第二章第終話

気が付いたら、俺は病院のベットの上にいた。どうなったのかもわからず。

モヤシが自殺したかも。

と思って俺は本当に心配した。

でも、一週間もしないうちにモヤシが来た。

「俺あれからどうなったんだ?気が付いたら手の、傷は無いし、本当にどうなったんだ?」

「それが…わかんないんだ」

「えっ?」

「記憶が無いんだ」

「無い?」

モヤシは頷いた。

「でも、本当にごめん」

「いや、いいんだよ」

しばらく、無言の時間が続いた後、ドアが開いた。

「懐!」

「頼君調子はどう?いい感じ?」

「あれ、あなたは…」

「何だ?モヤシ知ってんのか?」

「『いや、私たちは初めて会ったよ。』」

「そうなのか?」

「う、うん。見間違いだったみたい」

「そうか」

「じゃあ僕は帰るよ」

そして、モヤシは俺の耳に口を近ずけ、言った。「僕がいると、彼女さんとイチャつけないでしょ」「バっ…!俺と懐はそんなんじゃねぇし!」「後から色々聞くから」

「ちょ、モヤシ!」行ってしまった…。

「あの子何か言ってたの?」

「いや…」

「ふぅーん…。で傷は大丈夫?」

「うん。てか懐誰から俺の事聞いたのか?」

「先生に聞いたの」

「あれっ?懐俺が通ってる学校だっけ?」

「…」

「あっなんかごめんなさい」

どうやらお怒りみたいだ。

「ハァ。せっかく来たのに台無しだよ。心配して損した」

「お前…。俺の事心配してくれたのか?」「当たり前でしょ。だって…」

懐が俺の事心配してくれたのか…。嬉しいな。

「頼君弱いし、」

グサッ!

「すぐ死にそうだし、」

グサッ!

「目を離すとすぐそんな事するから」

グサッ!

「お前、なぜそんな精神攻撃ばっかすんの?」

「うるさい。もう危ない事しないで」

「あぁ。わかった」

「本当に?」

「本当に」

「そう言ってまた、誰かのために傷付くんでしょ」

「…」

何も、返せない。答えが決まって無いわけじゃない。

ただ、コイツの前だけでは、カッコつけたい。

「頼君。誰かのために行動する事はいいんだけど、それで、自分まで、傷付いちゃたら意味ないでしょ」

「-じゃあ、アイツが死ぬのを黙って見てろって?」

懐は黙った。

「アイツがいじめられてるのを見て見ぬふりしろって?」

「…」

「俺は嫌だ。俺は助けたい。傷付いてる人を。例え、俺が傷付いても、死んでも」

病室が静かになって、何も言葉が生まれない。

懐が口を開いて言った。

「私はただ頼君に傷付いて欲しくないから言ってるの」

そう言った懐は泣いていた。

「-ごめん」

俺が謝ると、懐すぐ出ていった。

「もう1回謝らなきゃ」

「おはようございます」

「…空気読めないの?」

「すみません。まさか二重攻撃とは」

「えっ?」

「さっき開けようとして女の子が出てきて、『空気読んでよ』って言ってました」

「…。」

どうやら、大丈夫そうだ。

この看護師以外。

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