そうですか。・・・あ、ちょっとまって下さいね」


 そう言って兵士が家の扉を開けると、外にも鎧を着た兵士が数人やってきていた。


 「聖女様。私の後ろに」

 

 「あ、警戒しないで下さい。この者達は届け物を箱でくれただけです」

 

 二つの木箱を部屋に運び込むと兵士たちは一礼して帰っていった。


 「これは我が国に来ていただけだ二人へささやかな贈り物です」


 木箱を開けるとそこには鎧が二着用意されていた。

 

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