第47話 戦争の終焉と帝国の崩壊
新大陸に入植し始めてから25年目となった。
新事業を次々に起こしてしまったせいであっという間に時間が経ってしまった。
時代を進めて前世のような娯楽産業を起こすという目的でいろいろとやってきたが、それに関しては道半ばという感じだ。新聞や雑誌の普及や食生活の改善などはけっこう進められたが、産業についてはまだまだこれからというところである。
僕の身近な新大陸はそんな感じであるが、本国の方では長らく続いていた戦争がやっと終焉の兆しを見せてきた。
今回の戦争の原因となったザリエル帝国が聖書派の貴族たちの独立運動を抑えることができず、主流派と聖書派の領地が完全に分裂してしまったらしい。
それにより皇帝の求心力は急速に低下、帝国の主流派の貴族たちも皇帝を見限りはじめ、それにより帝国の継戦能力はほぼ失われてしまった。
今回の戦争はザリエル帝国の崩壊という形で終戦へ向かいそうだ。
ハノーヴ王国を始めとした聖書派の国々も帝国の主たる貴族たちに講和会議を打診しているらしい。ただ帝国が崩壊しほぼ国家の体をなしていないため条件としては白紙講和のような形に落ち着きそうという話だ。
10年以上も泥沼の戦争を続けた割に得るものが少ない終わりとなってしまった。
今回の件を教訓として中央地域では今後このような宗教の対立は皆避けるようになっていくだろう。東方地域との付き合いも含めて中央地域が平和になっていくのを祈るばかりである。
ただ中央地域が落ち着きそうな一方で植民地を巡って新大陸でのハノーヴ王国とダルトワ王国の対立が進んでいる。
直接的な戦争は現状避けられているようだが、ダルトワ王国が海賊船に偽装した船団で新大陸航路の貿易船への襲撃を行っているという噂が広がっている。
マセソン商会のジェームスさんに聞く限りだと海賊にしては妙に装備がよい船団に襲撃を頻繁に受けておりダルトワ王国が絡んでいる確度がかなり高いとのこと。
モルガン商船も大砲などの対海賊装備の強化をして対策している。社員からは海賊船らしき船団への接敵もすでに何度もしていると報告を受けている。こちらの装備をみて引き返しているとのことだが気が抜けない状況だ。
本国も中央地域での終戦をみて軍を新大陸に優先して配備するように働きかけているようだ。ただそれはダルトワ王国も同様であり、今後新大陸周辺が戦場となりえる状況となってきている。
ニューヨークの港も軍港としての拡張が急ピッチで進められており、沿岸防衛用の要塞も建造が進められている。このまま平和に過ごせればいいがそうもいかないかもなと僕は思い悩むのであった。
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