第一章 これまで

俺はこの神社に初めて来たのは、中学の受験の時だった。

「はぁ、さみぃ」

まだ2月で雪も降り、温度もマイナスを超えることの無い真冬だった。

俺は神社に行き、五円を入れる。手を叩く。願う。それも強く。

「君も受験?」

すると、知らない女の子が話しかけてきた。

「あっうん」

俺はこれから受験だというのに弱気だ。

「奇遇だね。私もなんだ」

「そうなんだ」

「ねぇ、知ってる?この神社私達と同い年なんだ」「?」

「つまり創立十五年ていう事」

その話を聞くと何故か今まであった緊張が解けて、冬の気温なんてどうでもいいぐらい心が暖かくなった

「面白いこと言うんだな」

「ありがとう」

「なんかもう受験なんてどうでもよく思えてきた」

「それはさすがにダメだよぉ」

なんて言ってる。

「あっ。そろそろ時間だ。じゃあな」

「うん」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ウ゛ッ、ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」不合格確定。

「何してんの?」

「うわ!」

見ると朝の女の子だった。

「受験落ちた」

「まだ結果出てないじゃん!わかんないよ」

「いや、あんな問題出すやつがバカだ。俺のせいでは」「何言ってるの?」

「すみません。」

俺の苦手な所しかなかった。何?いじめ?いじめなの?

「はぁ〜。しょうがない」

「ん?なんて?」

「何でも」

合格発表当日。

「ある…」

俺は神社にすぐさま行き、土下座して、言った。

「ありがとうございました!!」

「何してるの?」

聞き覚えのある声が聞こえた。

「神様に感謝してんだよ」

「えっ?ありがとう」「はっ?」

頭を上げると、いつものあいつが。

「お前に言ってねぇよぉぉぉぉ!!!」

それで今に至る。

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