第38話 貿易と世界情勢
この世界が大航海時代に入ってから何十年か経った。
世界中に探索の船が出て新しい植民地や貿易航路が開拓されたことにより世界の情報が少しずつ分かってきている。
僕も最近マセソン商会からモルガン商船に派遣されてきた顧問の方を先生として、世界について改めて勉強し直している。何十年かの冒険者生活で世界を旅した気になっていたが、まだまだこの世界には知らない土地がたくさんあるようだ。
まずはハノーヴ王国がある中央地域。
ここには一神教を教義とした宗教観を持つ国家群が多数存在している。ハノーヴ王国はその国家群の中でも北方に位置している大きめの島国である。海峡を挟んで南方にはダルトワ王国があり、その東にはザリエル帝国がある。
この地域には他にも大小様々な国家が存在しているが、今は帝国を発端とした主流派と聖書派の宗教戦争が起きておりかなり混沌としている。僕が旅をしていたときにはあまり大きな争いはなかったのだが、短い平和な期間だったらしい。
次に新大陸だが、ここは中央地域から海を挟んで西部に存在する。そのため西大陸と呼ばれることもあるらしい。まだ大陸の東海岸しか探索がされていないため具体的なことは分かっていないが、かなり大きいことは間違いないだろう。
ハノーヴ王国が最初に発見し積極的に入植を進めていたが、最近ダルトワ王国も介入してきた。主にこの2カ国が勢力争いをしている地域となる。
また中央地域から海峡を挟んで南には南方大陸がある。
ここは獣人を中心とした亜人種の支配領域だ。好戦的な種族で部族間でしょっちゅう戦争しているらしい。負けた部族は勝者の奴隷にされるのが一般的なため戦争による禍根も大きくなかなか平和にならないみたいだ。
僕も危険なのでさすがにこの大陸には近寄っていない。
中央地域の東部には東方地域と呼ばれる地続きの土地に敵対的な異教徒の国家群が存在する。中央とこの地域は血みどろの争いをした歴史があり両者の溝は深いが、最近はパワーバランスも安定しあまり大きな抗争には発展していない。
東方地域は貿易は制限されているが今では個人の旅はできるぐらいの関係なので僕も行ったことがある。気候などが近いからか前世の中東地域のような文化圏だった。
錬金術が発展していて魔術師の立場が比較的強いのも特徴だ。魔術師の始祖と呼ばれる人もこの地域で生まれたらしい。
その更に東には極東地域と呼ばれる胡椒などの香辛料を安く取り扱っている国々が存在する。ただこれまで中央からの陸上貿易は敵対している東方地域でブロックされてしまっていた。
そんな情勢の中で大航海時代となり様々な人々の努力の結果、南方大陸を大回りして極東地域と海上貿易するルートが発見された。そのおかげで今では貴重な香辛料が中央地域に入ってくるようになったのだ。
マセソン商会などは極東貿易を中心として大きくなった商会であり、中央地域に香辛料をもたらしているのはマセソン商会のおかげと言っても過言ではない。
モルガン商会も極東貿易を始めたし、マセソン商会に追いつけるようにこれから頑張りたいところだ。
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