第二章第五話

「お、おい…」

「こっちに来るなって言ってるでしょ!」

包丁をこっちに向けて叫ぶ。

「やめろ!死んでもいい事ないぞ!」

「なんで止めるんだよ!死にたいんだよ!生きてもいい事なんか無いんだよ!」

「でも!生きてくれよ!」

「止めないでくれ!」

木枝が自分に包丁を突き出した。

死ぬ。

そう思った。

でも、その包丁は俺の手で止められた。

でも力が強く、抑えきれなない。

だから、俺は手で包丁を受け止めれるよう、木枝の体の方に、手をやった。

そして、俺の包丁を抑える力は、なくなり、俺の手に刺さる。

「ぐぁ!」

声にならない、叫び声を上げ、

手に感覚が無くなっていくのを感じる。

この感覚からして、手首に刺さったな。

「何やってるの!?」

やべぇ死にそう。

「い、きろ!こん、なことやっ、たって、らいせが、いい、ってこと、ないんだ、ぞ!」

「うるさい!なんで!自分の事気にしないで相手の事ばかり思うの!」

「だって…あっ、や、べ死ぬ」

頭がクラクラして今にも気を失いそうだ。

「何で!?僕をここまでして助けようとするの!?」「そ、れは…!俺が!そうしたい、と思っ、たからだ!」

「こんなバカみたいな事を!?」

「ああ!た、だの自己、満足だ、よ!」

「頼君血が!ねぇ!目を!開けてよ!」

どんどん眠くなってく。そして、俺は意のままに眠った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小枝モヤシの視点

「ねぇ!頼君!死なないで!」

でも、返事は帰って来ない。

「うっ…誰か…誰か!助けて!」

「わかった。助けてあげる」

「!?」

そこに立ってたのは僕らと同年代の女の子だった。

「誰…?」

「まずそっちの方が先」

「!は、はい!」

そう言って彼女が、彼の手に自分の手を当てる。『彼を助けよ』

そう言った瞬間彼の手の、傷は治った。いや、


「えっ?」

「これでよし。あっ、君」

「は、はい」

「『私の事は喋らない事』」

その、一言が重かった。空気を威圧した。

「『手をどうやって治したか忘れる事』そして、

『彼を大切にする事』」

僕の意識はそこで途絶えた。

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