俺と暗黒騎士とまどかさん
やまだ ごんた
俺と暗黒騎士とまどかさん
いつからかわからないけど、毎日すれ違う人がいる。
毎日同じ時間、同じ場所で。
彼女は西に、俺は東に。
地下鉄の駅から出て歩き始める時間くらいに、必ずすれ違う。
意識し始めたのは半年前。
あのお姉さん、昨日もすれ違ったなって程度の認識だった。
ほとんど毎日見かけるから、顔も覚える。歳は俺と同じくらいか、もう少し下か。化粧っ気はないけど化粧なんてしなくていいんじゃないかって感じだ。
昨日とは違う上着だな。髪型変えたんだな。今日はとても嬉しそうだ――
そんな日々の変化を、俺はいつの間にか楽しみにしていた。
皆がスマホを見ながら歩いている中、彼女はカジュアル目な格好で前を見て颯爽と歩いている。
もちろん、時々見かけない事もある。場所がずれる事もある。
でも、基本的には毎日同じだった。
「おい、高坂。打ち合わせに行くぞ」
先輩の佐藤さんに声をかけられて時計を見ると、時間は13時40分になっていた。
割と大きい地方都市にあるうちの会社は、オフィス街の中心部にある。
ECサイト向けの管理アプリや、サイトの構築システムを販売している会社で、仕事はほどほどに忙しく、給料もそこそこで満足している。
「ちょっと待ってください」
資料をカバンに詰めて、壁に立てかけてあった松葉杖をひっつかんで佐藤さんを追いかける。
ひと月前に、駅の階段から転がり落ちて、足を骨折してしまった。
幸い固定だけで済んだのだけど、営業はできないからと社内のインフラ管理に回された。
と、言っても俺は素人だ。システムの事なんてわからない。
営業で説明するために、そこそこの知識はある。でも理解なんてできるはずがない。
だから、技術的な説明は佐藤さんが、契約とか運用面での話は俺がする事になっている。
幸い、今日は俺が怪我をする前に受注した案件で、顧客のECサイトのサーバの運用開始に向けた保守をベンダーに委託する話をする。
「大丈夫か?タクシー乗るか?」
業者さんは俺の会社から駅を挟んで反対側にある。
歩いて大体15分。
松葉杖だと確かに厳しい時間か。
お言葉に甘えてタクシーを使わせてもらった。
季節は冬に変わる頃。寒さが骨に響くんだよ。助かる。
オフィス街の外れにあるって言うのに、やたら背の高いビルのエントランスにある打合せブースで待つ事10分。
「お待たせしました」
と言って現れたのは、大都会のコーヒーショップでマックブックを立ち上げてそうなタイプの男と――いつもすれ違う彼女だった。
「――です」
「御社を担当させていただきます柏木です。よろしくお願いします」
男の挨拶は聞こえなかった。聞いていなかったともいう。
頂いた名刺をもらうと、柏木まどかと書かれていた。まどかさんって言うのか。
営業担当者かと思ったら名刺にはインフラサービス課って書いてある。エンジニアなんだな。意外とか言っちゃダメなんだよな。男女平等だ。うん。
サラサラの長い髪をひとまとめにして、白いシャツにえんじ色のカーディガンがよく似合っている。
大人しそうだけど、意志の強さが垣間見える目。ほぼノーメイクなんじゃないかと思うけど、眉なんかはちゃんと整えているし肌も綺麗だ。
なんて言うか、オーガニックな感じだな。
左手……はおろか、全部の指にも指輪はしていない。独身――かな?飾り気がないだけなのかもしれない。
「――保守契約につきましては――」
彼女が僕を見た。道ですれ違う時には僕の事なんて映さない瞳が僕を捉えている。
「保守対象機器につきましてはこちらで、基本的には24時間監視となっています。故障時は30分の駆けつけ対応となります。よろしいでしょうか」
「はい。事前にいただいていた資料と相違ありませんね」
「では契約書は高坂様宛に送らせていただけばよろしいでしょうか」
「お願いします。――あの、僕も不勉強なところがありますので、色々とメールなどで質問する事があると思いますが、よろしいですか」
「もちろんです。些細な事でも結構ですので、なんでも聞いてください」
事務的な笑顔だと思ったのは、通勤途中に嬉しそうに微笑んでいた彼女の顔を見たからだろう。
貰った名刺は2枚。
進藤新太と柏木まどか。
進藤は課長と書いてるから、まどかさんの上司になるのか。
とりあえず会話してたらめっちゃカタカナ言いそうなタイプだとしか覚えていない。
俺は帰社してすぐに、アドレス帳に登録すべくPCを立ち上げた。
メールソフトを開くと、未読メールの3通目に『柏木まどか』の名前を見て、わが目を疑った。
『高坂様
本日は弊社までご足労いただきましてありがとうございました。
契約書の原案を添付ファイルで送付いたしますので、ご確認をお願いいたします。
―――
寒い日が続きますので、お足元を冷やさないようご注意なさってください。
一日も早いご回復をお祈りいたします』
なんて心のこもったメールなんだろう。
その日は一日幸せな気持ちで仕事をした。
惜しむらくは、怪我が治ったら営業に戻されるから、まどかさんとの接点が無くなるという事だろうか。
「和真――お願い。手伝って――」
自宅に帰ると姉ちゃんが死にそうな顔で玄関まで走ってきた。
俺はまだ靴も脱いでないんだぞ。
「年末のイベント当たっちゃったのよ。どうしよう……当たると思ってなかったから新刊用意してない」
姉はオタクだ。それもゴリゴリの。
パートとは言え仕事もしているけど、同人活動で稼ぐ方が多いんじゃないかってくらいには人気があるらしい。
ちなみに既婚者だ。旦那はうちから歩いて5分のマンションにいる。いや、こいつの家もそこなんだが、家では作業ができないとかで、結婚前に使っていた部屋を趣味兼作業部屋として未だに使っている。
いいのか、両親よ。ちゃんと家賃払ってるとかそう言うんじゃなくて。
「既刊でいいんじゃね。こないだのオンリーで出したやつも在庫あっただろ」
このやり取りは、俺が中学の頃からイベントのたびに繰り返されている。慣れたもんだ。
「あれ委託で完売しちゃった」
マジかよ。あんたもうプロになれよ。実際、何回か商業誌からオファーがあったらしいけど、断っている。
理由は簡単だ。
「プロになったら二次創作に費やす時間が無くなる」
バカなのかな。俺の姉ちゃん。
「お願い。エグゼオアストーリーと今期やってたジュピターの涙の二冊!合計65ページ」
「多すぎだろ。バカか」
11月初旬だぞ。入稿が今月終盤でギリギリ12月最終辺りでの刷り上がりだろ。
原稿やる時間実質2週間だろうが。
「大丈夫!ネットに上げてたネタを修正したら45ページは稼げるから!それに、いつもの印刷所さんが12月1週の土曜まで待ってくれるってぇ!だからお願い!」
お得意様ってのはこれだから――。
「和真くん、足を開いて四つん這いでお尻こっち向けて」
都合のいい時だけ和真くんなんて呼ぶな。クソ姉貴が。
「あんたいくつになったよ」
「あんた自分の年齢も忘れたわけ?あんたの年齢に3つ足したら私の年齢よ。早く足開きなさい」
29歳って年齢を自覚しろよババアめ。本当に殴り倒したいと思いながら、俺はリクエスト通りのポーズを取る。
姉が描いているのは人気ゲームの二次創作だ。ファンタジーの世界で暗黒騎士に陥った登場人物と、女主人公を影から見守るドラゴンスレイヤーがくんずほぐれずする、いわゆるBLだ。
つまり俺が今取らされているポーズは……そういうシーンだって事になる。もちろん服は着ている。
「いやー本当助かるわ。あんた無駄に体のバランスいいから」
姉の言う通り、俺は身長は178cmある。ずっとフットサルをやってたから体だって締まってる。ありがたい事に足も長いらしい。
姉曰く、俺はゲームの暗黒騎士にそっくりなんだそうだ。顔もスタイルも。ドラゴンスレイヤーはもう少しガチムチらしい。知らんがな。
「それに、ジュピターの涙のディランくんにも体つきはそっくりなのよ。顔はあっちの方が百倍可愛いけど」
ジュピターの涙は今期爆発的な人気を博したロボットアニメだ。ロボットに乗って戦うストーリーなんだけど、ディラン君とやらは俺様ツンデレ御曹司で、視聴者の人気が高い。それ以外にも、ショタ枠にファル、イケメン枠にミカエルってのがいて、姉曰くディランくんは固定カップルはなく総受けなんだそうだ。
総受けの意味が分からない人は検索してみて欲しい。ただしあくまで自己責任で。
結局その日は3時間もあらゆるポーズを取らされた。
朝。少し寝不足ではあるが、修羅場はまだ先だ。
遅筆の姉の事だ。12月1週は下手したら2日程有休をとらされる可能性がある。
それだけは避けねばならない。
ちくしょう、身内がオタクだとろくな事がない。
なんたって義兄はあんな女を嫁にしたんだ。確かに俺に似て顔はいいけど顔だけだ。
頭の中は四六時中BLの事しか考えていないし、お布施とか言ってわけのわからないグッズやらを買ってきては眺めてニヤニヤしているし、原稿だって自分で締切決めてるクセに守らないだらしなさだ。しかもイベント前は実家に帰りっぱなしだから家事もしてないんじゃないのか?
おまけに実の弟をモデルにするとか――俺は絶対に嫌だね。
俺は地下鉄の階段を上がりきると、いつも通り出口を右に曲がって歩き出した。
しかし、まどかさんの姿が見えない。
時々、時間通りに来ない日もあるから、今日がその日なのかもしれない。そういう時は、もう少し進んだところですれ違ったりする。
歩き進めると、案の定まどかさんの姿が見えてきた。
「お――おは――」
声をかけようとしたけど、まどかさんは眉間に皺を寄せて、真剣な表情で俯き加減で何かを呟きながら俺の横を通り過ぎた。
まあ、また明日もあるさ。
だけど、次の日もその次の日もまどかさんと挨拶はできなかった。
見かけるたびに、とても難しい顔をして、考え事をしているようだったから、邪魔しちゃいけないのかなと思ったんだよ。
そうしているうちに、2週間が経って11月も最終週になっていた。
足のギプスも取れて、ぎこちないながらも松葉杖なしで歩けるようになっていた。
本当なら営業に戻されるところだったけど、佐藤さんがこのままシステム担当に置いていて欲しいって社長に直談判してくれたそうで、俺は引き続きシステム担当でいる事になった。
つまり、まだまどかさんと仕事ができるという事だ。ありがとう佐藤さん。
姉ちゃんの原稿もいよいよ追い込みで、それに比例して俺も手伝わされていて疲れも寝不足も溜まっていた。真っすぐ家に帰るのは気乗りしなかったので、適当に理由を付けて遅くなる連絡を入れて駅のすぐそばにあるコーヒーショップに入った。
店内は相変わらず、マックブックを開いてコーヒーを飲む意識高い系男女で溢れていたけど、窓際に並んだカウンター状の一人席に、見慣れた姿を見つけた。
まどかさんだ。
タブレットPCで何かをしているように見える。持ち帰った仕事だろうか。
偶々まどかさんの左側の女性が席を立ったので、俺はすかさずその席に座った。
まどかさんは気が付いていない。
PCの画面を覗き見る趣味はない。作業が終わったら声をかけるつもりで、俺もスマホを取り出してゆっくりとコーヒーを啜りだした。
10分くらいした頃だろうか。コーヒーを半分も飲んでいないくらいの時間だ。
「終わったー」
と、小さな声でまどかさんが言った。
安堵したのかため息をついて、タブレットPCを足元のカバンに仕舞おうとして、俺の右側にぶつかった。
「すみませ――あ」
やっと僕の存在に気が付いたのか、まどかさんが驚いている。
「お疲れ様です。いつ声をおかけしようと迷ってたんですが」
僕は偶然見かけて、隣しか空いていなかったからここに座っただけで、決して狙ったわけじゃない事を説明した。
「偶然――ですね」
まどかさんはサラサラの髪の毛を揺らしながら、微笑んでくれた。
「お仕事ですか?」
手に持っているタブレットPCを指さすと、まどかさんは少し顔を赤くしてから、慌ててカバンの中にPCをしまい込んだ。
「個人的な用事――のようなものです。自宅のネットが調子悪かったので、ここで作業をしてたんです」
「そうなんですね。お家はお近くなんですか?」
「ええ。三駅以内だと会社から家賃補助がでるので、うちの社員はこの辺に住んでる人、多いんですよ」
なるほど。だからいつも歩いてきてたんだな。
「柏木さん、この後ご予定は?」
「え?」
「せっかくですし、もう少しお話しませんか?近くに美味しい店沢山ありますし」
「すみません。お誘いいただいて嬉しいんですが、今日はこの後行くところがありまして」
申し訳なさそうにしているけど、本当に用事があるのか、警戒しているのかはわからないな。
「いえいえ。俺もいきなりでしたし。またお誘いしていいですか?」
「あ、はい。でもしばらく忙しくて、またお断りする事になるかもしれません」
「なるほど。じゃあ、お嫌でなければ、連絡先の交換をしていただいてもいいですか?連絡先が嫌ならSNSでも」
俺が携帯を取り出すと、まどかさんは少し悩んでから携帯を取り出して、連絡先を教えてくれた。
それだけで満足だ。
次の朝、地下鉄の出口から出ると、いつもの時間にいつもの場所でまどかさんとすれ違ったけど、俺は敢えて声をかけなかった。
その代わり、スマホを取り出すと昨日聞いたばかりの彼女のメッセージアプリのアカウントにメッセージを送った。
『おはようございます。さっき柏木さんとすれ違いましたよ。僕に気付いてませんでしたね』
送信すると、すぐに返事がきた。
『本当ですか?私無視しちゃいました?すみません』
かわいい。
あまりしつこくしてもいけないので、スタンプだけ送って会話を終了した。
その甲斐があったのか、次の日のまどかさんは周囲にきょろきょろと視線を回していた。
「柏木さん。おはようございます」
「高坂さん……」
おはようございますと、まどかさんも挨拶を返してくれた。
その日以来、僕達は毎朝目礼を交わすようになった。
俺だけが彼女を見ていたのが、彼女も俺を認識してくれるようになったんだ。
しかし、人生というのは無常なもので、俺の予想通りクソ姉貴の奴の原稿は遅々として進まなかった。
おかげで俺はまどかさんを誘う時間もなく、仕事が終わればダッシュで家に帰るという日が続いた。
姉は5年前から完全デジタルに移行した。
だから、部屋は綺麗なもんだ。昔は絵具やらトーンやらが散乱して、転がったデザインナイフの刃や丸ペンが俺の足裏を攻撃してきたものだ。
「次このページのベタとトーンの処理お願い。あとこっちのレイヤー処理しといて」
姉に言われるがまま、下部レイヤーに書かれた指示通り処理をしていく。
中学からベタだトーンだ効果線だとやらされてたんだ。デジタルになってもお手の物だ。
って、26の男が何やってんだよ情けない。
でも俺は何故か姉に逆らえない。俺が見捨てるとこいつの味方いないんだよな――って、旦那はどうした。
「旦那はさあ、素人すぎてソフトの使い方から教えないといけないのよ。それだったらあんたを使う方がいいでしょ。イベント終わったらお小遣い上げるから」
「旦那もお前の趣味容認してんだから、暇なときに教えて手伝わせりゃいいじゃん」
「駄目よ。敏明さんは仕事もしてるんだし」
俺も仕事してるんだがな。
本当こいつクソだわ。
12月最初の水曜日。
努力の甲斐あって、やっと土曜には入稿できるんじゃないかってところまで持って行けたのは奇跡だと思っている。
それでも俺が仕事している間にあのクソがちゃんとノルマをこなしていたらだがな。
地下鉄の駅を出て右に曲がると、そんな荒んだ心は嘘のように浄化された。
まどかさんが笑顔で挨拶してくれたからだ。
だめだ。俺まどかさんの事好きだわ。
告ろう。
「柏木さん」
俺は足を止めて、通り過ぎたばかりのまどかさんの背中に声をかけた。
「はい」
すぐにまどかさんは振り返ってくれた。
俺達の距離は5歩ほど。
俺と付き合ってくださいって言おうとして、今日はまどかさんの会社と打ち合わせをする予定があった事を思い出した。
あかん。ここで告ってフラれたら、この後辛すぎる。
「あ、いえ。今日は御社にお伺いする予定なので、よろしくお願いしますねって言いたくて」
「そうでしたね。お待ちしていますね。じゃ」
サラサラの髪を揺らして会釈すると、まどかさんは颯爽と歩き出した。
俺は少しの間その後姿を見送ったけど、まどかさんは振り向くことはなかった。
「高坂さんはクリスマスはどうするんですかぁ?」
会社に着くと、後輩の加賀沙織が近寄ってきた。
そうか、もう12月だったな。あのクソのせいでクリスマスよりイベントの事しか考えてなかったわ。
「俺は特に予定してないな。今のところ」
「えー。高坂さんイケメンなのにシングルベルですかぁ」
加賀さんは胸の前でぶりっこのように肘を曲げて頬に手を当てた。発達過剰なバストが両腕に挟まれて存在感をアピールしてる。彼女は俺の2つ下で、胸を強調する服ばかり着ている。スタイルがいいんだろうけど、そんなにアピールされても男はヤル事しか考えないんだよ。もう少し恥じらいがないと恋愛感情はもてないもんだ。
「せっかくのクリスマスに一人とか可哀想だから、私が付き合ってあげましょうかぁ?」
俺の顔に顔を近付けて上目遣いで胸を強調させながらそう言う彼女は、可愛いんだけど前述の理由から魅力的とは感じない。
「なんで俺が君とクリスマスを過ごす必要があるんだ?」
って言いたい。でも下手に言うとセクハラだなんだと言われかねないからな。
「可哀想で悪かったな。同情で付き合ってもらうほど寂しくはないから遠慮しておくよ」
「え。可哀想ってのは冗談で――」
「おい、高坂」
加賀さんが慌てて何か言おうとしたのを、佐藤さんが遮った。ありがとう佐藤さん。
「ラグザシステムさんだけど」
佐藤さんの席に行くと、佐藤さんは申し訳なさそうに俺を見た。
「別件のクライアントさんの説明に同行するのすっかり忘れててさ。ま、契約書渡すのと検収方法の確認だけなんで、お前ひとりでも大丈夫だろ」
あー。はいはい。大丈夫だし、むしろ大歓迎っすよ。
まどかさんの会社には11時の約束だったので、11時5分前にはビルの受付に到着していた。
「高坂さん」
受付しようとしたら、後ろから聞きなれたまどかさんの声がした。
「お待たせするのも悪いので、お待ちしていたんです」
はにかむような笑顔で迎えてくれたまどかさんは、最高にかわいかった。加賀よ、見習え。こういうのだよ。加賀さんにされても多分なんとも思わんけど。
ブースに案内されて、一通り終えると昼休憩に近かった。
「あの、俺飯食って帰りますけど、よかったらご一緒しませんか?」
晩飯は断られたけど、ランチくらいなら大丈夫だろう。
そう思ったのは正しく、まどかさんは少し悩んでから
「じゃあ、一度これ置いてきますね。10分ほどで戻りますから」
と言って、席を立った。
よっしゃ。ナイスアシスト佐藤さん!
今度佐藤さんの好きな焼肉を御馳走します。
まどかさんの会社の近くには、おしゃれな店が多かった。
イタリアンだかフレンチだか、とにかく横文字だ。元カノがこういう系が好きだったせいで、俺も自然と覚えたけどね。
女の子ってこういうの好きだしな。
無難なイタリアンに入ろうと思っていたら、「男の人だとがっつり系がいいですよね?」と言って、案内してくれたのが、おしゃれとは程遠い昔ながらの食堂だった。
「イタリアンとかじゃなくていいんですか?」
店に入ろうとするまどかさんに尋ねると、まどかさんはしまったという顔をして謝った。
「すみません。イタリアンとかの方がよかったですか?」
「いえ、俺はなんでもいいんですし、むしろこっちの方が好きというか」
まどかさんが連れてきてくれた店ですからね。どんな所でも好きですよ。
「よかった。ここは定職も丼も美味しくて安いんです」
輝くような笑顔で言うと、まどかさんは引き戸を開けて「二人お願いします」と言って中に入って行った。
手慣れている……常連なんだろうか。
まどかさんの言う通り、その店はとても美味しくて安かった。
サバの味噌煮定食を頼んだんだけど、半身のサバに味噌汁、小鉢が2つついてご飯はおかわり自由で600円。
経営大丈夫か。
「本当に美味しいです。俺、また来ますよここ」
「ぜひ」
まどかさんはコロッケ定食だ。手作りだろうか。手のひらほどもある大きなコロッケが二枚。
まどかさんはそれをぺろりと平らげた。
「――大食いなんです」
恥ずかしそうに笑う姿も可愛い。何なら俺のサバも食いますか。
「こういう店はよく来るんですか?」
「ええ。お恥ずかしい事に一人暮らしだし、近くに友達もいないから一人で食べに行けるところを探していたら、こういう所ばかりになってしまって」
なるほど。つまり独身ですね。彼氏も――多分いないよな。
「地元はこの辺じゃないんですか?」
「ええ。隣の県なんですが、大学もそっちで。就職でこっち出てきたから」
なるほど。焦るな、俺。ゆっくり聞き出すんだ。
「こっちにはどのくらい?」
「大学卒業してからだから3年かな?」
俺の1つ下ですか。丁度いい年齢ですね。俺、年上だから任せてください。
向かい合って座って、食事をしながら主に仕事の事なんかを話している。なんだろう、もうこれ付き合ってるようなもんじゃないか?――いや待て俺。暴走するな。
「そういえばクリスマスですねぇ」
店に飾られていた、古臭いクリスマスツリーを見て、まどかさんが呟いた。
「柏木さんはクリスマスはどうされるんですか?」
今年のクリスマスは土日だ。予定がないって言ってくれ。俺とデートしましょう。
「クリスマスは――多分バタバタしてるので、ゆっくりクリスマスムードを味わうのは難しいかな」
なんだ、それは。どういう意味だ?彼氏か?彼氏と過ごすのか?――いや待て。バタバタしてるって言ってたから用事?
どっちだ。
「高坂さんは彼女さんとデートとか?」
なんだって。まさかまどかさんの方からこんなナイスアシストが来るとは。
「彼女がいたらよかったんですがね。残念ながら」
内心はとてもドキドキしていたけど、なるべくいつも通り答える。だけどやっぱドキドキするもんだ。
俺は無意識に目線を逸らしつつ、右手で左の耳たぶを触った。
クソ姉貴の推しの暗黒騎士が困ったときによくやる仕草で、あのアホに散々やらされた結果、癖になっていたんだ。
「え――」
小さく声を上げて、まどかさんの動きが止まった。
「ど、どうしました?俺何か失礼をしましたか?」
慌てて尋ねると、まどかさんは立ち上がって「食べ終わったし、もう出ましょうか」と言って上着を羽織り出した。
なんだ?俺の返事の何が気に障ったんだ。
パニックになりながら、俺も急いでコートとカバンを持って、割り勘でいいと言い張るまどかさんを説き伏せて御馳走させてもらった。
「あの、御馳走様でした。――ではまた何かございましたら……」
昼休みはまだ30分近くあるのに、なんで急いで帰ろうとするんですか。それに俺も同じ方向に行くんですけど。
「俺、何か失礼な事をしましたか?」
立ち去ろうとするまどかさんの腕を掴んで尋ねた。
振り返ったまどかさんの顔は真っ赤になっている。
「いえ、そういうわけでは」
「だったら、なんでそんなに急いで別れようとするんですか?せっかくゆっくりお話しできると思ったのに」
「お話し――はい。すみません」
何故俺達は食堂の前でトレンディドラマ並みの事をしているんだ。
「手、離しますけど逃げないでくれます?」
コート持ったままだし、寒いから着たいし。
まどかさんが頷いたまま俯いてしまったので、俺は手を放して急いで上着を着た。
そして、来る途中にあった公園まで一緒に歩いた。
その間、まどかさんは俺の顔を一切見ようとしない。
何をやらかしたんだよ、俺。
公園にあった自販機で、まどかさんにはミルクティーを、俺には缶コーヒーを買って渡す。
「すみませんでした。手を掴んだりして」
「――いえ、こちらこそ取り乱してしまってすみません」
ミルクティーを両手で持って、頭を下げるまどかさん。まだ俺の顔は見てくれない。
「高坂さんが悪いんじゃなくて、私が悪いんです。――その、高坂さんが私の――お……知っている人に似ていたので」
下を見たまま、小さな声でぽつぽつと話してくれた。
「前から似ているなって思ってたんですけど、さっきの……いえ、その急に意識しちゃって――それで恥ずかしくて」
意識した――ですと?
いや、待てよ。って事は元カレか?元カレに未練があるのか?
「不快な思いをさせてしまってすみません」
「大事な人――なんですか?」
深々と頭を下げるまどかさんに、俺は声が震えるのも構わず尋ねた。
「大事――と、いうよりは特別?」
顔を上げたまどかさんの頬が赤い。
「好きな人なんですか?」
今度は俺がまどかさんの顔を見れない。やめてくれ。違うって言ってくれ。
「手の――届かない人ですから」
トドメを刺しに来たな。なんて残酷な女なんだ。ちくしょう。
いや、待て。手の届かない人って事は、結婚してるとかそういう系?付き合いたくても付き合えない的な?
しかも、その人に似てるって事は、俺は彼女の好みの顔?
「だったら、俺と付き合ってください。絶対その人を忘れさせますから」
結果だけ言わせてくれ。フラれた。
「気持ちは嬉しいんですけど、今は他人を思いやる時間の余裕がないんです」
だそうだ。
会社に戻った俺は、出かける時と比べて地獄に叩き落とされたような顔をしていただろう。
加賀さんが俺の周りをウロウロしながら何か言いたそうにしていたけど、近寄ってこなくて正解だ。
近寄ってきたら多分泣かしてる。
いや、公私混同は良くないな。
ああ、なんで昼休みに告った、俺よ。
年内にまどかさんの会社との打ち合わせがないのは幸いだった。
朝も、気まずくて電車の時間を一本早めようと思ったけど、まどかさんの姿を一目でも見たい俺は、いつも通りの電車で通勤しようと心に決めた。
でも、その週まどかさんと会う事はなかった。
俺の予想通り、クソ姉貴の原稿が全く進んでいなかったからだ。
「お願い!有給余ってるんでしょ?」
「ふざけんな!俺の有給はお前のくだらん本の為にあるんじゃねぇ!社会人なめんな」
「日当1万円払うから……払うから……」
日当に釣られたわけじゃないけど、朝から家に来て縋りついて泣く姉を捨てられますかと言われれば無理だよ。
結局、木曜と金曜は姉のせいで有給を取って原稿を手伝う羽目になった。
俺もアホも屍のようになりながら、なんとか入稿したのは土曜日の明け方だった。
「和真ぁ……あたしあんたがいなきゃ生きていけないわ……」
「そうか。だったら死ね」
「愛してるから最後のお願い聞いて」
「愛してなくていいしお願いも聞かねぇ」
「イベントの売り子お願い。黒騎士様のコス着て」
こいつは一体俺の話を聞いてるのか?脳みその代わりにスライムでも入ってるんじゃないのか?
徹夜続きで頭腐ったんじゃねえか?いや前から腐ってるか。
「お願いよぉ!SNSで知り合った人が黒騎士様の衣装を作ってくれるって――もうお金も払っちゃったの」
何やってんだお前は。泣きながら縋りつくな気持ち悪い。
「知るか。お前が着ればいいだろ」
「和真のサイズで頼んじゃった。てへ」
30間近のババアがてへとか言ってんじゃねえぞ。あと噓泣きかよ、ゴミめ。
この前、3Dでモデリングしたいからってやたら細かく採寸してたのはこのせいかよ。
「和真が着てくれるから旦那もお金出してくれたんだし。着ないって言うならあんたから旦那に謝ってよね」
おい義兄。お前も仲間か。信じてたのに。
「なんで俺が謝るんだよ」
「だってあんたが着てくれるって言っちゃったんだもん。足蹴るわよ」
治ったばかりの足を狙うな。
なんなんだよ。もういい。着ればいいんだろ。だから――寝かせろ。クソが。
年内は結局まどかさんに会えなかった。
「柏木さんは年に何回かリモートワークになるんだよ。そう言えば去年の年末もしてたな」
佐藤さんに探りを入れたら、さくっと教えてもらえた。
避けられているわけじゃないんだろうけど、タイミング的には避けられているような気になるのは仕方ない。
あれ以来気まずくてメッセージも送れないでいる。
それでも、仕事のメールはいつも通り丁寧な文章で送られてくるし、時々怪我の具合を心配する文言も含まれているから、嫌われているわけではないとは思いたい。
あーちくしょう。
なんてうだうだと日々を過ごしていると、年末はあっという間に来た。
なんでこんな年の瀬にイベントなんてやるんだろうね。
姉から渡されたコスはゲームで黒騎士が来ていた衣装そのままだった。
なんだこれ、素人が作ったのか?合皮やビロードをふんだんに使った衣装は重いけど動きやすくて、もしこのままファンタジーな世界に異世界転移しても、そのまま溶け込める自信すらある。
「ああああ!黒騎士様よ!素敵!」
落ち着け、俺はお前の弟だ。
興奮して役に立たないバカを放っておいて、俺は無言でブースを設営する。
手慣れてるのは――年季だと言えばわかるな?
「かしわもちさんは一般入場って言ってたから、開場したら来てくれるはずよ」
「かしわもち?」
「その衣装を作ってくれた人よ。初めて会うのよ――なんと同じ県内に住んでるらしいんだけど、ここで待ち合わせなのよ。メールでは凄く丁寧で優しかったから、絶対いい人だわ。帰りはみんなで帰れたらいいわよね。楽しみ」
お前はいつも楽しそうでいいね。離婚されちまえ――いや、離婚されたら家に戻ってくるから駄目だ。
義兄さん、こいつを一生頼みますよ。俺の為にも。……似た者同士だから大丈夫か。
一昨日届いたこの衣装を試着して見せたら、一番喜んでたもんな。義兄。
なんて考えていると、他のブースも設営が終わり、俺達の周りに人が集まってきた。
「え――マジ神」
「本人――」
遠巻きにしてても聞こえてくる。はいはい黒騎士様ですよ。
クソに言われるがまま、ポーズを取ると歓声が上がる。やたら丁寧に作り込まれた剣もあから構えたりする。何だこの生き地獄。
人だかりはイベントが開始してからも絶えず、姉の本は飛ぶように売れていった。
固定のファンが多いのもそうだが、時々何度も同じ人が同じ本を買いに来ていたのは気のせいじゃないはずだ。
「いやあ、黒騎士様のおかげよー」
売上金を数えながらほくそ笑んでる姉の顔は、まるで悪代官だった。
世間的には美人らしいが、俺からしたら鬼か悪魔の顔だ。
こいつと血がつながっているなんて考えたくもない。
500部ずつ用意した新刊が残り半分以下になった頃、姉のスマホが鳴った。
「はい――あ、かしわもちさん?東の10あたりですね。うちの黒騎士が迎えに行きますから」
おい、何勝手に言ってんだ。俺の了解を取れよ。
「ってことで、お願いね。あんたを見たら向こうから名乗ってくれるから楽でしょ」
確かに、こいつが行くよりは俺の方が目立つし、何より本人の作品だしな。
なんだかんだ姉に甘い自分に呆れながら、指定された柱付近に向かうと、「あの……かしわもちです」と、どこかで聞いたことのある声を背中で受けた。
まどかさんに似ているな。失恋の痛みがぶり返してきたけど、営業スマイルで振り返る。
「え」
「あ」
ここまで来たら運命だろ。そこにいたのはまどかさんその人だった。
柏木だからかしわもち――なるほど、可愛いぞ。
「黒騎士様――え、眼福――私の衣装が――黒騎士様――」
もう日本語になってないし、僕の周りをくるくる回って足元から頭の先まで眺めまわしているところも可愛い。
「とても着心地がいいですよ。柏木さんが作られたんですか?」
「はい。――でもなんで高坂さんが?」
僕が声をかけると、足を止めて半分くらい上の空で答えてくれた。
「村瀬美紀は俺の姉なんですよ。俺は脅されて連れてこられてこれを着せられてるって言うか」
「脅されて――すみません。私がこんな衣装作ったせいで」
「いえ、柏木さんが作ったと聞いた今なら、もう一生これ着ててもいいくらいです」
もちろん本気だけど、顔を真っ赤にしているまどかさんが可愛くて、俺もうずっとこれ着てで過ごそうかな。
とりあえず、姉のところまで案内するために、俺達は歩きだした。
「でも柏木さんにこんな特技があったなんて意外ですね」
「私も、高坂さんがまさか着てくれるなんて」
「写真撮らせてくれませんか?」
俺とまどかさんのトークタイムを邪魔すんじゃねぇ。
ブースでお待ちしますと丁重にお断りして、再び歩き出す。
「姉が勝手に注文してたみたいで。いつもの事なんですがね」
俺はコスプレイヤーじゃないぞと、暗に訴える。いや、この場合コスプレイヤーの方がいいのか?
「私、本当は造形が趣味で芸大に入りたかったんですが、落ちちゃって……それで滑り止めに受けてた大学で情報処理を勉強して今の仕事に就いたんです」
まどかさんが自分の事を話してくれている。
「じゃあ、専門的に勉強したわけじゃないのに、こんな素晴らしい作品を作れたんですか」
御世辞じゃない。本心からだ。照れているまどかさんが可愛い。
「あの、高坂さん。気持ち悪くないんですか?」
「何がですか?」
僕を見上げて頬を染めるまどかさんならとても可愛いですよ?
「こんな趣味――オタクじゃないですか」
「でも、その作品を着てる俺がここにいるわけですし、依頼したの俺の姉ですし」
「じゃあ、高坂さんもオタク趣味なんですか?」
まどかさんの顔がぱあっと明るくなる。
「い、いえ。俺はあんまりその辺は知らないんですよ。この黒騎士だって、姉ちゃんの原稿の知識くらいしかないですし」
その上八割裸だけどな。
失言だったか、まどかさんの顔が見る間に曇る。
「あ、でもオタク趣味が気持ち悪いと思った事はないですよ?俺も姉の原稿手伝ったりしてるし、現に今コスプレだってやっちゃってますし?まあこれはコスプレって言うかもう芸術品ですけどね」
「それは……言いすぎです。でも、そうです――よ、ね?」
なんだろう。今ならまどかさんの心の壁が簡単に崩せそうな気がする。
「俺はまどかさんの腕前は素晴らしいと思います。二次創作でもいいじゃないですか。自分の好きな作品の世界観を自分の手で広げる事ができるなんて、尊敬しますよ」
俺の言葉にまどかさんの顔が再び輝きだした。もう一押しだ。
「俺が前に言った事、覚えてますか?」
「え――」
「俺、まどかさんの事が好きです。どうですか?俺と付き合えば、この俺が――黒騎士があなたの物になります」
俺は立ち止まると、まどかさんの手を取って片膝をついた。
姉の原稿で見た事がある。
「黒騎士の主は生涯一人のみ。姫、どうか私にあなたをお守りする栄誉をお与えください」
姉ちゃんの原稿で見たセリフだ。覚えておいてよかった。
周りから歓声が聞こえるけど気にするもんか。
「ここここ高坂さん」
まどかさんが慌てる姿なんて初めて見た気がする。
物静かと思ってたけど感情豊かで可愛い。
「わかりました、わかりましたからやめてください」
「じゃあ、俺と付き合ってくれますか?」
「それは――あの」
「俺はあなたを縛るつもりはありません。趣味や嗜好を非難する気も毛頭ありません。黒騎士の衣装を着れと言われれば一生だって着てみせます」
「わ――わかりました。お付き合いします。しますから大きな声で恥ずかしい事を言うのはやめてください」
お姉様、俺は今初めてあなたに感謝してますよ。
つまり、まどかさんが言ってた「時間がない」と言うのは、オタ活をするのに忙しいと言う事だった。
「アニメのチェックは当然ですが、ゲームもやらないと」
年が明けて、なんとかデートの約束を取り付けた俺は、まどかさんと正月休みで閑散とした職場近くのカフェで向かい合っている。
俺がオタクに偏見が無く、趣味も許容すると言うのが決め手だった……と、思いたい。
決して黒騎士に似てるだとか言う理由でない……はずだ。
やっと落ち着いて話をすると、あの時食堂で態度が急変したのは、俺の仕草を見て推しの黒騎士にそっくりだったため、一刻も早くオタク仲間に報告したいと興奮していたそうだ。
俺の告白については――オタクであることがバレたら軽蔑されて、それこそ黒騎士そっくりな冷たい目で見られるようになるんじゃないかと怖かった――とか可愛いんですけど。
ただ、まどかさんにとって俺はまだ推しと現実の狭間のような存在で、恋愛対象にはなりきっていない。
仕方ない。
俺はずっと前からまどかさんを知っているけど、まどかさんにとっては出会って二ヶ月の人間だ。
やっと男として意識しだしたってところだ。これからゆっくり口説いて行けばいい。
その為ならどれだけ忙しくても、衣装作りの手伝いだろうがモデルだろうがやってやるさ。
あのクソ姉貴も泣きついて来るのは確実だから、イベントの直前は地獄になりそうだな――こりゃ。
俺と暗黒騎士とまどかさん やまだ ごんた @yamagonta
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