第四章第始話
今日は懐定神社でサボるつもりだ。
時刻は八時半。
チャイムが鳴って席について無い状態は遅刻扱いになる時間。
俺は家にいた。
プルルル。
『はい。もしもし?』
「あっ頼です」
『おっ。どうした?お前が遅刻なんて珍しいじゃないか』
一応この口調でも女の先生だ。
「サボリ…じゃなくて欠席したいんですけど」
『お前清々しいな。仮病らしき声はしないし堂々とサボリと言うし』
「先生の聞き間違えじゃないですか?」
『いや、はっきりと聞いた。まぁ、いい。お前の好きなようにしろ』
「ありがとうございます」
よし、サボるか。だが、サボるからと言ってずっと家の中にいる訳じゃない。
「さてと、行くか」
俺は懐定神社に行く。
俺が一番落ち着く場所はここだし、何か悩んだ時はいつもここに行く。
「でも、さすがにいないか」
この場所に行く一番の理由。それは、懐に会いたいからだ。
「ま、待ってれば来るでしょ」
〜10分後〜
「やべぇ!暇だ!」
1分経つのがこんなに遅いなんて。神社を歩き回るか、ゲームするか。家には先生がいるかもしれないから行かない。
神社の裏に行く。
「あれ?こんなとこに看板なんてあったけ?」
暗くてわからなかったが、大きめの看板が置いてあった。
「『懐定神社のご利益』これ大切なやつじやねぇか」
暇つぶしに移動させるか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁ疲れた」
あれから約十分後。俺は人に見られるような所に移動させた。
「そういえばちゃんと見て無かったな」
懐定神社は俺が産まれた時に作られたようなものだから気になる。
『懐と言う神様が運命を定める。これから懐定神社と言う神社が出来たのである』
「ぷっ」
読んでちょと吹いた。懐と同じ漢字だし読み方だったから笑った。
「頼君?」
そこには懐がいた。なんでここに懐がいるのか考えていると、
「その看板…。なんで…」
「あぁ。これ?神社の裏にあったから移動させたんだ。このデカさを一人でだぞ。凄いだろ。それにコレ見てみろよ。お前と同じ名前書いてあるぞ。知ってたか?」
だが懐は否定も肯定もしてくれない。
「どうした?てかなんで懐ここにいるんだ?学校じゃないのか?」
「それが見つかったならもういいや」
何言ってるんだ?
『私の事は忘れて』
記憶が無くなる。と頭でわかってしまった。
だけど、
「お前は…」
その一言でそいつは悲しそうな顔をする。
「私の名前は…」
「懐」
「えっ?」
懐は驚いた。
「ちゃんと俺は覚えてる。だから忘れさせようとするな」
「なんで?」
「お前が好きだからかもな」
「えっ?」
その言葉はいまの雰囲気に合わないと分かってる。でも伝えたい。
「私の事を…?頼君が…?」
「そうだ」
俺は初めて懐に会った日、
懐は女神様みたいに可愛くて、
眩しかったから俺は、
神様に恋した
そう思ったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます